このコンテンツは医療従事者向けの内容です。
創立以来、地域の方々の健康と生活を支えることを使命とし、現在は腎部門、健診部門、老人医療・福祉部門の3部門で構成される「善仁会グループ」。総合的な腎疾患診療を行う2つの病院と、透析導入した患者が通うクリニックなどがネットワークを組む「腎部門」において、ワイヤレス超音波画像診断装置「iViz air」と超音波画像診断装置「FC1」を導入した理由やその使用感、医療安全への取り組みなどについてお話をうかがった。
善仁会グループ
笹川 成 氏 横浜第一病院バスキュラーアクセスセンター センター長 医師
島津 ひとみ 氏 腎部門腎運営推進部看護部 部長 看護師
金岡 泰行 氏 腎部門腎運営推進部臨床工学部 部長 臨床工学技士
小田 恭久 氏 運営管理部門運営支援本部総務部 次長 事務
鈴木 安信 氏 腎部門腎運営推進部サポートセンターシャントエコーチーム 次長 臨床工学技士
遠藤 武夫 氏 腎部門腎運営推進部教育研修センター 課長 臨床工学技士
金岡氏 患者さまからのエコーガイド下穿刺への要望や、より安全で確実な穿刺の追求などの観点からエコーの導入を検討し、笹川先生とともに装置の選定を進めた結果、画質が良いと感じられ使い勝手も良いiViz airの導入に至りました。
現在は、グループ全体で30台以上のiViz airを主に穿刺用として使用し、シャントの機能評価にはFC1を使用しています。
笹川氏 エコーを導入する前は、クリニックから穿刺困難などで横浜第一病院のバスキュラーアクセス外来にマッピング依頼があり、外科医あるいは臨床検査技師がエコーを用いてマッピングを行っていました。しかし、そのマッピングは紙に書いた2次元の情報であったため、血管の深さや蛇行などが分からないという課題がありました。エコーが現場にあることで、より安全かつ確実に穿刺ができるので、患者さまから喜ばれていますし、スタッフの心の余裕にもつながっていると思います。
また、チーム医療の中では、エコーを用いて穿刺あるいはマッピングを行う際に、医師、臨床工学技士、看護師がエコー画像を見ながらディスカッションできるので、コミュニケーションが活性化したと感じています。
さらに、シャント閉塞の患者さんが透析日にバスキュラーアクセスセンターに来院されると、その日のうちに治療方針を決定し手術を行い、場合によっては透析も行わなければならないこともありますが、日によってはキャパシティの問題でどうしても手術が行えないこともあります。そうした時に、クリニックでエコーを用いて何とか穿刺をして透析できれば、2日間の余裕が生まれるところもメリットだと思っています。
島津氏 現状でエコーガイド下穿刺を行える看護師は一部にとどまっていますが、エコーが使える看護師は自信を持って穿刺を行っていて、急な穿刺依頼などへの対応力も高まっているように思います。
また、逆紹介患者さまの受け入れという点では、年間に数件程度、基幹病院から「エコー下穿刺はできますか?」と問い合わせを受けることがあるため、逆紹介患者を受け入れる場合はエコーガイド下穿刺への対応が絶対条件になりつつあると感じています。
金岡氏 透析に関わる医療従事者は「穿刺が上手くなりたい」という思いが強く、ブラインドのスキルに加えて、エコーのスキルも身につければ、自信になり、モチベーションも高まっていくので、エコーガイド下穿刺の拡大は急務だと認識しています。そこで、エコーの台数を着実に増加させるとともに、エコーの教育も進めています。
金岡氏 エコーガイド下穿刺を安全に行うためには、手技を身につけるだけでなく、バスキュラーアクセスなどに関する知識も重要だと考えています。そこで、エコーガイド下穿刺の研修では、笹川先生を始めとするバスキュラーアクセスセンターの先生方からバスキュラーアクセスについてのレクチャーをいただいて、より安全を担保していけるよう取り組んでいます。そして今後は、より多くの臨床工学技士がエコーガイド下穿刺を学べる環境を整えるために、指導者の育成にも力を入れていきたいと考えています。
島津氏 看護師からも「エコーの技術を身につけたい」という声をよく耳にしていて、やはり1回で確実に穿刺したいという思いが強いのだと思います。エコーは穿刺のガイド以外にもさまざまな用途があり、スキルを身につければ現場での対応力が高まります。今後は臨床工学部とも連携しながら、看護師へのエコー教育を検討していきたいと考えています。
鈴木氏 善仁会グループでは、2013年10月からグループのクリニックを巡回して、シャントエコーを行う取り組みを実施しています。現在は専任3名、透析室と兼任9名の計12名の臨床工学技士が約80か所のクリニックを巡回して、FC1によるシャントエコーを実施しています。巡回超音波検査では、定期的にバスキュラーアクセス外来に通院・治療している患者さまや、シャントフォローを行っていない患者さまや脱血不良、静脈圧上昇、穿刺困難などの理学的所見に問題がある場合に対して、シャントの機能評価、形態評価を行います。検査を行った結果、外来受診の判断が必要になることがあります。
2020年の診療報酬改定で、「透析シャント閉塞の場合かシャント血流量が400ml以下または血管抵抗指数(RI)が0.6以上」の場合は、前回のPTA より、3か月以内でもPTA可能とする基準が設けられたので、その基準に準拠し、バスキュラーアクセス外来への受診へと繋げております。
笹川氏 巡回超音波検査には、バスキュラーアクセスのトラブルの早期発見や、バスキュラーアクセスセンターへの通院の要否をその場で判断できるといった有用性があり、評価の精度も年々向上してきていると感じています。
笹川氏 現在は透視下でのシャントPTAが一般的ですが、当グループではシャントPTA の90%以上をエコー下で実施しています。具体的には、鎖骨下静脈から中枢は透視下で行いますが、それより末梢であればエコー下で評価も治療も行います。今後は、より多くの施設でエコーが活用されていくと思いますし、患者さまからのニーズなども踏まえると、透析領域におけるエコーは「あって当たり前、なければ患者さまの満足度が低下してしまう。」という存在になっていくのではないかと考えています。
- 販売名
FCシリーズ
- 認証番号
226AABZI00003000
- 販売名
FWUシリーズ
- 認証番号
301ABBZX00003000