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近年、エコーはさまざまな医療シーンで活用され、検査技師のみならず医師や看護師がエコーを用いる機会も増えています。このような使用シーン、使用者の広がりの中で、エコー検査の目的や性質にも違いが生まれてきています。
私は医師になった当初からエコーを使用し、現在は年間に1000件以上のエコー検査を行っていますが、私が行っているエコー検査は、いわゆる“スクリーニング検査”ではありません。その場で、医師自らが、見たい場所を見る「ポイントオブケア超音波(以下、POC超音波)」です。問診、触診を補うかたちでPOC超音波を行うことで、より正確かつ迅速な治療が可能となり、かつ、エコーの結果を自分にフィードバックすることで触診の精度向上につながるというメリットが得られるのです。
このようなPOC超音波では、iViz airのような「小型・軽量」で、取り回しの良い「ワイヤレス」のエコーが重宝されます。
私は、岩手県の一関市国民健康保険藤沢病院を中心とした病院事業の事業管理者を務めるとともに、同院で診療を行っています。現在は外来と病棟を担当し、外来は月曜~土曜まで11コマ、私が1日に診察を行う患者さんの数は平均40人程度です。糖尿病や高血圧、高脂血症などの慢性疾患の患者さんが多くを占める一方で、内科の疾患のみならず上腕二頭筋長頭腱炎や難治性の巨細胞性動脈炎、急患のめまいなどを診る機会もあり、エコー、CT、MRIなどを駆使してさまざまな疾患にアプローチしています。
私がエコーに取り組み始めたのは、大学を卒業して間もない昭和54(1979)年頃から。それ以来、エコーを使用し続けており、現在の病院に赴任する前の13年間は呼吸器内科に所属し、肺エコーに力を入れていました。呼吸器内科においては、主に胸水の採取や胸膜に接した腫瘍の生検などを行う際にエコーを使用します。当時からリアルタイムで観察できるエコーは、穿刺時に針先が確認でき、微調整が容易になるので、手技の精度や技術の向上につながると感じていました。
私がエコーを使用するのは年間に1,000件以上。問診はすべての患者さんに行いますが、長時間の問診が危険を招くこともあります。例えば、動悸、息切れ、意識障害を訴えている患者さんで、心嚢液が貯まっているケースであれば、それを放置してゆっくりと問診をしていると命に関わります。問診、触診を補うかたちでエコーを用いれば、気胸、胸水、心嚢液の有無、静脈は腫れていないか、膀胱に尿はあるのかということが、観察のポイントさえ押さえていれば2分程度で分かるので、正確かつ迅速な治療につなげられます。私は“触診の延長線上にエコーがある”と考えていて、触診の先、つまり自分の手の先にエコーがあるというイメージを持っています。
触診の精度向上という観点からも、触診の延長としてエコーを用いることが有用だと考えています。例えば、甲状腺を触ってみて、右葉に5mm、左葉に10mmの結節と推測したとします。そこで、エコーをあてたところ、実は右葉の方が大きかったというのであれば、それを自分にフィードバックして触診の精度を高めていくことができます。
このように、エコーを用いれば、その場で、自分で、診察を継続している間に、欲しい情報が得られる。そして、すぐに答え合わせができる。これを継続していくことで、より正確かつ短時間で診断できるようになっていきます。
CTやMRIももちろん有用ですが、触診技術の向上という点においてはリアルタイムで情報が得られるエコーに分があります。さらに、エコーで得られた所見をもとに考え、疾患を絞り込んでいくというアプローチを続ければ、よりスムーズに診断ができるようになっていくと思います。
エコーというと検査室で行うスクリーニング検査と思われている先生も少なからずいらっしゃいますが、私が行っているエコー検査は「POC超音波」と呼ばれるものでスクリーニング検査とは目的や性質が異なります。スクリーニング検査は指定された領域をもれなく検査するもの、それに対してPOC超音波はその場で見たいところだけを見るもので、特にプライマリケアにおいては非常に有効なアプローチだと実感しています。
気胸はないかなと思って、エコーをあてて、なければ心配しなくて良い。心タンポナーデかなとエコーをあてる、タンポナーデはない、心筋梗塞もないようだなと安心できる。これだけの情報でもさまざまな判断に大きな影響を与えますし、納得して次のステップに進んでいけます。もちろん詳細な観察や評価は検査室で行うべきですが、今、「痛い」と言っている患者さんに翌週の検査予約を入れても意味がありません。そのような時に、その場でパッと自分でエコーをあてる。こうした使い方ならエコーを含めても診察時間は1人あたり5分程度です。同じ装置を使って、同じような検査をしているように見えるかもしれませんが、スクリーニング検査とPOC超音波はまったく目的や性質が異なるのです。
「ワイヤレス」というのは臨床においては大きなメリットになります。取り回しが良くなるのはもちろん、限られたスペースでも患者さんに画面を見せやすいので、患者さんの納得度、満足度の向上という点でも有用だと考えています。プローブについては、関節や甲状腺などを除けば、ほとんどコンベックスで対応できていますし、特に救急においてはほぼすべてコンベックスで対応しています。救急車が来た時に、エコーでいくつかのポイントを見れば、おおよその予想がつけられますし、煩雑な救急現場では「ワイヤレス」という特長がさらに活きるのではないかと考えています。
また、iViz airの長時間バッテリーも有用だと実感しています。私の使用頻度では、訪問診療においても院内においても、特にバッテリーを気にせず診療や検査に集中できており、長時間バッテリーは、ポータブルエコーをさまざまな場所で活用するにあたって大きな意味をもつと思います。
さらに、iViz airは小型・軽量なので、さまざまな場所に持ち運びができ、いざとなれば医師自らがポケットに入れて持って行って、リアルタイムで患部を観察できます。ここで私自身が特に重要だと考えているのは「医師自ら」が「どこでも」エコーを用いることができるという点です。誰かに頼まなくても、その場で知りたいことや否定したいことが得られ、CTやMRI、採血といったステップに進める。医師が安心して患者を次のステップに送り出す上で、エコーの活用は有用と考えています。
当院のように専門医はもちろん医師も少ない地域においては、ヒトやモノが足りなければ自分で解決するというのが基本になります。私自身も泌尿器、神経内科、眼科、整形外科など、専門としている内科領域以外でも幅広い疾患でエコーを使用していますし、それと同時にさまざまなセミナーに参加したり、各領域でエコーの第一人者と言われる先生からお話をうかがったりして勉強を続けています。
そして、当院では、すでに病棟での尿量の評価で看護師にエコーを活用してもらっていますが、さらに排便ケアにもエコーの使用を拡大していくことも検討しており、今後、便についての教育や、エコーで便を見た時の見え方などの指導を実施していきたいと考えています。
- 販売名
FWUシリーズ
- 認証番号
301ABBZX00003000