企業プロフィール
- 会社名
株式会社IHIエアロスペース
- 事業内容
宇宙機器、防衛機器などの設計、製造、販売および航空部品の製造、販売など
- 本社所在地
〒370-2398 群馬県富岡市藤木900番地
- URL
事例の詳細
事業内容を教えてください
わが国を代表するロケット飛翔体の総合メーカーとして、H3ロケットやイプシロンSロケットで使用される固体ロケットモータをはじめとした宇宙機器や、防衛機器、航空部品の製造・販売を手掛けています。
製造の過程で放射線透過試験(RT)を用いた非破壊検査も実施しており、世界に誇れる品質レベルを追求しながらお客さまの信頼にこたえる製品を提供しています。
提供:JAXA
デジタルRTシステムの検討背景を教えてください
固体ロケットのモータケース製造では、当初フィルムRTを実施していました。しかし、モータケースは直径2.5m、長さ10mと大型で、約500回の撮影が必要になります。さらに、毎回ダブルフィルムやトリプルフィルムを用いて撮影していたため、フィルムのセット替えから現像、判定に至るまで多くの手間がかかり、撮影位置の調整や暗室への移動など、検査員に負担をかける作業となっていました。
加えて、付随作業の多いRTが固体ロケット製造における全体の納期に影響を与えていたことも課題に感じており、撮影作業の全自動化を目標として2017年にDynamIx HR²、2021年にはDynamIx FXR1611を導入しました。
デジタルRTへ移行された際に、苦労されたことを教えてください
フィルムと比較して感度の高いデジタルRT法では、画像の視認性を低下させる原因となる散乱線をいかに低減できるかがカギとなります。撮影には高エネルギー線源である加速器を使用しているため、高感度の検出器に対して散乱線をカットする適切な条件を試行錯誤することに苦労しました。ノイズ成分となる微弱なX線をカットするため線源側にフィルターをつけたり、特別な鉛シールドを製造したりするなど工夫を凝らすことで、要求する画質要件を満たすことができました。
フィルム、CR、DDAをどのように使い分けていますか
当社は検査対象物が多品種に渡るため、対象物の形状や材質によって使い分けています。複雑形状な検査対象物の場合はフィルムを活用しており、密度の異なる複合材を検査対象物とする場合はダイナミックレンジの広いCRを活用し、単純形状の場合はオートメーションDDAシステムを使用しています。対象物ごとに最適な検査手法があると思いますので、うまくフィルムとデジタルを併用しながら高品質で生産性の高い検査ができればと考えています。
デジタルRTシステム導入後の効果を教えてください
固体ロケットのモータケースにおけるRTでは、フィルムからCRへ移行することで検査工数は約半分に短縮、そしてCRからオートメーションDDAシステムへ移行したことでさらに半分に短縮することができました。従来はフィルムの取り付け、取り外し作業のために動き回っていた検査員も、オートメーションDDAシステムに検査手法を移行したことで、自身のデスク上で判定業務に集中することができ、働き方改革に繋がりました。検査工数の削減が図れたことで「安全に品質の良いものを安く早く作る」という当社の製造目標を実現できたと考えています。
今後の取り組みについて教えてください
引き続き、検査品質の向上および検査員の負荷軽減を実現できるような設備環境を、富士フィルムさまの協力のもと検討していきたいと考えています。また、産業分野におけるRTの人材育成にも貢献していきたいです。現在、富士フィルムさまと開発を進めているAIスクリーニングは、検査品質の向上や生産性向上だけでなく、検査員の育成にも活用していきたいと思います。
導入ソリューション
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