このコンテンツは医療従事者向けの内容です。
「地域の皆さまに寄り添った医療」の精神にもとづく人材と、新鋭の医療器材・システムにより、岡山県笠岡市を中心とする一帯の地域医療を支える笠岡第一病院。
AI技術のひとつであるディープラーニングを設計に活用した胸部X線画像病変検出ソフトウェア「CXR-AID」を導入し、より精度の高い医療を目指している。
笠岡第一病院
橋詰 博行 院長
笹井 信也 放射線科 部長
宮島 厚介 理事長
検査ニーズに応える日々で、さらなる効率化と精度向上の必要性を感じた
貴院の概要について。
宮島理事長 2022年で開院70周年を迎える当院は、開院当初から内科や小児科において地域医療に従事し、2005年に橋詰院長が就任して以降、整形外科、泌尿器科なども診療範囲として広めてきました。また、画像データや電子カルテを一元化し、地域内に透析クリニックとネットワークを構築するなど、地域内における迅速な医療サービスの提供に力を入れています。
橋詰院長 整形外科では、当科の医師が手術前に撮影したX線画像を読影し、患者に診断内容を正確に伝えます。ただ、1日に数十件の診療をするため、集中力の維持が課題でした。加えて読影の専門医ではないため、とても労力がかかっていました。ほかにも、循環器内科や人間ドックなど、診療・検診を問わず胸部X線画像を読影する機会が多く、院内全体の読影効率と読影精度を向上させる施策が必要でした。
宮島理事長 人員が豊富な大病院の場合、放射線科医が胸部X線画像を診断できますが、当院の放射線科は笹井先生を筆頭にした少数精鋭で運営しています。放射線科の負担を増やすことなく、当院共通の読影の課題を解消できる方法を模索しているときに、「CXR-AID」を紹介いただきました。
笹井先生 AI技術を活用した胸部X線画像の診断支援ソフトウェアは、さまざまなメーカーが開発しています。それらを比較するなかで、「CXR-AID」の機能に可能性に感じ、当院が導入する富士フイルム社の医用画像情報システム「SYNAPSE」やAIプラットフォーム「SYNAPSE SAI viewer」やX線撮影装置との連携性も大きな魅力でした。私からも、スピーディーかつ滞りのない診療・検診をサポートするソフトウェアとして、宮島理事長と橋詰院長に推薦させていただきました。
AI技術が要確認領域を検出し、各診療科の読影能力の均てん化に貢献
「CXR-AID」の運用状況と運用効果は。
橋詰院長 幅広い診療科で胸部関連の画像診断に使用しています。なかでも頻度が高いのは、整形外科や循環器内科の診断、透析患者の検査、人間ドックの検診です。私は整形外科医として使っており、ヒートマップが異常の可能性のある領域をグラデーションカラーで表示してくれるので、異常度合いを一目で知ることができます。「CXR-AID」の検出結果をもとに、胸部CT検査で精密に調べた結果、病変を確認した症例はすでに4例ほどあります。検出対象も、主な肺疾患の画像所見である結節・腫瘤影、浸潤影、気胸に限定しているため、注視すべき領域がわかりやすいです。
ソフトウェアが異常領域の解析を行います。
解析結果の確信度に応じて、領域に重なるようにカラーが表示されます。
宮島理事長 当院では若い医師や研修医も診断業務を担当しており、「CXR-AID」の検出機能やシンプルな操作性はありがたい限りです。
笹井先生 放射線科医の立場で感じる運用効果は、医師の検出性能の向上です。導入検討時に富士フイルムの実験データとして、専門外の医師単体による読影と比べて、「CXR-AID」を併用すると検出性能が向上するとうかがっていましたが、まさにそのとおりだと思います。導入して間もないですが、早くも当院全体の読影能力の均てん化につながりました。
宮島理事長 内科医として患者と接していますが、診断・検診結果を説明する際に「CXR-AID」による所見を併せて伝えると、とても安心していただけます。特に、人間ドックをはじめとした検診業務は、病変を見逃してしまうと1年近く放置されかねないため、高い検出性能が不可欠です。その点、「CXR-AID」はダブルチェックに近い役割を担っているので、適切な判断や医師の心労負担の軽減にも貢献していると感じます。
橋詰院長 私も宮島理事長と同じ印象です。医療は高度なサービスを提供するだけでは不十分で、患者の安心感を生む“やりとり”が重要だと考えています。「CXR-AID」の解析結果をふまえた当院としての総意をこと細かに説明すると、患者もより詳しく理解しようと質問してくれます。ヒートマップ表示により医師も患者も同様に異常領域を理解できる「CXR-AID」は、コミュニケーションツールとしても機能していると言えます。
これからの診断・検査ニーズを見据え、「CXR-AID」のさらなる進化に期待
「CXR-AID」の今後の活用展望は。
笹井先生 「CXR-AID」の導入以降、有用な胸部CT検査数は増加しました。各診療科の医師が、一般撮影検査により注意深く取り組むようになるのは良いことです。今後は、院内の検出性能を維持しつつ全体効率化を図るために、胸部CT検査の実行に関する判断基準を確立していきたいと思います。
橋詰院長 これからの検診分野において、AI技術はなくてはなりません。検出性能を向上させる素材として、機会がありましたら当院のデータをディープラーニングに活用いただければと思います。当院の重要なサポート役である「CXR-AID」のさらなる進化を期待しています。
宮島理事長 CADというソフトは、肺がんの見落とし防止などに寄与する存在だと感じています。黎明期のソフトウェアだからこそ、機能面や使用範囲において数段階発展できる可能性が広がっています。全国各地の医療施設やクリニックに普及するとともに、日本全体の医療水準が向上していくことを、いち医療人として心より願っています。
- 製品名
胸部X線画像病変検出ソフトウェア CXR-AID
- 販売名
胸部X線画像病変検出(CAD)プログラム LU-AI689型
- 認証番号
30300BZX00188000
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