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労務トラブル防止に必須のクリニックの就業規則
クリニックの就業規則は、職場におけるルールを明文化したものです。一般にはクリニック職員の給与や労働時間などの労働条件と、職場における服務規程で構成されます。
労働基準法第89条に基づき、常時10人以上のスタッフ(パート職員やアルバイトを含む)を抱えるクリニックは、就業規則を作成して所轄の労働基準監督署に届け出る義務があります。10人未満のクリニックでも、労務トラブル時の対応に備えて就業規則を作成することをお勧めします。
就業規則に盛り込む内容は労基法第89条に定められています。作成した就業規則はスタッフ全員に周知する義務があります。「クリニック開業時に就業規則を作成したけれど、普段は院長室に置きっぱなしで誰も存在を知らない」といった状態ですと、就業規則は無効と見なされ、トラブル発生時に院長が不利な立場に追い込まれる可能性もあるので注意が必要です。
クリニックの就業規則に記載する事項
掲示や配布によってスタッフに周知する
クリニックの就業規則の具体的な周知方法としては、
(1)休憩室や事務室など、職場の見やすい場所に掲示するか備え付ける
(2)印刷してスタッフに配布する
(3)院内サーバーなどに保存してスタッフがいつでも閲覧できるパソコンなどを用意する
の3通りがあります。
クリニックの就業規則に記載すべき項目は「労働基準法に定められた事項に関するもの」となっています。始業や終業時刻、休暇や休日など必ず記載しなければならない項目もありますが、必ずしも院内すべてのルールを明記する必要はありません。具体的な内容は、厚生労働省がインターネット上で公開している「モデル就業規則」が参考になります。
このほか、地域の医師会などが用意しているクリニック向けの就業規則の雛形を利用してもよいでしょう。
ただし、こうした雛形や、他院の就業規則をそのまま流用した場合、自院の実情に合っていなかったり、直近の法改正に対応していなかったりなど、不都合が生じる場合があります。社会保険労務士など専門家の手も借りて、必ず内容をチェックし、自院に合った形に修正するようにしましょう。
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【企画・編集 日経メディカル開発】