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横浜市立大学付属病院 次世代臨床研究センター
教育研修室 肝胆膵消化器病学教室
三澤 昇 先生
多くの医療関係者は、超音波検査といえばスクリーニング検査を連想するかと思います。一方、ポータブルエコーを使用する主な目的はポイントオブケアです。検査室で行う検査とは異なり、日々の診察の中で患者さんと対話しながら使用するコミュニケーションを主体とするエコーであるとも言えます。
ポータブルエコーのある日常は、患者さんだけでなく、医師をも幸せにすると思っています。それは消化器内科の「伸びしろ」であると感じています。
私は、横浜市立大学付属病院の消化器内科・消化管グループに所属し、「外来」「病棟」「内視鏡」の3本柱で診療しています。患者さんは老若男女問わず、20代から90代まで。専門領域は食道、胃、小腸・大腸で、悪性腫瘍や機能性消化管疾患も診ています。担当している患者数は外来(9時~12時)で約20人、病棟では消化管グループの医師数名で、10~15人診ています。
これまで、外来や病棟でのエコーの使用頻度は、週2~3回程度。症状として多いのは、急性腹症ですが、便秘や下痢の機能性消化管疾患の患者さんにもエコーを当ててどういう所見があるのかを探していました。
エコーの使用頻度としては、決して多い方ではありませんでした。理由は、消化器内科にかかる患者さんは緊急性が高いケースが多く、「疑わしければCT」という文化があるためです。
ただし、私はこの文化に100%満足しているわけではありません。エコーは最も侵襲性の低い検査の一つです。低侵襲という点で我々はエコーを信頼しており、これまで以上に使用頻度を上げられたら、必要のないCT検査が減らせるかもしれません。そんな背景を踏まえて、今回、iViz airを導入し、さまざまな可能性を見いだすことができました。
最大のメリットは、スムーズにエコー検査が行えることです。
従来、診察結果は口頭中心で説明しており、特に病棟においては、口頭で「良くなりましたよ」と簡単にお伝えさせていただくことも多くありました。iViz air導入後は、患者さんのお腹にエコーを当てながら「お腹の水がないですよね」と一歩踏み込んだ説明をすることで、患者さんの納得感・満足感を高められると感じています。
また、多くの患者さんは、「お腹の超音波」=「大きな機械を使って検査室で行う検査」だと思っています。ワイヤレスのiViz airをお見せすると、驚かれますし、丁寧に診察してもらったという印象を持たれるようで、「ありがとう」とお礼を言われることもあります。患者さんの満足度は高く、医師・医療関係者の信頼に寄与していると感じています。
スクリーニング検査だと時間がかかりますが、iViz airのようなポケットエコーで行うPOC検査は、短時間で気軽に行えます。ポータブル、ワイヤレスというお手軽感で、患者さんも身構えている感じがありませんし、「ちょっと軽く当ててみましょうか」と促せるのは、医師にとってありがたいことだと思います。
また、病棟で活用するメリットは、「装置の移動」から解放されることです。ポケットエコーには短時間で起動できるものが多く、さまざまな場所に携帯できます。ワイヤレスのエコーはバッテリーの持ちが気になるところですが、私の使用頻度では、iViz airはバッテリーが十分に持続すると感じています。
プローブについてですが、消化器領域で一般的に多く使用されるのは、コンベックスとマイクロコンベックスの2種です。見る時はコンベックスで、穿刺系などの処置する時はマイクロコンベックスが選ばれる傾向にあります。ポケットエコーでも、消化器を見るなら、コンベックスがいいと思います。
冒頭で、「伸びしろがあると感じている」と述べました。それは消化器に限ったことではないと思います。快適に使用できるので、研修医への指導頻度も増えると思います。また、場所を問わずパッと起動させて、患部に当てながら説明できるので、時短につながる点でも優れていると思います。院内での会話が増え、職場のコミュニケーション活性化も期待できるはずです。
大学病院のような規模だと、研修医用のポータブルエコーを導入しているケースもあるかと思いますが、iViz airは中小規模のシニアレジデントや初期研修医の指導用に活用できると思います。エコーは長く重宝することを思えば、導入コストは、近い将来ペイできるかもしれません。ポケットエコーで、医療現場はさらに進化するかもしれない、私はそうした可能性すら感じています。
- 販売名
FWUシリーズ
- 認証番号
301ABBZX00003000