このコンテンツは医療従事者向けの内容です。
豊田地域医療センター
総合診療科部長、外来部門長
上松 東宏 先生
藤田医科大学 総合診療プログラム
大道 卓也 先生
神谷 龍輝 先生
熊谷 祐紀 先生
湊 しおり 先生
(以上、五十音順)
「携帯型超音波機器を用いた総合診療研修専攻医に対する超音波教育に関する研究」に参加した4名の専攻医と、研究責任者の上松東宏先生に、エコー教育プログラムを受講して変化したことや今後の課題などについてお話をうかがいました。
1人1台環境がスキルアップに寄与
教育プログラムの受講前後で変化したことは。
大道先生 受講前は不安を感じながらエコーを使用していた部分もあったのですが、今回の教育プログラムを受講したことで、エコーのスキルが確実に向上したと実感していますし、参加できて非常に良かったと感じています。その中で、私は、6か月間の間に、外来、病棟、在宅で診療を行い、特に在宅では腹水穿刺や残尿測定においてiViz airが活躍しました。その一方で、病棟では勤務先が急性期の患者さんが多い施設だったこともあり、他のプローブのエコーを使用する機会が多かった印象があります。
神谷先生 受講前は、自分でエコーに関する書籍や動画を見て勉強はするものの、エコーへのアクセシビリティの悪さから実際に使用するまでには至らないことも多々ありました。今回、iViz airが1人1台貸与されたことで、気軽にエコーを当てることができるようになり、スキルの向上につながったと感じています。具体的な診療では、私は病棟のチームに所属していたため、体液量の評価と、排尿障害の患者さんの膀胱の評価を行う頻度が高く、ほぼ毎日エコーを使用していました。
湊先生 私は以前から心エコーが苦手で、今回のプログラムを通じてスキルアップできればと思っていましたが、心エコーのワークショップを受けた後も自分でエコーを当てることはなく、心エコーに関しては“変わらず”という状態です。なぜかというと、心エコーは技師さんにお願いする方法に慣れているからだと思います。その一方で、プログラムに参加している間はなるべくエコーを活用しようと考え、これまでブラインドで行っていた注射については、なるべくエコーガイド下で行うようにしていましたので、エコーガイド下注射のスキルは高まったと感じています。また、今回のプログラムでさまざまなエコーの手技を学べたことで、エコーに対する興味がさらに高まりましたし、私が好きなエコーガイド下の手技についてはもっとスキルアップしていきたいと思いました。
熊谷先生 私は脳神経外科を専門としてきましたので、これまで頸動脈エコーや救急におけるPOCUSを多く行ってきました。その中で、今回のプログラムでは、在宅診療でiViz airを多く活用し、特に腹部疾患については、iViz airでほぼ診断がつけられるため、搬送の要否等の方針決定に有用だと感じました。
1人1台環境のメリットは。
大道先生 神谷先生がおっしゃられたとおりで、普段から気軽に当てられるというところが大きいと思います。やはりエコーは「当ててなんぼ」のところがありますので、アクセシビリティの高さがスキルアップに大きく寄与すると感じました。また、個人的には、診察に同席した研修医の先生や医学生に、その場で自分のiViz airを渡せたことも良かったと思いました。
ポータブルエコーを活用した症例は。
神谷先生 病棟でPMR(リウマチ性多発筋痛症)か、関節リウマチかで悩んだ患者さんに対して、エコーを当ててみたところ、関節の病変ではなく、PMRだろうという鑑別がその場でできた症例が印象に残っています。
熊谷先生 在宅の患者さんで、原疾患が大腸がんで、ひどく嘔吐しているということだったので、大腸がんイレウスを疑い、必要な薬剤を準備して訪問しました。そこで、エコーを使用して、すぐにイレウスを確認できたことで、その場で自信を持って投薬治療を開始できた症例がありました。
エコー教育の重要性と課題を実感
指導者として感じた手応えと課題は。
上松先生 まず、「1人1台、エコーを持つ時代が来たら良い」ということは、数年前からいろいろな場所で話していましたので、それが日常の光景になったことは、自分の中でとても大きな出来事でした。一方で、私が今までに指導したことがあるのは最大3名まででしたので、今回、14名という大人数への指導を経験して、ハンズオンの回数も含めて、一人ひとりに時間をかけられなかった感があったのも事実です。今回の経験を糧として、さらにエコー教育を進化させるとともに、POCUSの普及に尽力していきたいと考えています。
- 販売名
FWUシリーズ
- 認証番号
301ABBZX00003000