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日本

ポータブルエコーのインタビュー

有料老人ホームの排尿ケアで活用されるポータブルエコー
~アセスメントの客観化と入居者のQOL向上に貢献

このコンテンツは医療従事者向けの内容です。

チャーム鶴見緑地
看護師 氏部 良 氏

チャーム・ケア・コーポレーション
教育研修部
大野 世光 氏

首都圏・近畿圏で有料老人ホームを83ホーム運営し、常により良いサービスを追求しているチャーム・ケア・コーポレーション。同社が運営するチャーム鶴見緑地において、ワイヤレス超音波画像診断装置「iViz air」を活用している看護師の氏部 良 氏に使用感や入居者の声などについてお話をうかがった。

チャーム鶴見緑地の特長は。

氏部氏 大阪市鶴見区にある当ホームは、花博が行われた鶴見緑地公園近くの自然に恵まれた環境に立地しています。スタッフは若手が中心で活気があり、皆が率直に意見を言い合える風通しの良い環境で、ご入居者さまとの距離感が近いところも特長の一つだと思います。

iViz airを導入した経緯は。

大野氏 排泄障害は介護現場における永遠の課題の一つとされ、長年にわたってさまざまな取り組みが進められてきました。当社においても常に最新の装置やシステムを検討・導入して排泄に関する課題の解決に取り組んできましたが、膀胱内を可視化できないことなどがネックとなって大きな成果は得られていない状況でした。そうした中でポータブルエコーが訪問看護や在宅医療などの排泄ケアで活用が広がってきていることを知りました。そこで、かかりつけ医とも相談しiViz airの導入を決めました。当初は2台の導入でしたが、早い段階で良い事例の報告が相次いだことからチャーム鶴見緑地以外のホームにも展開しました。装置の追加導入も行い、現在は計5台のiViz airを運用しています。

これまでのエコーの使用経験は。

氏部氏 私は以前、病院に勤務していましたが、エコーを使用した経験はなく、医師や検査技師が使用するものというイメージでした。そのためiViz airを初めて見た時には、「自分でもできるのか」といった不安もありました。しかし実際にトレーニングをし始めると、スマホを使った直感的な操作が可能ですぐに感覚がつかめました。そして、解剖をイメージしながら繰り返し使用してきたことで、今ではどのような方でもほぼ正確に膀胱エコーができるという自信があります。

従来の排泄ケアの課題は。

氏部氏 当ホームでは2~3時間ごとに入居者さまのパッド交換を行い、2回連続で排尿が確認できないと報告がありました。その際、従来は腹部の緊満や飲水状況、むくみなどを確認し、必要に応じてクリニックに連絡をしていましたが、判断に悩むケースも少なからずありました。また、排泄自立をされていて認知度が高い方については、排便・排尿に関する回答が不明確な場合もあり、そうした場面での対処に困っていました。

現在は、iViz airを活用して体内を可視化することで従来の課題がほとんど解決されており、排泄ケアにより前向きに取り組めるようになったと感じています。

iViz airの使用感は。

氏部氏 画像がきれいで、持ち運びがしやすいと感じています。特に、膀胱エコーはトイレで行う機会が多いので、携帯性の高さにはとても助けられています。また、こうした画質の良さや携帯性の高さは、技術の習得速度向上にも寄与していると思っています。

ポータブルエコーを活用した検査から多職種連携までの流れは。

氏部氏 排尿が確認できない方にiViz airを用いて尿量測定を行い、尿量が少なければ心不全などの疾患の可能性にも注意しながら様子を見ます。逆に、尿量が多く、膀胱容量をオーバーしているような場合はクリニックと訪問看護に報告し、導尿や膀胱バルーンの手配や夜間の対応などが迅速に行えるよう連携しています。

印象に残っている事例は。

氏部氏 当ホームに入居される前から頻尿に悩まれていたOさんの事例です。Oさんは以前から泌尿器の薬を服用されていたのですが、なかなか効果が出ず、往診の医師の指示のもとで薬を変更してもやはり効果が出なかったことから経過観察となっていました。しかし、Oさんは1日中、トイレのことを気にしながら過ごされているような状態でしたので、私としては何とかしたいと考えていました。そうした時にiViz airが導入され、Oさんと相談の上でiViz airを用いた頻尿の原因究明に取り組むことにしました。

そして、トイレに設置している計量カップで計測した尿量と、iViz airで排尿前後に計測した尿量を定期的に確認していくと、膀胱内の蓄尿量が十分ではないことが分かりました。そこで、そのデータを泌尿器の専門医にお渡しして診察していただいたところ、脂肪の影響で膀胱が十分に収縮・拡張できていないという診断があり、新しい薬の処方をいただきました。その結果、Oさんの頻尿は改善され、今ではトイレのことをほとんど気にせずに生活を送られています。

Oさんからは「施設内で検査が受けられることはもちろん、装置の小型さや、画像がハッキリときれいに見えることにも驚きました。最初の頃は検査に恥ずかしさを感じるところもありましたが、いつもお世話になっている氏部さんに検査をしていただけたので安心感がありました」という声をいただいています。

排尿自立につながった事例の概要は。

氏部氏 入居者さまのご家族から「膀胱バルーンを抜いてほしい」という要望を受けたケースで、往診の医師と相談してバルーンの抜去にチャレンジしました。しかし、抜去後10時間以上も排尿が確認できなかったため、iViz airで尿量測定を行うと200ccしか尿が貯まっていない状況でした。そこで、そもそも尿が作られていないのでバルーンを入れなくても良いのではないかと考え、訪問看護や夜勤のスタッフとの連携のもとで、バルーンを入れない状態で夜間の尿パッドの計測を継続しました。すると、夜間に大量の排尿があり、昼に尿量を計測すると尿が少ないという状態が3日間続いたことから、昼にあまり尿が作られない排尿リズムだと推測することができました。その後、この入居者さまはバルーンの再挿入を行うことなく、自然排尿で過ごされています。
このような結果は、当ホームで行う継続的なケアの中に、iViz airを用いた客観的なアセスメントを取り入れたからこそ実現できたものだと感じています。

導入後、看護業務に対するモチベーションなどに変化は。

氏部氏 日々の業務では往診の医師や訪問看護とも連携していますが、現場での一つひとつの判断は入居者さまの状況やご家族の意向などを考慮した上で迅速に行う必要があります。そうした中で、客観的な判断材料が得られるポータブルエコーというツールの存在は、業務を行う上での大きな安心感につながっています。また、高齢者施設での看護に注力していると、なかなか最新の技術や装置に触れる機会がないのですが、ポータブルエコーという今の時代に適合した最新の装置を使用したことが刺激となって、より良いケアを追求したいという想いがさらに強くなりましたし、看護に対するモチベーションも高まったと実感しています。

今後、期待することは。

氏部氏 ポータブルエコーがさらに普及していくことで、エコーが基本的なアセスメントの一つとなり、さまざまな使用方法やノウハウの共有も進んでいけばと期待しています。また、機能面では胸腹水のアシスト機能をぜひ開発していただきたいと思っています。

富士フイルムに期待することは。

氏部氏 在宅医療や訪問看護はもちろん、高齢者施設でも簡便かつ低侵襲で使用できる画像検査装置の開発に期待しています。

販売名

FWUシリーズ

認証番号

301ABBZX00003000