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日本

ポータブルエコーのインタビュー

在宅医療の現場で注目が集まるポケットサイズのポータブルエコー「iViz air」

このコンテンツは医療従事者向けの内容です。

医師 / 在宅
一般社団法人medX 神田川訪問診療所 診療部長/悠翔会在宅クリニック川崎 前院長
宮原 光興 先生

高齢人口の急速な増加に伴い、在宅医療の現場に求められる医療レベルは高まり続けています。そんな中で、在宅医療に欠かせないものとして、今、ポケットサイズの超音波機器が注目を集めています。

息苦しい、吐き気がする、悪寒がする、お小水が出ない、お腹が痛い‥‥患者さんたちの症状は日々さまざまです。背景には、日常的な便秘や感染症から、腸閉塞やがんの転移、腹膜播種、あるいは服用中の薬物の影響などが潜んでいることもありますが、問診や聴診、触診などでは判断がつかないことも少なくありません。

こんなときに有用なのが、ワイヤレス超音波画像診断装置「iViz air」のようなポータブルエコーです。たとえば腹痛があり腹部に張りが見られる場合、疑わしいと思った部位に素早くプローブを当てて画像をチェックすれば、腹水や膀胱、腹腔内の出血などが把握でき、在宅で処置すべきか、病院へ搬送して精査すべきか、経過観察とするか、の振り分けができます。

病院でのスクリーニング検査が、症状の乏しい人の中から疾患を発見することが目的であるのに対して、ポータブルエコーの目的はポイントオブケア。観察部位を限定し、そこから必要な情報を得て、その場で問題を発見し、その場で判断することなのです。

iViz airは、軽量で小型なので、私は常に持ち歩き、聴診器と同じように、毎日使っています。

こんなときにエコーを活用

高齢者は排泄面での問題を抱えがちですが、なかでも多いのが「お小水が出ない」というケース。原因は尿がつくられていないからなのか、膀胱には溜まっているけれどもその先に問題があるのか。これは膀胱や腎臓にエコーを当てれば一目瞭然。患者さんに苦痛を与えることなく原因を特定し、対応することができます。エコーを使うことで、原因特定のために必要のない導尿カテーテルなどを行って、患者さんに負担をかけるようなことをしなくてすみます。

エコーで除外診断ができるケースも少なくありません。大腸がん多発肝転移の85才の女性が、悪心嘔吐を訴えてきました。そこで、エコーを当てて、腹水が溜まっているか、肝臓転移の腫瘍の大きさはどうか、腸閉塞を起こしていないかなどをチェック。この時点で、一番怖い腸閉塞を除外することができました。結果的には、この患者さんは疼痛緩和の目的で使っていた麻薬の量が増えたことによる嘔吐でした。

また、エコーは、治療だけではなく手技の確認にも使えます。腹水や胸水が溜まって辛い場合、在宅で腹水穿刺、胸水穿刺を行って水を抜くこともあります。これが在宅で可能なのは、エコーをあてて、安全な穿刺位置を探すことができるから。もしエコーがなかったら、ただでさえ辛い状態の方を病院へ搬送しなくてはなりません。それがエコーによって、在宅で穿刺が可能となり、それによって一時的であれ症状が緩和され、住み慣れた場所で過ごすことができるようになるというわけです。

在宅医療におけるポータブルエコーのメリット

在宅医療の現場は、病院と同じだけの判断材料を持つことができません。手持ちのものを最大限に活用して、いかに方針を定め、よりよい判断につなげていくのか。在宅医療には、常にこの視点が求められます。

その点から考えると、iViz airの最大の価値は、軽くて小型の「ポケットサイズ」であることに加え、「ワイヤレス」のためコード不要であることから、スマホや財布と同じ感覚で、常に携帯できるということです。このサイズなら、必要に応じて持ち歩くのではなく、いつでも持ち歩くことができます。私は常に持ち歩き、診察するときはいつも一緒。だから、やりたいと思ったことが、その場でできる。これが、最大のメリットだと思います。

ワイヤレスであることの良さは、実際に診察で使ってみて実感しました。コードがないことで非常に取り回しがよくなり、ベッドの周りにモノがあふれ足の踏み場もないお宅であっても、プローブを患部にしっかりあてることができます。また、コードが付いていると、コードが室内のあちこちに触れてしまい、衛生面での不安がありましたが、ワイヤレスになったのでそれも解消されました。手入れもしやすくなり使い勝手はぐんと向上しました。

私はお腹を見ることがいちばん多いのですが、お腹を見るにはコンベックスが最適だと思います。とくにコンベックスプローブは浅いところの視野が広く膀胱全体が視野に収まるので見やすく、コントラストもはっきりした高画質で安心感があります。さらに、コードがないので、ストレスなく自由に使うことができます。

iViz airのバッテリーは長時間持ち、十分以上だと思います。通常のお宅訪問なら、1日に10~20人、施設への訪問診療だと、1日30人診ることもあるのですが、バッテリーは1日十分に持つため、残量にヒヤヒヤしたことはこれまでに一度もありません。

在宅医療は総合診療であり、ポータブルエコーを活用する機会は非常に多いと考えられます。とくにiViz airのようなポケットサイズのワイヤレスタイプなら、常に携帯することが可能なため、使用機会はさらに広がるでしょう。

導入コストはかかりますが、毎日でも持ち歩いて使えること、そして、在宅医療の可能性を押し広げることを考えれば、十分に見合う価値があります。週1~2回程度の使用が見込めるなら、検討してもよいのではないでしょうか。

販売名

FWUシリーズ

認証番号

301ABBZX00003000