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富士フイルム株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長・CEO:後藤 禎一)の米国子会社で、iPS細胞の開発・製造のリーディングカンパニーであるFUJIFILM Cellular Dynamics (フジフイルム セルラー ダイナミクス), Inc. (以下、FCDI)は、創薬支援用iPS細胞由来分化細胞キット「iCell® Blood-Brain Barrier Isogenic Kit」(以下、「iCell BBBキット」)を、7月上旬より富士フイルム和光純薬株式会社を通じて発売※1します。
「iCell BBBキット」は、ヒト生体の血液脳関門(Blood-Brain Barrier)の機能を体外で再現できる、世界初の創薬支援用iPS細胞由来分化細胞キットで、中枢神経系疾患に対する新薬の研究開発に利用できます。なお、「iCell BBBキット」は、ヒトiPS細胞から分化誘導した、血液脳関門を成す3種の細胞、専用培地、培養手順書で構成されます。
新薬の研究開発では、前臨床段階にある新薬候補物質の有効性・安全性の評価に、ヒト生体に近い機能を再現したiPS細胞由来分化細胞を活用する動きが活発化しています。
血液脳関門は、脳内の微小血管に存在するもので、栄養物の取り込み・老廃物の排出機能のみならず、脳内への有害物質の侵入を防ぐバリア機能なども有しています。このバリア機能は、新薬候補物質に対しても働くことから、認知症やパーキンソン病などの中枢神経系疾患では、血液脳関門を超えて脳内に治療薬を到達させることが重要です。中枢神経系疾患に対する新薬の研究開発現場では、動物などの細胞を用いた環境よりも、ヒト生体に近い環境で、新薬候補物質の透過性評価の精度を向上したいというニーズがありました。
今回発売する「iCell BBBキット」は、ヒト生体の血液脳関門の機能を体外で再現できる創薬支援用iPS細胞由来分化細胞キットです。「iCell BBBキット」は、世界トップレベルのiPS細胞関連技術により分化誘導に成功した、血液脳関門を成す3種の細胞(脳微小血管内皮細胞・アストロサイト・ペリサイト)、富士フイルムのグループ会社で培地のリーディングカンパニーであるFUJIFILM Irvine Scientific(フジフイルム アーバイン サイエンティフィック), Inc.と開発した専用培地などから、ヒト生体の血液脳関門モデルを作製できるものです。同一のiPS細胞から3種の細胞に分化誘導しているため、遺伝的背景を揃えた血液脳関門モデルを構築することが可能。異なる遺伝的背景により各細胞で生じる、機能のバラつきを抑えて、新薬候補物質の透過性を高精度に評価できるため、新薬開発の成功率向上に寄与します。
FCDIは、現在、ヒトiPS細胞由来の心筋細胞やミクログリア細胞など、約20種類の創薬支援用細胞をグローバルに提供しています。今後、「iCell BBBキット」のみならず、顧客ニーズにこたえる製品を新たにラインアップに加えて、iPS細胞を用いた新薬開発のさらなる普及に取り組んでいきます。
FCDIは、高度なiPS細胞関連技術を生かして、創薬支援用iPS細胞由来分化細胞の開発・提供のみならず、細胞治療薬の開発・製造受託ビジネスなども積極的に展開しています。今後、革新的な技術や製品・サービスを通じて、事業成長を加速させるとともに、医薬品産業のさらなる発展に貢献していきます。
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