このコンテンツは医療従事者向けの内容です。
特定健診や各種がん検診、特定保健指導、ストレスチェックなどのメンタルヘルス対策といった県民の心と体を総合的に支援する取り組みを行う公益財団法人群馬県健康づくり財団。マンモグラフィ検診車に導入したコンパクト型デジタルマンモグラフィ「AMULET ELITE」の使用感などについてお話をうかがった。
当財団は、県民の総合的な健康作りを推進するため、がん・心臓病などの生活習慣病や結核などの疾病予防、早期発見、健康の保持増進、ならびに生活環境の保全に関わる事業を行い、もって公衆衛生の向上と地域社会の健全な発展および県民の保健医療福祉の向上に寄与することを目的としています。
近年は、コロナ禍の影響により健(検)診の受診控えや健(検)診自体に対する関心が低下するなどの影響で、受診率が減少傾向にありました。しかし現在は、新型コロ ナウイルス感染症の感染法上の位置づけが5類に移行したこともあり、関係機関や団体などと協力して、受診率の回復・向上にむけた取り組みを積極的に進めています。
具体的には、受診しやすいショッピングモールなどや、休日・夜間の健(検)診の実施、各種の健(検)診を同時に受けられる総合健診の実施を進め、受診者の利便性を高めた健(検)診の提供を心がけています。また、受診者の目線にたち、「受診して良かった」と感じてもらえるような接遇を職員一丸となって取り組んでいます。
2022年度はマンモグラフィ検診車で2万679件、施設内で1,914件の合計2万2,593件の検査を実施し、マンモグラフィ検診車の稼働については、3台の合計で年間369回となっています。
マンモグラフィ検診車に搭載していた装置の老朽化に伴って選定を開始し、受診者の方に精度の高い検診を提供できることに加えて、車載に適したコンパクトさや振動・衝撃への耐性、集団検診に対応できる操作性、低線量で高精細な画像が得られることなどを重視して選定を進めた結果、AMULET ELITEの導入に至ったと聞いています。
私自身は導入前に日本乳癌検診学会でAMULET ELITEに触れる機会があり、その際は操作部の形状も含めてデザインが良く、使いやすそうな装置だと感じました。
まず、画質については、高濃度乳房の方の乳腺内の淡い石灰化や境界の不明瞭な陰影の描出がとても良いですね。また、5メガピクセルのモニターを用いて等倍で観察すると、多角や円形、中が抜けているといった石灰化の形状までしっかりと分かります。また、従来の装置*1では乳腺や脂肪がほとんどない乳房の方は全体がグレーの画像になり、その中にある石灰化が見つけづらかったのですが、AMULET ELITEではそういった症例でも石灰化が明瞭に描出されました。さらに、皮膚の直下や大胸筋上の石灰化や脂肪が見やすく、FAD内に脂肪が含まれているかも分かりやすいと思いました。
次に、機能・仕様面では、左右画像の位置合わせ機能、シングルタッチ機能(ワンタッチで設定した角度に撮影台を回転させてスピーディな検査を実現する機能)が便利ですね。また、従来の装置*1と比較すると撮影面のサイズが大きくなり、従来は2回に分けて撮影していたような大きい乳房の方でも1回で撮影を終えることができるようになりました。加えて、始業点検時に使用している品質管理ツールの使い勝手も良く、精度の高い品質管理ができていると実感しています。
車載は、車両が走行するため装置の固定が必要になります。また、AMULET ELITEは直接変換方式FPD搭載なので温度管理も必要になってきます。装置の固定は大がかりな固定具も不要で手間も負担も感じていません。
温度管理についてはFPD部分のみの温度を一定に保つ温調キットを使用しています。温調キットは私の体格では少し大きく感じますが、スペースの限られた検診車内での取り回しや、安全でスムーズな取り付け・取り外し方法など、試行錯誤しながら使用している段階で、現状ではトラブルなく使用できています。
マンモグラフィ撮影時の圧迫については、受診者さんの状態を見ながら適切に調整していますが、どうしても痛みを伴ってしまいます。今後もそうした圧迫時の痛みをさらに低減する機能や技術の開発を継続していただければと期待しています。
- 販売名
デジタル式乳房用X線診断装置 FDR MS-4000(AMULET ELITE型)
- 認証番号
第304ABBZX00020000号
- 製造販売業者
富士フイルム株式会社
- 販売業者
富士フイルムメディカル株式会社