このコンテンツは医療従事者向けの内容です。
三重野 雅裕 氏
御船 曜 氏
遠藤 瑞穂 氏
介護、社会貢献も含めた地域包括ケアシステムの中で、地域医療機関、施設との連携を推進して急性期医療に貢献する戸塚共立第1病院。看護師によるエコーガイド下末梢ルート確保への取り組みやワイヤレス超音波画像診断装置「iViz air リニア」の使用感などについてお話をうかがった。
遠藤氏 2015年に看護師の特定行為の一つにPICCの挿入が認められたことや、2017年の「医療事故の再発防止に向けた提言」において、中心静脈穿刺における合併症のリスクを考慮してPICCによる代替を含めて会議で慎重に決定するとされたことを追い風としたPICCの需要増に伴って、診療看護師や特定看護師によるエコーガイド下でのPICC挿入が徐々に広がってきました。こうした状況のもとで、当院を含めた一部の施設では、エコーガイド下でのPICC挿入を末梢ルート確保に応用する取り組みが進みつつあります。
三重野氏 これまでの長い歴史の中で、看護師はエコーを使わずに末梢ルートをいれていたので、わざわざエコーを使う必要はないという考えもあります。しかし、見えている血管であってもエコーを使用すると確実性が上がりますし、視診・触診では分からない血管には特にエコーを使用する意義が大きいと思います。また、エコーで血管の径を確認して、適切なカテーテルの太さを選択できる点もメリットの一つと言えます。
遠藤氏 末梢ルート確保は、看護師がベッドサイドで行う日常的な業務の一つです。そのため、看護師がエコーを用いた確実な方法を身につけることは、患者さんの利益に直結しますし、医師にとっても治療に専念できるというメリットがあります。そして何よりも、看護師が自分たちで問題解決できる武器を身につけることは、自立性を高めるためにとても重要なことではないかと感じています。
遠藤氏 エコーに慣れるまでは看護業務に支障がないとまでは言えないと思いますが、経験を積んでいくことで手技にかかる時間は短縮されていきます。また、穿刺困難で医師に依頼する場合にかかる時間や手間を考えると、看護師がエコーガイド下で穿刺をした方が時間や負荷が軽減されるケースもあります。
遠藤氏 当院では、エコーガイド下の末梢ルート確保について、(1)eラーニングによる座学、(2)オンラインでの筆記試験、(3)シミュレーターを用いた実技訓練、(4)実技試験合格者に仮免許発行、(5)指導者と臨床で10症例実践して技術的に問題がなければ認証、という教育システムを構築しています。次世代看護教育研究所のエコープログラムを受講して、参考にしました。
御船氏 現在の受講者は10名ですが、受講している看護師の感想を聞いたり、エコーを使用している姿を見て興味を持った看護師から「来年度にぜひ受講したい」という声をいただいています。
三重野氏 学習過程では実技演習が最初のハードルになります。そこで、前段階の座学にeラーニングを導入し、忙しい毎日の中でも一人ひとりが自分のペースで、好きな時間に学習できるようにすることで、できる限り不安の少ない状態で実技演習に臨んでもらえる環境を整えました。
遠藤氏 当院では3つのステップで看護業務におけるエコー活用を進めています。具体的に、1つ目のステップはエコー下穿刺などの身近な業務、2つ目はその他の看護業務、3つ目は心エコーなどの新たな業務です。現在は2つ目のステップとして便秘の評価への導入を検討しており、便秘はとりわけ療養生活に密着した分野ですので、看護師が客観的な評価をすることで効果的な排便コントロールが可能になるのではないかと考えています。
遠藤氏 iViz airは画像が見やすく扱いやすいので、エコーを初めて使う看護師もすぐに操作に慣れることができました。
三重野氏 当院ではベッドサイドで据え置き型やラップトップ型のエコーを使用するケースもありますが、そうした装置は煩雑な操作が必要になります。iViz airは操作がシンプルで、かつ画質が良く、針も見やすいので、エコーの経験が少ない看護師でも使いやすいと思います。また、回診中の医師から「ちょっと貸してもらえますか」と言われることもあるので、必ずしもエコー初心者だけでなく、幅広く使用できるエコーだと感じています。
御船氏 コンパクトで携帯性が良く、ベッドサイドはもちろん、別の階で使用したい場合でもすぐに持っていけるところは大きいと実感しています。また、画質が綺麗で神経もよく見える点や、ワイヤレスで断線などのトラブルの心配がない点も良いと思います。
三重野氏 エコーを教育する側の視点として、初学者に対して狙うべき血管を分かりやすく教えられると感じています。
遠藤氏 血管径が自動計測されて、その血管径に応じて異なる色のマーカーが表示されるので、針の選択に関する理解度をより深められると思いました。
御船氏 針の選択に関しては、感覚的に自信がないので細い針を選択するようなケースもありましたが、血管判別アシストモードによるアシストがあることで、より適切なゲージを選択しやすくなると思いました。
遠藤氏 エコーを使いたいときに使えない、準備に時間がかかるという状況でエコーを定着させるのは難しいので、すぐにエコーを使える環境を整備することが最大のポイントになると思います。また、エコーの教育に必要な指導者については、診療看護師やPICCの区分を修了した特定看護師を活用することをおすすめします。
三重野氏 今後、エコーに関する教育システムの構築という点でもサポートをしていただけると、より多くの施設が看護エコーに取り組めるのではないかと期待しています。
- 販売名
FWUシリーズ
- 認証番号
301ABBZX00003000