ペットボトル飲料を製造しているE社では、ボトルに中味を入れ、液面の高さと異物混入の有無を自動検査した後、出荷しています。可視光の乱反射を抑え、プラスチックラベルを透過させなければ検査ができないため、IR光源を利用しています。ライン増築に伴う自動検査システムの見直しに際し、コストダウンを検討していました。
■IRを利用した自動検査システムのコストを抑えたい。
■IR対応レンズが通常のレンズと比べ割高であった。
■使用しているIRの透過率が高ければIR対応レンズを使用しなくてもよいことが判明。
■富士フイルムのIR透過率が高いマシンビジョンレンズの採用でコストを抑制。
E社では、新製品の発売や味のバリエーション追加に伴い、自動検査システムの更新を行います。プラスチックラベルを透過させて検査する必要があるため、IR対応レンズを使用していました。近年は、コスト削減の折、比較的高価なIR対応レンズの再選定を社内で始めました。
E社では、さまざまなレンズを比較検討して選びたいと考えていますが、IR対応を前面に打ち出したレンズは限られており、センサーのサイズによっては、選択肢がない場合もありました。比較検討の余地がないため、E社はこれまで仕方なく、高価なレンズを採用するしかありませんでした。
課題解決のポイントは、
「レンズのコスト抑制」と「新たな選択肢の発掘」
IR対応レンズのコストを抑えたいE社は、取引のあるレンズ販売代理店に相談し、カメラ、レンズ関連の展示会に同行させてもらいました。そこで、カメラメーカーの1社が、富士フイルムのマシンビジョンレンズを使ったIR検査システムのデモンストレーションを行っており、価格を確認したところ、非常にリーズナブルであることを知りました。
展示会後E社は、レンズ販売代理店を通して富士フイルムへ問い合わせ、自社の検査内容、設置環境等についてご相談されました。特定の850nmのIR波長しか使用していなかったことから富士フイルムでは、IR透過率が70%以上と高いマシンビジョンレンズ「CF25HA-1」を提案。E社では、従来使用していたIR対応レンズと比べてリーズナブルなことから、さっそく検証を実施。解像性能においても、これまで使用していたIR対応レンズと比べ、遜色ないことが分かり、採用を決定されました。ボトルの上部、中部、底部など、複数のカメラで検査を行うE社では、レンズの使用数が多く、コストパフォーマンスの良い「CF-HAシリーズ」は、まさに求めていたレンズでした。ご担当者は、「複数のIR対応レンズを使用していたので、今回のレンズの採用でイニシャルコストを抑えることができた」と、とても喜んでくださいました。
「IR対応」を打ち出したマシンビジョンレンズは市場に少なく、数が限られていました。飲料メーカーをはじめ、食品、日用品、化粧品などのジャンルでは、IRでの検査も多々あり、「もっとレンズの選択肢を増やしてほしい」という声も上がっていました。可視光とIR光を両方用いる場合は「IR対応レンズ」が必要ですが、ほとんどの場合、単波長のIR光で検査しているケースが多く、その場合は「IR対応(可視光とIRの両方でピントが合う)」でなくても「IR透過率が高い」レンズで十分代用できます。富士フイルムのマシンビジョンレンズでは、IR透過率が高い「CF-HAシリーズ」「HF-SAシリーズ」「HF-HA-1Sシリーズ」の3種類をラインアップしています。対応可能なセンサーサイズは、最大1インチ(CF-HAシリーズ)と、ほとんどの範囲をカバーしていますので、現行のセンサーサイズに合わせることができ、選択いただけるレンズの幅が広がります。富士フイルムでは、環境関連など、さまざまな分野での活用が期待されているマシンビジョンレンズに、今後さらに注力していきます。
CF-HA/HF-SA/HF-HA-1Sシリーズ
「CF-HAシリーズ」、「HF-SAシリーズ」、「HF-HA-1Sシリーズ」の3シリーズは、赤外線透過率が高いマシンビジョンレンズです。リーズナブルで使い勝手が良いことに加え、1インチセンサーに対応(CF-HAシリーズ)していることも、E社の自動検査システムにマッチしており、導入を決定いただきました。ご担当者は、「富士フイルムのマシンビジョンレンズのラインナップはレンズ選択の幅が拡がるので非常に助かる。よろしく頼みます」と、励ましの言葉もいただいています。
【分光透過率の一例】
【使用例】
【画像比較】 850nmの単波長IR光源を使用