このコンテンツは医療従事者向けの内容です。
院長
高橋 敬二 先生
日々、患者様一人ひとりの特性や要望に合わせた内視鏡検査に注力し、最先端の内視鏡機器にもこだわる松島クリニック汐留の院長・高橋敬二先生に、レーザー光源搭載の内視鏡システム「LASEREO 7000システム」、AI技術を用いた内視鏡画像診断支援システム「CAD EYE」を導入した経緯や有用性などについてお話をうかがった。
当クリニックは、年間2万件以上の大腸内視鏡検査を実施している横浜の「松島クリニック」の分院として、2018年2月に東京・汐留エリアに開院した消化器内視鏡専門のクリニックです。年間の内視鏡検査数は、2019年のデータベースで上部が約1,066件、下部が2,496件(ポリペクトミー694件含む)で、私個人の検査数は2019年のデータで上部が約700件、下部が約2000件、このうち約500件でポリペクトミーなどの内視鏡的処置を行いました。
COVID-19の感染が拡大し始めた当初は、学会などから検診を控えるようアナウンスがあったこともあり、内視鏡検査数が大きく減少しました。その後、徐々に増えつつあるものの、コロナ前の水準までは戻っていないのが現状です。
感染対策については、消毒や受付時の検温・アンケートなどの基本を徹底しているのはもちろん、検査前に腸管洗浄剤を飲んでいただく前処置室で密を気にされる方には個室を提供するなど、柔軟な対応を心がけています。加えて、下部検査前の腸管洗浄は、これまで腸管洗浄剤を院内で飲んでいただく「院内洗浄法」を中心に行っていましたが、1時間程度で来院できる方にはなるべくご自宅で飲んでいただく「在宅洗浄法」での対応をお願いし、滞在時間の短縮に努めています。
まず、横浜の本院では、2015年に下部スコープの「EC-L600ZP」が発売された段階でLASEREOを導入し、その後、ZW、ZP7、XP7などのスコープを導入しました。そうした中で、当クリニックの開院にあたっては、私自身が富士フイルムの内視鏡システムの着実な進化を実感していたことに加え、当クリニックの本院にあたる松島クリニックの西野晴夫院長からも近年の製品展開の状況などを踏まえた上で「今後も一層の進化が期待できる、富士フイルムの内視鏡システムを選択すべきでは」とご助言をいただいたことも後押しとなって、LASEREO 7000システムの導入を決めました。
以前から画像がきれいだと感じていましたし、操作性についてもどんどん良くなってきていると思います。私は下部スコープの追従性を非常に重視していますが、とりわけEC-L600ZP7は汎用性の高い、非常に良いスコープだと思います。体重40kgぐらいの小柄な女性から80kgぐらいの体格の良い男性まで、本当に幅広く使用できますし、屈曲が強い症例や腸管が伸びやすい症例でも対応できます。その一方で、体重が30kg台の極端な痩せ型の方や癒着が強い方には極細径のEC-L600XP7/Lが適していますし、体重が100kg以上あって、腸管が長くて伸びやすい方にはコシのあるEC-L600ZW7が適していると思います。
大腸については、白色光観察を基本として、疑わしい部位を見つけた際にBLI、LCIと切り替えて観察しています。その中で最近は、盲腸から右側結腸を白色光で観察した後、再び盲腸まで挿入してLCIで見直すこともありますし、特にSSL (sessile serrated lesion)がある方は、LCIでしっかりと観察するようにしています。
LCIは非常に明るく、病変を捉えやすいと感じているものの、まだ慣れていないため、メインで使うまでには至っていません。ただ、LCIを用いるとADR*が向上するという報告も聞いていますので、これからは上部、下部問わず、もっとLCIを使用していきたいと考えています。
一日中、検査をしていると、どうしても疲れて集中力が切れそうになる時もあります。そういった場面でも、CAD EYEは、常に一定の高い精度を維持して、音と表示で病変の検出を支援してくれるので非常に安心感があります。そして、病変検出の感度については、残渣や泡に反応することもありますが、最終的に判断するのは内視鏡医ですので、検出段階においては拾い上げすぎるくらいでちょうど良いと思っています。
鑑別支援に関しては、SSLをHyperplasticと鑑別することもありますが、検出支援と同様に、最終的な判断は内視鏡医が行うので問題はないと考えています。その中で、私自身は、CAD EYEが示した鑑別結果と自分の鑑別が合致しているかを確認する“ダブルチェック”のようなかたちで活用しています。
検査中に複数の内視鏡医が周りで見ている環境であれば、判断に悩む場面でもすぐにディスカッションができますが、当クリニックでは一人で検査を行います。そうした中で、病変の検出と鑑別を分かりやすく、かつ高精度で支援してくれるCAD EYEは、“良き相棒”のような存在だと感じています。
私は、前処置あっての内視鏡検査だと考えていて、当クリニックでは前処置を非常に大切にしています。CAD EYEがどれだけ高い性能を持っていたとしても、前処置が良くなければ、当然、病変の検出能は低下するでしょう。したがって、適切な前処置を行うことがCAD EYEを有効に活用する第一歩だと考えています。
ちなみに当クリニックでは、患者さんの体調や生活環境などの違いにきめこまかく対応するため、計13種類の前処置のバリエーションを提供しています。
検出支援・鑑別支援は、若手医師のスキルアップに有効だと思います。経験の少ない医師にとっては、挿入が大きなハードルとなる一方で、限られた検査時間の中で挿入に時間がかかると観察時間が短くならざるをえず、病変の拾い上げに支障を来します。これは若手医師に限った話ではありませんが、CAD EYEを活用することで、短い観察時間でも一定の検査精度を担保できる可能性があると思います。
CAD EYEについては、上部検査への対応に期待していますし、下部では炎症性腸疾患を母地に発生するcolitic cancerなどの鑑別に期待しています。
また、内視鏡システムやスコープのラインアップをさらに拡充するとともに、医療分野に対して画像診断にとどまらない先進的な技術や製品の開発を進めていただければと思います。
〒105-0022 東京都港区海岸1-1-1 アクティ汐留2階
レーザー光源搭載内視鏡システム「LASEREO 7000システム」
LASEREO 7000システムは、2波長のレーザー光線で4つの観察タイプを実現、微小な病変の観察をサポートする内視鏡システムです。
内視鏡診断支援機能「CAD EYE」
CAD EYEとは富士フイルムの内視鏡診断支援機能のブランド名称です。膨大な臨床データから深層学習(Deep Learning)を活用して開発。内視鏡検査における病変の検出と鑑別をサポートします。