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超高齢社会の到来を前に、従業員の定年延長の動きが加速しています。政府は2020年2月に「高年齢者雇用安定法」を改正し、2021年4月に施行しました。70歳までの就労機会の確保を雇用者の努力義務とする内容で、クリニックも例外ではありません。
かねてより高年齢者雇用安定法では「高年齢者雇用確保措置」として、
(1)65 歳までの定年の延長
(2)65歳までの継続雇用制度の導入
(3)定年の廃止
のいずれかの措置を事業主に義務付けてきました。
この中で、多くの事業者が採用しているのが(2)の継続雇用制度の導入です。これには再雇用と勤務延長の2種類があります。
再雇用とは、60歳の定年でいったん退職してもらい、改めて雇用契約を締結するものです。退職時点で社会保険の手続きをやり直したり、いったん退職金を支払うなどする必要はありますが、正社員から嘱託社員や契約社員、パートやアルバイトなどへと雇用形態を変更できるため、最も活用されています。事業主にとっては、定年を機に賃金などの雇用条件をリセットでき、従業員側も定年を機に働き方を見直せるため、双方が納得しやすいのです。
勤務延長は、定年で雇用を打ち切らず、そのままの条件で雇用を継続するものです。役職や職務内容、賃金水準などの労働条件を変更できないため使い勝手はよくありませんが、社会保険などの事務手続きが不要になるメリットがあります。また、延長期間が終わるまでは退職金を支払う必要はありません。
2021年4月施行の改正高年齢者雇用安定法では、「70歳定年社会」を見据えて、7つの取り組みが事業主に努力義務として課されることになりました。
70歳までの定年延長や継続雇用制度の導入、定年制度の廃止に加え、他企業(子会社・関連会社意外)への再就職のあっせんや、個人とのフリーランス契約への資金提供、個人の起業支援、個人の社会貢献活動参加への資金提供──などが新たな努力義務として追加されました。
2021年4月以降、事業主はこの7つの措置から1つ以上のメニューを実施するよう求められることになりました。当面は努力義務とされていますが、今後は65歳までと同様に、実施が義務付けられる可能性もありそうです。
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【企画・編集 日経メディカル開発】