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日本

導入事例天草市立栖本病院

コロナ禍で活躍するSupria Grande FR
検査スピードの向上により天草地域の高齢者や感染症患者さまにやさしい検査を提供

このコンテンツは医療従事者向けの内容です。

天草市立栖本病院は、栖本町の地域医療の中核を担うとともに、第2種感染症指定医療機関として、新型コロナウイルス感染症患者の受け入れも行っています。

今回、新型コロナウイルス感染症重点医療機関など設備整備事業の補助金を用いて導入されたSupria Grande FRについて、また日々の感染対策について、本田秀次郎技師にお話をうかがいました。

  • * 本記事は掲載当時の記事であり、記載中の社名、施設名などに古い表現が含まれています。
はじめに、天草市立栖本病院の概要について教えてください。

病院外観写真

当院は昭和29年に結核病床120床を有する療養所(診療科目:内科、呼吸器科)として開設されました。結核病床(稼働病床)を有する指定医療機関として、第2種感染症指定医療機関に指定されています。

開設当初は結核診療が主体でありましたが、平成4年に移転、平成18年に2市8町が合併し天草市が誕生し名称も栖本町立病院から天草市立栖本病院へと変わりました。社会情勢の変遷や疾病構造の変化に応じて一般病床や結核病床などを見直し、段階的縮小を行い、救急病院としての機能の充実、糖尿病内科の新設などを行いました。

天草市栖本町とその近隣の地域医療への貢献とともに、近隣住民の健康増進にも力を入れております。

当院のある天草市は高齢化率40%を超えており、全国平均よりも非常に高く高齢化が進んでおり、当院の役割も重要になってくると思われます。

栖本病院では、2021年9月にCT装置を更新されました。その経緯を教えてください。

2020年より新型コロナウイルスの世界的感染が広がり、天草地域においても医療提供体制のひっ迫が予想されたため、公的病院の使命として20年8月より結核病棟への新規入院患者さまの受け入れを休止し、新型コロナウイルス感染症患者さまの受け入れの対応を開始しました。受入病床として10床を確保しています。

当院は、保健所からのトリアージ依頼、発熱外来からの新型コロナウイルス感染が疑われる場合、PCR検査後に入院となる場合などにCT検査を行っています。

更新前は富士フイルムヘルスケア株式会社のSupria*1(16ch)を使用しておりましたが、導入後7年経過し更新の検討をしていた事や、呼吸器疾患、高齢者など息止め困難な被検者の割合が大きく増加、また新型コロナウイルス感染者の撮影室内の滞在時間をより短くするために、新型コロナウイルス感染症重点医療機関など設備整備事業の補助金を用いてCT装置の更新を検討しました。重要視した点は、①撮影スピードの向上により息止め時間を短縮し、呼吸器疾患の被検者の安定した画質向上を行えること、②エックス線装置と同室の設置のため、コンパクト設計であること、③簡便な操作性の三点です。①については、院内でSupriaの画像評価もよく、64chへの更新によりさらなる撮影時間が短縮され、より安定した画像を得ることが可能であると容易に想像できました。②については、更新前の装置と設置スペースが同一であるため、被検者の取り回しに関して、全く心配いりませんでした。③操作性については、夜間休日などドクターが撮影することがあるので画面レイアウト、操作手順など更新前とほぼ同じ様に操作できる事などが重要なポイントでした。

CT室写真
新型コロナウイルス感染症重点医療機関など設備整備事業の補助金を用いて64ch CT装置 Supria Grande FRとフラットパネルシステムを導入

  • *1 Supria およびSupria Grande は富士フイルムヘルスケア株式会社の登録商標です。
Supria Grande FRの稼働状況はいかがでしょうか。

特に検査が多いのは、呼吸器疾患の患者さまの胸部となりますが、全身領域においても短時間かつ高画質な検査を実現できております。

また施設の特性上、高齢者が多いため、撮影時間が長いと姿勢保持、息止めがうまくいかないなどの問題がありました。今回の更新により短時間で撮影が終了できるため、被検者の負担を軽減し検査できることが一番の向上点です。

Supria Grande FRは演算速度も速いため、画像再構成もあっという間に終了し、画像をきちんと確認した上で患者さまをベッドから降ろすことができ、次の画像作成に移れるため、患者さまの待ち時間短縮などにも貢献しています。

画像に関しては、従来と同じ撮影範囲の際にもピッチを上げなくても撮影時間が短く、被ばく線量も少なくでき、さらに以前より良好な画像が得られるなどのメリットがあり大変満足しています。

補助金により導入をさせていただいたので、新型コロナウイルス感染症患者さまや感染が疑われる患者さまのCT検査の割合も増加しております。病院の取り決めとして、新型コロナウイルス感染症患者さまの検査は、感染症対策として一般患者さまとの接触をなるべく避けるため、一般外来後の夕方に撮影をしています。また、動線も正面玄関からではなく、結核病棟側の入口を利用し、ついたてを立ててプライバシーの保護にも努めております。

撮影時には固定ベルトを外した状態で寝台にディスポのシーツを敷いて撮影しています。64chへの装置更新により、撮影スピードが向上したことは、被検者のCT室滞在時間の短縮にもなり、感染対策としても大変メリットがあると考えています。

高齢患者(85Y)の短時間撮影画像
胸部領域を4秒でスキャンしているため、息止め困難な被検者の際にも安定した高画質を実現

一般患者と感染症患者の動線について
一般患者の動線を赤矢印
コロナウイルス感染症患者(疑い患者も含む)の動線を緑矢印
CT室の先についたてを置き、プライバシーにも配慮

新型コロナウイルス感染症患者のCT画像
保健所からのトリアージ依頼にて来院
すりガラス陰影のエリアの減少、網状影に変化していっている様子がわかる

日々、新型コロナウイルス感染症患者さまの検査に向き合われておられますが、感染対策としてどのようなことに気をつけられておりますか。

まずは、自分が感染しないこと、そして感染者を出さないこと。そのためには、触れた場所はこまめに消毒を行います。最近ではスプレータイプのものもあり重宝しています。

当院は、放射線科業務を一人で行っているので、自分で動ける患者さまは言葉などで誘導する、重症度が高い患者さまの場合はPPE:Personal Protective Equipment(個人用防護具)を装着した看護師と連携するなどし、撮影時に直接触れることが極力ないようにしています。また、手袋、ガウンなどのPPEは、なるべくスムーズに検査を行うために、複数枚身に着けて、撮影室との行き来のたびに室内で脱ぐようにしています。それでも、装置側、操作室側の触れたところは、入念に消毒を行うようにしています。

幸いにも現在まで院内での感染は発生していないので、今のやり方を続けていこうと思っています。

放射線科での感染症対策
撮影時は固定ベルトを外した状態で寝台にディスポのシーツを敷く、除菌クロスや除菌スプレーの活用、PPEは複数枚装着

当社のCTに今後期待することは

16ch装置では、撮影の速さと画質は一部トレードオフな部分もあり、両立することは困難でした。今回のSupria Grande FRへの更新で、この両立が実現したことには、とても満足しています。当院のように、心臓検査までは必要としていないのですが、高齢者の検査割合が非常に高いなど、撮影スピード向上への要望が高い施設は多く、今後も増えていくと予想されます。今後もコンパクトなまま、撮影スピードと画質のベストバランスを追求した装置開発をお願いしたいと思います。

本田技師とSupria Grande FR

販売名

全身用X線CT診断装置 Supria

医療機器認証番号

225ABBZX00127000