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ニュースリリース

2023年5月29日

皮膚への浸透性と保水効果を高めた「ナノ化ワセリン」を開発

富士フイルム株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長・CEO:後藤 禎一)は、皮膚への浸透性と保水効果を高めた「ナノ化ワセリン」を開発しました。「ナノ化ワセリン」は、独自のナノ分散技術を活用し、保湿剤として広く使われているワセリンの粒子をナノサイズに微細化したものです。当社は、「ナノ化ワセリン」の皮膚への浸透性向上と、高い保水効果を確認。さらに「ナノ化ワセリン」により、角層の厚みが増すことを実証しました。
今後、今回開発した「ナノ化ワセリン」を当社化粧品に応用していきます。

開発概要

皮膚の最外層である角層には、角層自体に水分を保つことで肌内部の水分蒸散を防ぎ、保持する機能があります。しかし、角層の水分保持機能は、加齢や乾燥などの影響で低下することが知られています。また近年、角層の水分保持機能の低下を防ぐには、角層中心部の保水力を維持することが重要であると報告されています。
当社は、角層中心部の保水力を維持する新たなアプローチとして、保湿剤として広く使われているワセリンに着目しました。一般的なワセリンは、水に溶けない性質をもち、皮膚表面を覆い水分の蒸散を防ぐことで保水効果を発揮します。しかし、粒子径が大きく皮膚内部に浸透しにくいため、接触やこすれなどで皮膚表面から取れやすく、保水効果が持続しないという課題があります。
当社が開発した「ナノ化ワセリン」は、独自のナノ分散技術によってワセリンの粒子をナノサイズに微細化することで、角層への浸透性を向上させたものです。今回、「ナノ化ワセリン」を用いた実験から、「ナノ化ワセリン」により、水分の蒸散を防ぎ、角層中心部の保水力を持続させ、角層の厚みが増すことが分かりました。

【図1】 「ナノ化ワセリン」と非ナノ化ワセリンが角層に作用するイメージ
図1 「ナノ化ワセリン」と非ナノ化ワセリンが角層に作用するイメージ

今回当社が開発した「ナノ化ワセリン」

当社のナノ分散技術によって、ワセリンの粒子を約80ナノメートルサイズに微細化した「ナノ化ワセリン」を開発しました(図2)。ワセリンは油溶性であり凝集しやすいですが、当社の「ナノ化ワセリン」は凝集せず、微細化された粒子サイズを安定的に保持できるため、化粧水にも配合可能です。

【図2】「ナノ化ワセリン」と非ナノ化ワセリンの比較写真、拡大写真
【図2】「ナノ化ワセリン」と非ナノ化ワセリンの比較写真、拡大写真1

非ナノ化ワセリンの電子顕微鏡写真
(ネガティブ染色法を用いて撮影)

【図2】「ナノ化ワセリン」と非ナノ化ワセリンの比較写真、拡大写真2

水に溶かした「ナノ化ワセリン」と非ナノ化ワセリンの比較写真

【図2】「ナノ化ワセリン」と非ナノ化ワセリンの比較写真、拡大写真3

「ナノ化ワセリン」の電子顕微鏡写真
(氷包埋法を用いて撮影)

非ナノ化ワセリンは粒子径が大きいため、水に溶かしても濁って見えますが、「ナノ化ワセリン」は粒子径が極小のため、光を透過して透明に見えます。

「ナノ化ワセリン」の効果検証

1.「ナノ化ワセリン」の皮膚への浸透性向上を確認

角層を含む表皮モデルを用いて「ナノ化ワセリン」の浸透性を評価しました。「ナノ化ワセリン」を塗布した表皮モデルでは、非ナノ化ワセリンを塗布した場合と比べて、表皮モデルに浸透するワセリンの量が約22倍に向上することがわかりました(図3)。角層は表皮の中でも脂質が多く、油溶性のワセリンとの親和性が高いため、「ナノ化ワセリン」が、角層中心部まで浸透していると考えられます。

【図3】「ナノ化ワセリン」の皮膚浸透性の検証
【図3】「ナノ化ワセリン」の皮膚浸透性の検証
実験方法

表皮モデルに「ナノ化ワセリン」および非ナノ化ワセリンをそれぞれ塗布。3時間静置した後、表皮モデルに浸透したワセリンの量を測定した。

結果

「ナノ化ワセリン」では、非ナノ化ワセリンに比べ、表皮モデルへの浸透性が約22倍高いことが明らかとなった。

2.「ナノ化ワセリン」の保水効果を確認

「ナノ化ワセリン」の保水効果を実証するため、「ナノ化ワセリン」および非ナノ化ワセリンをそれぞれ角層モデルに塗布し浸透させた後、浸透したワセリンの重量変化を測定しました。「ナノ化ワセリン」を塗布した角層モデルでは、非ナノ化ワセリンを塗布した場合と比べて、3時間および24時間経過時点でワセリンの重量変化率が抑制されました(図4)。
このことから、「ナノ化ワセリン」が角層に浸透すると、角層からの水分蒸散の速度が遅くなり、長期的な保水効果が期待できることがわかりました。

【図4】「ナノ化ワセリン」の保水効果検証
【図4】「ナノ化ワセリン」の保水効果検証
実験方法

角層モデルに「ナノ化ワセリン」および非ナノ化ワセリンをそれぞれ塗布。1時間後、浸透せずに表面に残った製剤を取り除き、3時間および24時間経過時点における重量変化を測定した。

結果

「ナノ化ワセリン」では、非ナノ化ワセリンに比べ、3時間および24時間経過時点における重量変化率が小さいことがわかった。

3.「ナノ化ワセリン」により角層の厚みが増すことを実証

ヒトの皮膚組織から採取した角層シートに「ナノ化ワセリン」および非ナノ化ワセリンをそれぞれ塗布し、3時間後の角層の厚みを測定しました。その結果、「ナノ化ワセリン」を塗布した角層シートでは、非ナノ化ワセリンを塗布した場合に比べて、角層の厚みが約1.8倍に増しました(図5)。角層の水分保持量が増えることで、角層の厚みが増加したと考えられます。

【図5】「ナノ化ワセリン」の角層の厚みへの影響検証
【図5】「ナノ化ワセリン」の角層の厚みへの影響検証
実験方法

ヒトの皮膚組織から採取した角層シートに、「ナノ化ワセリン」および非ナノ化ワセリンをそれぞれ塗布。塗布3時間後の角層の厚みを測定した。

結果

「ナノ化ワセリン」では、非ナノ化ワセリンに比べ、角層の厚みが約1.8倍に増した。

お問い合わせ

報道関係

富士フイルムホールディングス株式会社
コーポレートコミュニケーション部 広報グループ

その他

株式会社 富士フイルム ヘルスケア ラボラトリー
商品開発・ブランド推進本部

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