富士フイルムは、写真フィルムで培ったノウハウを活用した動物由来成分を含まないリコンビナントペプチド(RCP)を開発しました。リコンビナントペプチドは、スポンジ、顆粒、多孔質粒子、フィルムなどの形態に加工できるため、幅広い用途に適したバイオマテリアルです。
富士フイルムのリコンビナントペプチドは、動物由来成分を含まず(ゼノフリー)、生体内で分解吸収されるバイオマテリアルです。また、遺伝子組み換え技術を用いて、安定した品質と純度の高さを実現しています。
安全な細胞外マトリックスとしてさまざまな適用が考えられ、加工形態や架橋度の調整により、各種細胞の培養、DDS基材などさまざまな用途に利用でき、再生医療や医薬分野など幅広い分野への応用が期待できます。
富士フイルムは、さまざまな用途に適合した各種細胞外マトリックスに関する研究開発を進めています。
皮膚・骨など人体の組織や臓器に最も多く存在するヒトⅠ型コラーゲン(α1鎖)を基に設計しました。
<特徴>
- 高い安全性
抗原部位を含まない配列設計で、動物由来成分を含まない(ゼノフリー)製品です。 - 高い細胞接着性
細胞表面に存在し、細胞増殖を促す受容体であるインテグリンとの接着性に優れるRGD配列のアミノ酸を多く含んでいるため、高い細胞接着性を実現しています。 - 生体分解吸収性
分解酵素が作用しやすい構造を有しており、生体内で容易に分解吸収されます。 - 高い加工性
産生されたタンパク質が極めて均一なサイズのため、取り扱いが容易で、スポンジ・顆粒・多孔質粒子など様々な形状への加工が可能です。 - 安定した製造品質
遺伝子工学技術を用いて酵母細胞に産生させているため、安定した品質を達成しています。
写真フィルムを構成するハロゲン化銀調製の保護コロイドであり、薄膜感光層の主原料でもあるゼラチン。しかし、動物由来の原料のため、ロット間の品質にばらつきがあり、写真フィルムなどの品質に影響を与えていました。これらの問題を解決するために、富士フイルムはリコンビナントペプチドの開発に取り組みました。
その後、富士フイルムの事業が多角化するなかで、リコンビナントペプチドの新たな用途として再生医療をはじめとした医療分野に焦点をあて、開発を行っています。
富士フイルムは、写真フィルムで培われた技術をベースに多くの新製品を生み出してきました。近年では、写真フィルムの領域を超え、化粧品、医療機器、医薬品など、事業の多角化を進めています。
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