自治体・士業・金融業界向け「郵送DXサミット 2024」開催レポート
郵送請求業務の効率化実現に向けた取り組みなど紹介

2024年12月20日

富士フイルムシステムサービス株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:井上 あまね)は、2024年11月29日(金)、羽田イノベーションシティにて「郵送DXサミット2024」を開催しました。 当日は、自治体への住民票の写し等証明書を請求する際の請求者および自治体の共通課題を解決する「郵送DXソリューション」を中心に説明を実施。パネルディスカッションではサービスを利用中のお客様も登壇しています。

実施概要

①郵送DXソリューション(法人請求オンラインサービス・郵送請求キャッシュレスサービス)概要紹介
②法人請求オンラインサービス パネルディスカッション:東京都 東村山市長 渡部 尚氏、セゾン債権回収株式会社(クレディセゾン グループ) 代表取締役社長 宮武 信夫氏
③郵送請求キャッシュレスサービス パネルディスカッション:東京都 練馬区 区民部 戸籍住民課 係長 丸山 和子氏、主事 石村 紅氏、静岡県行政書士会 見機 和人氏
④一般社団法人デジタル田園都市 国家構想応援団「地域DXプロデューサー2024★★★」認定式
⑤生成AI事例紹介

詳細は、以下のレポートにてご案内いたします。

実施内容

①郵送DXソリューション(法人請求オンラインサービス・郵送請求キャッシュレスサービス)概要紹介

住民票の写しや戸籍証明書等の郵送請求は、定額小為替の取り扱いによるコストや管理業務の負担や、申請内容に関する電話連絡等、自治体・請求者共に様々な課題を抱えている。 富士フイルムシステムサービスは、依然として紙を前提とした非効率な作業が取り残されている郵送請求業務に着目し、アナログな領域をオンライン化することでDX実現を進めてきた。
「法人請求オンラインサービス」は、債権回収業務や契約情報確認を必要とする金融機関※1などの法人が自治体に対して、郵送で行っていた住民票の写しを請求する業務(郵送請求)をデジタル化し、法人・自治体双方の郵送請求にかかわる業務を効率化するサービス。法人から自治体への住民票の写しの郵送請求件数は年間約500万件※2発生しており、法人および自治体双方での業務負荷の軽減が重要な課題となっていた。本サービスは、オンライン上で請求業務が行えるため、法人は、住民票の写しを請求するための紙の請求用書類の作成・出力や封入封緘、投函業務や請求時の郵送費用が必要なくなる。また自治体は、請求用書類の入った封筒の開封や受領した書類の管理が不要。さらに、法人および自治体ともに定額小為替※3の購入手数料や管理業務が削減される。
現在、法人請求オンラインサービスをトライアル利用中の団体および、申込み済みで今後トライアル利用予定の自治体・法人は、75自治体※4、法人は13社※4となる。2025年度に本サービスの事業化を予定しており、将来的には国内の自治体の約8割(1,400自治体)への導入を目指す。なお、法人請求オンラインサービスは、「JAPAN DX Player AWARD 2024」産業部門においてサスティナブルなデジタル変革に寄与する点が評価されて第2位を受賞した。
「郵送請求キャッシュレスサービス」は住民票の写しや戸籍証明書などの各種証明書を郵送で請求する際、従来定額小為替で支払っていた手数料をキャッシュレスで決済できるサービス。東京都墨田区や全国青年司法書士協議会、東京司法書士会、株式会社クレディセゾンおよび他1社との実証実験やトライアル利用を重ねて構築し、2024年4月1日に事業化した。現在、合計21自治体※4が本サービスを利用している。

 

②法人請求オンラインサービス パネルディスカッション
法人請求オンラインサービスのトライアル利用団体となる東京都 東村山市長 渡部氏とセゾン債権回収株式会社(クレディセゾン グループ) 代表取締役社長 宮武氏の、本サービス利用検討の背景や期待する効果、今後の展望に関するコメント

生成AI活用普及協会 事務局 次長 村井 宗明 様

東京都 東村山市長 渡部 尚氏

東村山市は、法人からの郵送請求を年間4,000~5,000件ほど受けている状況。郵送請求業務は非常に煩雑で手間がかかっており、職員の業務効率化が課題だった。また、1件あたり5、6枚もの請求用書類が同封されていることから、法人請求オンラインサービスの活用でペーパーレス化を実現可能なサスティナブルな点も評価できた。
法人請求オンラインサービスによるデジタル化で、1件あたり約28分間かかっていた作業時間が、トライアル利用等を通した検証により約4割の業務時間を削減可能となる結果が出た。今後、本サービスを利用する法人が増えることで、オンライン対応できる件数が増えて更なる業務効率化が実現できることを期待している。また、請求工程のオンライン化によって郵便配達業務が必要なくなる為、ガソリン消費の削減や労働人口減少への対応といった観点からも、法人請求オンラインサービスは日本を大きく変えていくサービスだと考えている。公民で力を合わせて早期に利用団体を増やしていく必要性を感じている。
富士フイルムシステムサービスが法人請求オンラインサービスを立ち上げ、現在、全国の自治体・法人に広がっていっている状況だ。本サービスの利用自治体・法人が増えることで、従来アナログが主だった郵送請求対応業務の在り方そのものがデジタル社会に合わせた形になっていく。そして、本サービスが社会基盤として世の中に認知され、法人請求オンラインサービスなしでは郵送請求対応ができない、という状態になっていくのではと考えている。現状では法律により、住民票の交付は自治体から郵送という手段でしか対応ができない事となっているが、労働人口減少への対応やSDGsという観点から、国に対して制度や法改正等について、現場の声を上げていく必要性を感じている。

生成AI活用普及協会 事務局 次長 村井 宗明 様

セゾン債権回収株式会社(クレディセゾン グループ) 代表取締役社長 宮武 信夫氏

債権回収会社は債務者の特定が非常に重要な業務であり、債務者の住所を特定するために、自治体への郵送請求によって住民票の写しを取り寄せている。本業務は個人情報の取り扱いとなる為、ヒューマンエラーの発生を防ぐ仕組みが非常に重要と考えている。また、定額小為替の購入手数料、郵送請求時の郵便代金、業務を遂行する人件費などのコスト面の課題や、ペーパーレス化によるSDGs実現といった観点もあり、法人請求オンラインサービスの導入効果に期待しトライアル利用を決定した。
現在、当社では郵送請求による住民票の写しの請求が約8,000件/月発生しており、数十人の従業員が毎月対応を行っている。多くの人手が必要となる業務だ。郵送請求は、定額小為替の対応に加え、自治体ごとに請求手続き方法が異なるため、その対応にも業務負荷がかかっている状況。なお先月は、本サービスを活用して、約100件の対応をすることができた。
郵送請求業務は従来、紙書類がベースとなる非常にアナログな手続きだが、法人請求オンラインサービスの活用でペーパーレス化がなされ、大きな業務効率化が実現されると考える。現状では、本サービスを利用するオンラインでの申請と、従来のアナログでの申請への対応が入り混じっており大変な状況だが、今後、利用自治体・法人が増えていき本サービスの利用が広がっていくことで全面的な郵送請求業務のオンライン化がなされれば、大幅な業務効率化を実現することができる。本サービスの利用が広がっていくことを非常に期待している。

 

③郵送請求キャッシュレスサービス パネルディスカッション
郵送請求キャッシュレスサービスを利用中の東京都 練馬区 区民部 戸籍住民課 係長 丸山氏と主事 石村氏、静岡県行政書士会 見機氏の、本サービス利用検討の背景、郵送請求業務の課題、本サービスに期待する効果などに関するコメント。

生成AI活用普及協会 事務局 次長 村井 宗明 様

東京都 練馬区 区民部 戸籍住民課 係長 丸山 和子氏(写真右)、主事 石村 紅氏(写真左) 

練馬区では、区民の利便性向上と職員の業務効率化による行政サービス改革を進めている。窓口サービスの向上は最重要課題であり、郵送請求業務への対応は特に優先度が高い状況であった。請求者の郵送請求における課題は、定額小為替の購入の手間に加え、定額小為替購入時に手数料200円の負担が発生している点となる。職員は、定額小為替への対応として、定額小為替の有効期間の管理、換金作業など非常に多くの時間と手間がかかっている。郵送請求での証明書交付は7万件/年も取り扱っており、負担が大きい状況となっていた。また、住民票の写しの交付だけでも、1日約10件の申請不備が発生しており、その都度、職員から請求者への電話対応が必要となる。
このように、請求者と職員に大きな負担が生じている中、双方の課題解決にマッチする仕組みと考え、郵送請求キャッシュレスサービスを導入した。本サービスはマイナンバーカードを保有していない請求者も利用が可能で、その点も利便性が高いと考えている。
サービスの利用開始からのおよそ1カ月間で、本サービスで対応を行った請求は約70件となる。定額小為替に関連する業務負担が削減される事をサービスの利用により改めて実感している。請求者は手続きの進捗が本サービス上で確認可能となり、申請不備の場合には請求者と職員がチャット機能で連絡を取ることができる。そのため、今まで多くの時間と労力がかかっていた電話対応が不要となる点も業務効率化につながっている。今後さらに利用者が増加することで、更なる業務改善実現につながることを期待している。税金で成り立つ行政サービスだからこそ、住民の生活に貢献できることを目的に、業務改革をさらに続けDX実現を推進していきたい。

生成AI活用普及協会 事務局 次長 村井 宗明 様

静岡県行政書士会 見機 和人氏

行政書士の相続への対応として、戸籍謄本の取り寄せは非常に重要な仕事となる。業務で相続人を特定する際、多くの場合は複数の自治体から戸籍を取り寄せることが必要となり、遠方の自治体へは郵送請求により戸籍謄本を申請している。郵送請求業務における大きな課題は、定額小為替の取り扱いだ。郵送請求を行う場合、交付される戸籍謄本が結果的に何通となるか分からない状況のため、不足がないように余裕を持って定額小為替を同封し請求をしている。それでも想定以上に戸籍謄本の枚数が多く、定額小為替の金額が足りないケースもあり、その場合には定額小為替を追送する対応が発生している。定額小為替は郵便局での購入時に時間を要し、購入時の手数料200円の負担、また発行から6カ月という有効期限の管理も欠かせない状況で、非常に課題が多い。
郵送請求キャッシュレスサービスの利用により、定額小為替が不要となりキャッシュレス決済が可能となる点、非常に画期的だ。また、一度アカウント登録をすれば、本サービスを利用する複数の自治体への手続きが一つのアカウントで対応できる点も業務効率につながっている。本サービスはマイナンバーカードの保有なしで利用可能な事から多様な請求者に対応している点も大きな魅力と考える。
相続登記が2024年4月に義務化されたことで、依頼の増加が見込まれており、本サービスが全国の自治体へ普及することを期待している。将来的に電子請求が可能となれば、更なる業務効率化が望めると考えている。ぜひ、そういったサービスの開発も富士フイルムシステムサービスにお願いしたい。

 

④一般社団法人デジタル田園都市 国家構想応援団「地域DXプロデューサー★★★」認定式
デジタル田園都市 国家構想応援団※5は、地域独自の価値・魅力を最大限に引き出し、地域課題の克服や新たな産業の創出により、持続可能で幸福な地域経済、地域社会を実現するためのプロジェクト・リーダー/総合プロデューサーである「地域DXプロデューサー」を、発掘・認定・育成し、支援している。郵送DXソリューションの事業企画責任者である富士フイルムシステムサービス 吉井が、昨年度に続き、今年度も「地域DXプロデューサー2024★★★」に認定された。

生成AI活用普及協会 事務局 次長 村井 宗明 様

写真右から デジ田応援団員 CePiC/SIH メンター共同代表(元 内閣官房 デジタル田園都市国家構想実現会議事務局 内閣参事官)御友 重希氏、富士フイルムシステムサービス 公共事業本部 ソリューション推進部 DX企画グループ長 吉井 嗣和

 

⑤生成AI事例紹介
自治体業務の生成 AI活用による効率化に向け、元衆議院議員で現在は生成AI活用普及協会事務局次長の村井氏より、公務員業務ChatGPT「マサルくん」が紹介された。また、富士フイルムシステムサービスにおける営業活動や議事録作成、プレゼン資料生成などの実業務における生成AI活用事例も紹介。

生成AI活用普及協会 事務局 次長 村井 宗明 様

生成AI活用普及協会 事務局 次長 村井 宗明氏

 

※1 債権回収業務や契約情報確認を必要とするクレジットカード会社や保険会社など
※2 当社でヒアリングを行って算出した推計値
※3 主に少額送金の際に、現金の代わりに封入する定額の為替。(2022年1月17日に定額小為替の購入手数料が従来の倍の200円となり、証明書を郵送で請求するためのコストが増加した経緯がある。)
※4 2024年11月時点
※5 デジタル田園都市国家構想実現に向けて、日本の地域DXをリードする自治体と民間企業で設立された官民連携の組織

 

 

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