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日本

ポータブルエコーのインタビュー

ポータブルエコーを用いて排泄ケアを可視化 ~訪問看護利用者のQOL向上と看護師の負担軽減に寄与

このコンテンツは医療従事者向けの内容です。

社会福祉法人 高陽会
訪問看護ステーション騏驎

管理者、在宅ケア認定看護師 平岡 桃重 氏
看護師 土屋 唯希衣 氏
看護師 岡崎 牧 氏

訪問看護ステーション騏驎の特長は。

平岡氏 社会福祉法人を経営母体とする訪問看護ステーションとして、法人が掲げる「私達は、愛情と責任をもって奉仕の精神に従い、ベストを尽くします。」などの理念のもと、利用者の方々やそのご家族に寄り添い、皆様のご希望に添ったケアを提供することを大切にしています。

なお、馬偏の「騏驎」には、「1日に千里を走るという名馬」という意味があり、施設名を「騏驎」にした背景には、地域を駆け回って質の高いケアを提供していきたいという想いがあります。

訪問地域と1日あたりの訪問件数は。

平岡氏 訪問地域は紀の川市と岩出市が中心で、1日あたりの訪問件数は25~30件、看護師1名あたりでは5~6件です。その中で、基本的には看護師1名で訪問していますが、常に連絡を取り合って情報を共有したり、訪問先で困ったことやトラブルがあれば応援に走ったりと、チームで訪問看護を行うことを大切にしています。

日本看護協会の「看護業務の効率化 試行支援事業」として、ポータブルエコーを用いた排泄ケアの可視化に取り組んだ経緯は。

平岡氏 訪問看護においては、認知症や神経難病の方を中心に、ご高齢であれば“ほとんど”と言って良いほど排泄ケアが必要になりますが、従来の排泄ケアに関わる観察・アセスメントでは、直腸診・間欠的導尿に伴う出血・感染のリスクや利用者の身体的苦痛、看護師の精神的負担、排泄状況の確認に関する業務時間の増加など、さまざまな課題がありました。

そうした中で、日本看護協会が実施している「看護業務の効率化 試行支援事業」の紹介をいただき、ポータブルエコーを排泄ケアに活用する取り組みについて検討を始めました。そして、スタッフの意向を確認したところ、全員がエコーの活用に前向きだったことから「看護業務の効率化 試行支援事業」に参加することを決め、2021年8月から取り組みを開始しました。

これまでのエコーの使用経験とエコーに対するイメージは。

土屋氏 産婦人科で勤務していた際に、エコーで臍帯巻絡の有無の確認を行っていましたので、エコーを使用することに抵抗はありませんでした。

岡崎氏 私はこれまでにエコーを使用した経験がなく、エコーは医師や臨床検査技師が使用するものというイメージを持っていました。

取り組みにおいて苦労した点は。

土屋氏 排泄ケアで必要な膀胱や直腸のエコーは初めてだったので、最初のうちは画像の見方に苦労しました。まだ時折、見たい場所が描出できているのか悩むこともありますが、日々の観察・アセスメントを通じて着実に成長できていると感じています。

岡崎氏 最初は自分でできるのか不安だったのですが、画像の見方や操作を学びながら、症例数を重ねていくことで、少しずつ使いこなせるようになってきていると感じています。やはり週に1回の勉強会や日々の情報共有を通じて、他のスタッフと一緒に学び、成長していけたことは大きかったと思います。

ポータブルエコーの使用感は。

土屋氏 小型で軽量なので、他の荷物が多い場合でも持っていきやすいですね。また、ワイヤレスなので取り回しが良く、訪問先の部屋が狭かったり、ベッドサイドのスペースが限られていても問題なく使用できます。

岡崎氏 エコーで体内を可視化して適切なケアにつなげたり、エコー画像をそのまま医師に送って連携できるというのは大きな進歩だと感じています。その中で、iViz airは軽量・コンパクトなので、気軽に持っていって使えるところが良いと思います。

iViz airを購入した経緯は。

平岡氏 取り組みを続ける中で、ポータブルエコーは私たちのステーションにとって“なくてはならないもの”になっていましたので、補助金が切れるタイミングで「レンタルの継続ではなく、ぜひ購入してほしい」と法人の理事会に相談しました。そして、今回の取り組みが日本看護協会のウェブサイトで先進事例として取り上げられたことや、エコーで確認した便の状態をもとに医師である理事長自身が行った緩下剤の調節で良好な結果が得られていたことなどが評価材料となり、購入してもらうことができました。

費用対効果についての所感は。

平岡氏 看護師の負担軽減や利用者の満足度向上などの効果に加えて、経営面では地域の障がい関係の相談員の方から「小児の慢性便秘をエコーで確認してほしい」という依頼があったり、神経難病の方から「不要な導尿をなくしたいのでエコーで排泄ケアをしてほしい」という依頼があったりと、エコーの導入が新規の依頼につながっています。今後もこうした依頼や相談は増えてくると思いますので、費用対効果はさらに高まっていくと考えています。

iViz airを活用していきたい場面は。

平岡氏 がん患者の腹水・胸水の確認に活用して、苦痛の軽減につなげていきたいと考えています。また、将来的にリニアプローブを導入した際は、嚥下機能の観察を行い、摂食支援の足掛かりにしたいと思っています。

今後、富士フイルムに期待することは。

土屋氏 現在は、スタッフ全員で1台のiViz airを使用していますが、さらにコストダウンを進めていただいて、将来的には各看護師が1台ずつ携帯できるようになればと期待しています。

岡崎氏 私も1人1台にあれば、ケアの判断速度や精度がいっそう向上すると思うので、土屋さんと同様の期待を持っています。

平岡氏 今後もエコーの教育や初学者をアシストする機能開発を継続するとともに、これからの在宅領域で求められる技術・装置の開発を進めていただければと期待しています。

販売名

FWUシリーズ

認証番号

301ABBZX00003000