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日本

プロジェクション機能開発者インタビュー

ユーザーにやさしいプロジェクション機能

このコンテンツは医療従事者向けの内容です。

機能の概要を教えてください。

「プロジェクション機能」開発のきっかけ

まず、私たちが装置開発をする際に最も重要にしていることは、受診者さんにやさしい装置であることです。これを達成するために現場の先生方や技師さんの生の声を大切にし、扱いやすく検査がしやすい装置の提供をめざしています。

マンモグラフィ検査は、ほかのX線撮影と比べてもポジショニングが重要かつ難しいという声を国内外でよく耳にします。

調査していくと、乳房を左右対称に撮影すること、過去画像と比較できるように再現性のある撮影をすることに難しさがあることがわかりました。この部分は技師さんのポジショニング技術によって実現されていることがわかり、何とか私たちの技術でサポートできないかと考えたことが開発のきっかけです。

ポジショニングをサポートするためにー技師さんの頭の中を可視化するー。

左右対称にすることや、過去画像と比べやすい再現性のある画像を撮影するために、技師さんが行っていることに着目しました。

そこで分かったことは、検査前に過去画像から乳房を引き伸ばす量と、圧迫圧や角度などの撮影条件など、多くの情報を頭に入れてからポジショニングを実施しているということです。この頭の中にある情報を、撮影時に可視化できれば、情報を覚えるという労力を減らすことができ、また狙ったとおりのポジショニングをするサポートができるのではないかと考えました。

最初のアイデアは、マンモグラフィ装置の横にモニターを併設させて、前回撮影した画像やニップル位置の目印を表示する機能です。しかしこれでは、確認のために目線を乳房から外すことになるため、ポジショニングの流れを妨げてしまうと考えました。自然な形で確認できるようにするにはどうすれば良いだろうと考えた結果、技師さんが撮影中に頭の中で描いていることをそのまま撮影台に可視化するというイメージが生まれ、撮影台や圧迫板に直接表示させるアイデアに繋がりました。
これなら、経験の少ない技師さんや過去画像を確認する時間がない忙しい現場でも、過去の情報は装置に任せられ、狙ったポジショニングをするサポートになるのではないかということで、プロジェクション機能の開発がはじまりました。

製品化までの道のり

マンモグラフィ装置にプロジェクション機能を組み込むには、装置のなかにプロジェクターを配置し、検査を妨げない形で投影させる必要がありました。この過程でさまざまな課題が浮かび上がりましたが、なかでも特に3つの問題に苦労しました。

1つ目は、プロジェクターをSIDが650mmの限られた空間に設置することでした。一般的なプロジェクターで考えると非常に焦点距離が短いことはもちろん、通常、スクリーンに映像を投影する際には、プロジェクターの位置や角度を調整して映像の大きさや焦点を合わせますが、マンモグラフィ装置の狭い空間内でそれを実現しなければなりません。さらに、プロジェクターからの熱の排出も考慮する必要があり、設計段階で多くの課題に直面しました。

2つ目は、投影情報の視認性です。
マンモグラフィはデリケートな部位を撮影するため、多くのご施設で照明に気を配られています。暖色系の照明を使用している部屋や、清潔感のあるクリアな照明を使用している部屋などさまざまです。
これらの異なる条件下で、投影されたラインや文字などの情報がはっきり見えるよう、文字のサイズや線の太さ、色などを試行錯誤しながら調整しました。また、情報を投影する部分についても、ポジショニング時の視界を邪魔しないようにすることも気をつけ、材質にもこだわりました。

3つ目は、タイムリーに情報の投影を可能にする内部ソフトウェアの処理速度でした。
ポジショニング解析機能から取得しているスキンラインやニップル位置情報と、圧迫板の現在の圧力や乳房の厚みの情報をあわせて、高さの変わる圧迫板に連動し、文字のサイズを拡縮させながら投影します。
また、さまざまな情報を投影させても、技師さんの検査スピードに遅れないよう、処理速度にも重点を置きました。ポジショニングを終えてから撮影スイッチを押すまで、技師さんは走って移動することもあります。このスピード感を妨げないようにするため、技師さんや社内の多くの意見を取り入れながら開発を進めました。

機能の活用について

最後に

AI技術を使って開発したこのポジショニングツールは、マンモグラフィ撮影の現場において新しい可能性をもたらしてくれることを期待しています。技師さんの負担軽減や受診者さんも含めた利便性向上によって、より正確で迅速なポジショニングが実現できることを心から願っています。