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異動受付支援システムの活用によるさらなる「市民満足度の向上」を目指して
「紙」の取り扱いに関する課題をデジタルの力で解決するために
-当時のハイサイ市民課(以下、市民課)が抱えていた業務課題と異動受付支援システム導入の背景について改めてお聞かせください。
宮城様 もともと那覇市は住民異動(転出入)の件数が多く、異動届の受理や審査、付帯事務の処理、書類の編てつや保管作業など、業務に従事する職員側に大きな負担がかかっていました。
また、那覇市では各種手続きにおける窓口の受付方式に総合窓口を採用しており、住民異動のほか、国民健康保険や児童手当の手続きなどにも対応しています。この受付方式は、市民にとっては1か所で手続きが完了するというメリットがあるものの、申請書ごとに何度も氏名や住所を記入いただく必要があるため、 お越しいただく方々に手書きによる作業負担を強いてしまう点や待ち時間が発生してしまう点も非常に悩ましい課題でした。
阿波根様 申請書は、多いかたで10枚ほど記入いただくようなケースもありましたね。何度も同じ項目を記入しなければならないことが市民の方々からのクレームにつながっているという話はほかの窓口担当者からも聞いていましたし、職員の立場としても申請書に誤りや不備があれば都度修正・補記の対応を行わなければなりません。
また、手書きで記入いただく文字が乱れている場合、どうしても判読に時間を要してしまい、審査がスムーズに進まないケースもあります。当時から「紙」の申請書を使うことで職員と市民の双方に発生する手間や負担を何とかして軽減したいという気持ちが強くありました。
宮城様 そのような課題に対して、当時、自治体DXを推進する動きが全国的に活発になっていたという背景も重なり、庁内から「DXの観点から解決することはできないか」という声が挙がりました。富士フイルムシステムサービスさんから異動受付支援システムをご紹介いただいたのもちょうどそのタイミングです。従来の運用で課題となっていた市民の手書き負担軽減に加え、職員側の業務負担も確実に減らせる異動受付支援システムには大きな魅力を感じました。
阿波根様 たしかに、システムの導入を検討するうえでは、市民サービスの向上はもちろんのこと、「窓口対応を行う職員や裏で申請書の審査を行う職員の負荷をいかに減らせるか」という点も重視したいと考えていました。
異動受付支援システムでは、紙の転出証明書をOCRで読み込んでデータ化し、システム上で異動届を作成することができます。業務効率化に大きな期待を持てましたし、ヒューマンエラーを心配することなくデータを作成できる点なども選定のポイントとなりました。
業務の変化や人々の声からシステムの確かな効果を実感
-異動受付支援システムの導入から2年以上が経過した今、改めてどのような効果を実感されていますか。
宮城様 職員の業務効率化と市民サービスの向上、ともに確かな効果を実感しています。特に、最大の課題であった市民の手書き負担は、確実に軽減できています。
窓口で複数の申請手続きをされる際にも、異動受付支援システムに取り込んだデータを活用することによって申請書類に必要な項目を自動的に反映した状態で申請書が出力できるので、以前のように何枚にもわたって同じ内容を記入いただくような手間も発生しません。その点は目に見えて変化があったので、システムを導入して良かったと感じています。
阿波根様 わたしもシステムを導入して正解だったと思っています。職員側のメリットでいうと、窓口で紙の申請書を受け付けていたときは、担当者のスキルや経験によって処理や対応の質に差異が生じていたのですが、異動受付支援システムでは、それぞれ入力する項目や聞き取りすべき項目を画面上で目視確認できます。新人職員でも簡単に操作できるので、「誰が対応してもミスのない受付」を実現できているのはとてもありがたいですね。
長浜様 実際にわたしも今年の4月に市民課に異動してきたばかりなのですが、システムの操作方法はとてもシンプルで、業務にもすぐ慣れることができました。扱い方を教われば誰でもスムーズに対応できるので、単純な操作であれば慣れるのには1日もかからないと思います。想像していた以上に簡単でしたし、何よりも「市民課ではこんなにデジタル化が進んでいるんだ」という新鮮な驚きがありました。
-市民の方々や庁内からの評価はいかがですか。
宮城様 おかげさまで市民の方々からは高い評価を頂いております。市民課では、窓口の行政サービスに対して利用者の満足度を測ることを目的に、毎年市民の方々にアンケートを実施しています。そのなかで、昨年度は「異動受付支援システム導入による満足度」についても調査させていただいたのですが、満足度100%の評価を頂くことができました。
また、異動受付支援システムを使って手続きをされるかたから「那覇市、進んでいるね」というお言葉を頂くこともあり、確かな評価につながっていることを実感しています。
阿波根様 市民課は市民の皆さまとの接点が最も多い部署です。そういった部署から先駆けてシステムを導入し、市民の負担軽減を図ったという点では、庁内からも「市民課、頑張っているね」という言葉を頂いているので、業務改善に取り組んだ甲斐があったと感じています。
さらなる業務効率化を追い求めてシステムの機能を拡張
-今回、システムの機能を拡張するうえで後方連携注記2をRPA(図表1)で検討された背景についてお聞かせください。
宮城様 前提として、もともと那覇市では住民記録システムへの自動入力までを見据えていたので、後方連携は異動受付支援システムを導入するうえでの必須項目としていました。ただ、異動受付支援システムと住民記録システムを自動連携できないことが大きな障壁となっていたので、その課題を解決するために今回RPAの導入に踏み切ったという形になります。
-RPAの構築に際して当社を選んでいただいた理由をお聞かせください。
宮城様 やはり大きなポイントは、那覇市が使用している住民記録システムと異動受付支援システムとのRPA連携の実績があった点です。自動連携については、どうしても我々職員の知識だけでは実現が難しい部分でした。そのあたりは富士フイルムシステムサービスさんにご相談しつつ、最適な方法をご提案いただきながら進められたのでとても心強かったです。
-具体的に、プロジェクトを進めていくうえで何か懸念ポイントはありましたか。
宮城様 「シナリオを作成して実行するまでのフローを自分たちだけで作成できるか」という点です。那覇市では、住民異動届の受付と住民記録システムへの入力作業を委託業者に依頼しています。
従来は、①委託業者側で窓口の受付を実施②職員側で審査を実施③再度、委託業者側で入力業務を実施したうえで職員側にまわすというフローで進めていたため、いざRPAを導入するとなった際に「RPAの入力をどこで開始するか」「誰がRPAに命令をするか」「どの時点で入力されたデータを決定・更新するか」などが懸念点として挙がりました。
その点をふまえてシナリオを作成し、業務のフローを練るのは非常に苦労しましたが、富士フイルムシステムサービスさんにもアドバイスを頂き、最終的には、RPAは仮更新までとし、委託業者側で最終的な更新を行うという運用方法に定めることができました(図表2)。
-RPA導入の効果はいかがですか。
宮城様 RPAを用いた後方連携によって、住民記録システムへの入力負担は大幅に軽減できています。転出・転入・転居の一般的な異動事由の8割ほどは自動で入力できる状態になっているので、職員側でも導入効果を実感しているところです。異動事由によっては、やむを得ずエラーが発生し自動入力が停止してしまうケースもあるのですが、サポートにお電話させていただくと迅速に対応していただけるので、その点は安心して利用させていただいています。
-庁内からはどのような声がありましたか。
宮城様 市民課でRPAを導入した同時期にちょうどほかの課でもRPAを導入した事例がありまして、その際は「どうやってシナリオを作っているの?」と相談を受けたこともありました。
そういった場合には、市民課で得た知見や学んだ技術を他課にも横展開しています。今回のように別のシステム同士の自動連携をRPAで実現できたことは、ほかの部署への動機づけにもなったのではないかと感じています。
那覇市では現在、自動化やデジタル化をさらに推進すべく、RPAの研修なども盛んに行われている状況ですので、今回の市民課のような取り組みが庁内にもどんどん広がっていくことを期待したいです。
-RPAの導入を検討されている他自治体の方々へのアドバイスがございましたらお聞かせください。
宮城様 RPAの導入にあたり、事前に検討すべきポイントだと思うのは、「異動受付支援システムで作る届出書に住民記録システム側に反映する項目がすべてあるかどうか」という点です。もしない場合は、RPA を入れたとしてもその部分だけが手入力となってしまうため、より業務の効率化を目指すのであれば、事前に要件定義の調整をしておいたほうがよいと思います。
また、注意点としては、「RPAは万能ではない」ということです。異動事由によってはどうしても職員側で判断をして動かさなければならないケースもありますので、その点は認識をしておいたほうが実際の運用時にも想定とのギャップなく進められると思います。
-最後に、今後の窓口業務やシステム運用に関して考えていらっしゃることがございましたらお聞かせください。
宮城様 異動受付支援システムの導入後、次のステップに掲げていたRPAの導入を実現できたことでより業務効率化も進み、那覇市として目指す「 市民満足度の向上」にもさらに一歩近づくことができたと感じています。RPAに関しては、この先、自治体情報システムの標準化が実行されることによってシナリオを作り直す必要も出てきます。那覇市としては、その対応にかかるコストと労力を比較し、業務改善の効果をしっかりと見極めながら今後もシステムの運用を続けていきたいと考えています。
-ありがとうございました。那覇市様が掲げる「満足度の高い市民サービスの提供」の実現に寄与できるよう、当社も改善を続けてまいります。
今後ともよろしくお願い申し上げます。
本記事は、お客様導入事例紹介用に制作した動画の取材映像をもとに作成しています(取材実施日:2023/8/21)
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