このコンテンツは医療従事者向けの内容です。
尿道カテーテルを抜去後、あるいは留置中の患者さんに対して行う“排尿自立支援”においては、毎日の残尿測定が欠かせません。当院では、残尿測定を一般の病棟看護師が行っており、その際に膀胱尿量自動計測を搭載したワイヤレス超音波画像診断装置「iViz air」を活用しています。
ポータブルエコーは画像が見えるため、膀胱を確認しながら、確実に尿量が測定でき、看護師でも不安なく使用できます。
また、iViz airのように、軽量・コンパクトで高画質のポータブルエコーは残尿測定以外でも幅広く使用でき、患者さんにも多くのメリットがあると感じています。
黄(こう)先生 厚生中央病院の泌尿器科では、良性疾患の診療を中心とし、男性では前立腺肥大症、女性では過活動膀胱の患者さんが多くいらっしゃいます。手術については尿管結石のレーザー治療の件数が多く、体外衝撃波結石破砕装置も導入しており、多くの病院から紹介を受けています。
診療の中で、エコーは日常的に使用しています。たとえば、前立腺肥大症ではエコー検査が必須で、残尿量を確認するとともに前立腺の形と大きさを測定し、腎臓の評価も行います。
若松さん 以前から、急性期病院で尿道カテーテル留置をされた患者さんが、そのまま介護施設に移ったり、在宅になったりした場合に、なぜカテーテルを留置されたのかが分からないまま留置の状態が長く続き、さまざまなトラブルが発生するという問題がありました。研究においてもその影響が明らかとされています。
このような背景から、2016年に排尿自立指導料の算定が始まり、当院ではその算定開始当初から排尿ケアチームを設置して、排尿自立支援に積極的に取り組んでいます。
黄先生 排尿自立支援では、患者さんに何時何分に何ccのお小水が出ましたといったことを記載する排尿日誌を書いていただきます。そして、患者さんの状況に合わせて、時には投薬も行いながら、カテーテルを留置せずに排尿を自立できるように導いていきます。
黄先生 残尿測定を行う際は、腹水等を拾っていないか画像で確認しながら尿量を測定することが重要です。
また、尿量測定時においても前立腺の形や大きさ、結石の有無等がパッと見て分かることがエコーのメリットだと思います。
若松さん 排尿自立支援では、病棟の看護師が残尿測定を行うのが一般的ですが、尿量の数値と膀胱の画像をセットで確認することにより、きちんと測定できているという安心感が高まります。
画像が見えれば、看護師の不安を減らすことができますし、指導面でも有用だと思います。
黄先生 プローブにコードがついていると、コードが床に触れないように注意する必要があり、検査時のストレス要因になります。また、検査中にコードが患者さんの体や服に触れるケースはよくあると思います。そういった場合に、コードの消毒をし忘れる可能性もあるため、ワイヤレスの方が感染リスクが低くなると思います。
また、観察においても、ワイヤレスであれば仰臥位のまま腎臓がしっかりと描出できるので、体を動かすことが大変な患者さんには特に有用だと思います。
黄先生 通常のエコーで患者さんに画面を見せようとすると、患者さんに画面をのぞきこんでもらわなければいけませんが、ワイヤレスであれば自身で持っていただいて簡単に画面が見せられます。
患者さんの見やすいように画面を見せながら、「ここが腎臓です、ここが膀胱です」と、お話しをしながらエコー検査をすると、とても安心されます。安心されて、リラックスされていると、通常の問診では聞けない主訴を聞けることもありますので、iViz airのようなワイヤレスエコーは問診にも役立つと実感しています。
若松さん 私は骨盤底筋トレーニングの指導でもエコーを活用していますが、iViz airのようなポータブルエコーを活用すれば、病棟でも空いている外来の診察室でも、どこでもトレーニングができます。
また、骨盤底筋トレーニングでバイオフィードバックを行う際は、患者さんにエコー画像を見せながら筋肉を動かしてもらいます。その場合に、ワイヤレスであれば、筋肉を動かしやすい姿勢で画像を見ることができると思います。
黄先生 現在ではエコーが身近な存在となっていますので、聴診器と同じような感覚でピンポイントで使用すれば、その場で治療方針が立てられる。それが病棟でも往診でもどこでもできることがポータブルエコーの最大の強みだと感じています。
また、患者さんの立場でも、その場で正確に診断して、すぐに治療をしてもらえるというのはメリットが大きいですし、納得度や満足度も高まると思います。
- 販売名
FWUシリーズ
- 認証番号
301ABBZX00003000
総合病院厚生中央病院 泌尿器科 医長
黄 和吉 先生
主な経歴
東京医科大学病院、船橋市立医療センター、新百合ヶ丘総合病院など
専門(学会等)
日本泌尿器科学会 泌尿器科専門医・指導医
日本泌尿器科内視鏡学会
泌尿器科医になったきっかけ
私が泌尿器科医になったきっかけは、ロボット手術や腹腔鏡手術に興味を持ち、手術の技術を磨きたいと思ったことでした。
悪性腫瘍に対するロボット手術をメインに行う大学病院や基幹病院などで、長く働いておりましたが、数年前に今の厚生中央病院に転勤となり、前立腺肥大症や結石などの良性疾患の治療を主に携わることになりました。
そこで排尿自立支援に関わるようになってから、排尿ケアの問題の難しさや、それをクリアした時の患者の姿にやりがいを感じ、排尿ケアに達成感を強く覚えるようになりました。