このコンテンツは医療従事者向けの内容です。
クリニックの開業には多額の資金が必要です。
土地、建物に加え、内装費や医療機器代、当面の運転資金を考えると、診療科にもよりますが数千万円から数億円は必要になるでしょう。
一部自己資金を充てるにしても、相当部分は金融機関からの借入で賄うのが一般的です。そこで重要なのがクリニック開業資金の融資を受ける金融機関選びです。
融資を取り扱う金融機関は、都市銀行や地方銀行、信用金庫だけではありません。
日本政策金融公庫、福祉医療機構、各地の商工会議所など公的融資を行うところもあります。
公的融資は金利が安いことや、無担保で借りられる枠があることなど、メリットが少なくありません。実際には、日本政策金融公庫や福祉医療機構、商工会議所が扱う融資をまず検討し、不足分を民間の金融機関からの融資で賄う例が多いようです。
なお、日本政策金融公庫や福祉医療機構、商工会議所が扱う融資については、民間の金融機関が受付窓口になっているケースがほとんどです。窓口となる金融機関が、開業後に実質的なメインバンクになる可能性もあります。ゆえに窓口となる金融機関選びも慎重に行いましょう。
ところで、近年、日銀のマイナス金利政策等を背景に、地方銀行や都市銀行でも新規開業に対し、無担保・無保証人貸付や、低金利での長期貸付の商品を用意しているところが少なくありません。公的融資の検討と併行して、クリニックの開業予定地近くに支店のある各銀行の融資商品も必ずチェックするようにしましょう。
融資が決まるまでの金融機関との交渉には、院長となる医師自身の人柄に加え、開業するクリニックのコンセプトや将来展望を金融機関の担当者に十分理解してもらうよう、誠実な態度で臨むようにしましょう。
事業計画の作成・提出もコンサルタント任せにせず、必ず自らが理解した上で説明するようにしましょう。金融機関の融資担当者は、そうした交渉を通じて、医師が新規開業にどれくらいの熱意を持って取り組んでいるかを見極めようとするからです。
また金融機関は、単にクリニック開業の資金を借りるだけの相手ではありません。事業が軌道に乗った時、事業の拡大や新たな機器導入などで新規の借り入れを行う機会は必ず訪れます。そうした意味でも、定期的に経営状況を報告したり、医業経営の環境について情報交換をするなどして、金融機関とは良好な関係を保つよう努めましょう。
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【企画・編集 日経メディカル開発】