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日本
ニュースリリース

2022年1月18日

富士フイルムとダイキンが空調機の新たな静音化技術を実用化

加湿・換気量を確保しながら運転時の送風音を20%以上低減

富士フイルム株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長・CEO:後藤 禎一、以下 富士フイルム)とダイキン工業株式会社(本社:大阪府大阪市、代表取締役社長 兼 CEO:十河 政則、以下 ダイキン)は、空調機の新たな静音化技術を実用化しました。

本技術は、富士フイルムが、“風は通し、音は通さない”というコンセプトで開発した通風防音材による静音化技術です。ダイキンが、本技術の実用化に向けて、加湿・換気機能付きエアコンに通風防音材を実装した結果、加湿・換気量を確保しながら運転時の送風音を20%以上※1低減することができました。

なお、今回の新たな静音化技術の実用化は、富士フイルムとダイキンが2019年より取り組んできた、空調機の静音化をテーマとした共同開発の成果の第一弾となります。

新静音化技術の開発と実用化
1. 静音化の背景
  • 今後、空調機は新興国を中心に普及が急速に進展※2すると言われています。そのために一層の省エネ化や省資源化が必要とされるとともに、機器の静音化についても高いレベルが求められます。
  • 近年、快適な環境を提供する空気質の向上へのニーズがますます高まる中、空調機にはより多くの換気が求められています。しかし、空調機の換気量を増やすと空気の送風音も大きくなるという課題があります。
  • ダイキンの加湿・換気機能付きエアコンは、屋外から取り込んだ空気を、室内機と室外機をつなぐ搬送ホースを介して室内へ送っています。加湿・換気量を増やすためには、同ホースの口径を大きくすることが必要ですが、同ホースと冷媒配管を通す壁の貫通穴の大きさが決まっているため、同ホースの口径を大きくすることは困難です。このような制約の中、ダイキンはこれまで高性能な換気ファンを開発・搭載することで、加湿・換気量を確保しながら送風音を低減し、静音化を図ってきました。
2. 新静音化技術の開発

富士フイルムが、メタマテリアル※3を用いて光の波動を制御する技術(メタマテリアル技術)を音響分野に応用して通風防音材による静音化技術を開発。これまで困難であった、換気に必要な通風量の確保とそれによって発生する送風音の低減の両立を実現しました。

3. 新静音化技術の実用化

ダイキンは、同社の高性能な換気ファンを生かしつつ、富士フイルムの通風防音材を適用することで更なる静音化を実現しました。具体的には、ダイキンの加湿・換気機能付きエアコンに通風防音材を実装した結果、加湿・換気量を確保しながらも運転時の送風音を20%以上※1低減しました。

今回の成果を踏まえ、ダイキンは、今般実用化した通風防音材を「加湿・換気静音キット」とし、発売中の2022年ルームエアコン「うるさらX」「うるさらmini」のオプション品として今春より販売します。無給水加湿機能に加え、給気・排気換気機能を充実させた商品の付加価値をさらに高めます。

今後、空調機の稼働台数がグローバルに増加する中で、その普及拡大と地球環境保護の両立の重要性はますます高まっていきます。省資源化に向けて空調機の要素部品を小型化しつつも性能を向上させるためには圧縮機や送風機の回転数を上げる必要がありますが、これは運転音の増大に繋がり、また欧州をはじめ各国で空調機の運転音に対する規制がより強化される動きもあります。このような中、富士フイルムとダイキンで取り組む静音化技術は、空調機器全般への応用範囲が広く、部品の小型化への新たな可能性を秘めています。引き続き、両社は空調機の更なる性能向上に向けた技術開発を進めていきます。

  • ※1 換気強設定、送風モード静か運転時、加湿・換気静音キット装着有・無で送風音を比較して約20~30%低減。
    (JIS測定位置での冷房能力2.2~9.0kWの機種の送風音低減効果)
  • ※2 国際エネルギー機関(IEA)のテクノロジーレポート「The Future Of Cooling」では、世界の空調機の稼働台数は今後30年で約3倍に増加し、世界の約2/3の世帯が空調機を利用するようになる見通しであると報告されている。
  • ※3 波長よりも小さな構造体で自然界の物質では成しえない波動特性を得る人工物質。
空調機の静音化を支える両社の技術
富士フイルムの通風防音材(静音化技術)
  • “風は通し、音は通さない”というコンセプトで通風防音材(音響メタマテリアル)を開発しました。長年、光学分野で培った、メタマテリアルを用いて光の波動を制御する技術(メタマテリアル技術)を、光と同じ波動性を有する音へ応用しています。
  • 通風防音材は、メタマテリアルによる小型な構造により広帯域の防音を可能とし、さらに風の抵抗を抑制した流体設計を組み合わせることで、これまで困難であった、換気に必要な通風量の確保とそれによって発生する送風音の低減の両立(通風性と防音性の両立)を実現します。空調ダクトなどに使用されている、従来の消音器が抱えていた、①低周波を含む広帯域の防音のためには構造が大型化する、②内部の構造上、風の大きな抵抗が生じ、圧力損失や風切り音(自己発生音)が発生する、という課題を解消しました。
  • 通風防音材による防音効果は、約10dB※4低減することを実証済みです。
  • ※4 通風防音材と換気ホースを接続し、通風防音材を通過する前後での送風音の音量の差異を確認した実験において。
通風防音材と従来消音機による防音性・通風性の比較
[グラフ]

従来消音器①は防音性が高いが通風性が低く、また従来消音器②は通風性が高いが防音性が低い。富士フイルムの通風防音材は防音性と通風性を両立。

ダイキンの無給水加湿・換気機能を支える高性能換気ファン技術

無給水加湿・換気機能は、室外機で屋外の空気に含まれる水分を取り出し、無給水で室内を加湿する技術です。冬場の冷たく乾いた外気を加湿・暖房し、夏場は暑く湿った外気を除湿・冷房しながら室内に取り込みます。また室外機にある「ダンパー構造」と「高性能な換気ファン」により、給気と排気の換気方式を切り替えることが可能です。

加湿・換気ユニットは大きく3つの部分から成り立っています。具体的には「外気を機内に取り込む」、「湿度を高める」、「室内機へ空気を搬送する」というしくみです。特に「室内機へ空気を搬送する」部分では、搬送ホースなどの通風抵抗に打ち勝つ高性能な換気ファンにより安定的な換気量を確保しています。

[画像]高性能換気ファン技術の図説
オプション販売製品
製品名
加湿・換気静音キット
販売開始時期
今春
対象機種
ルームエアコン「うるさらX」「うるさらmini」2022年モデル
特長
  1. 換気によって発生する送風音を20%以上低減
  2. 置き場所スペースを選ばない、室外機の配管部への装着
  3. 新たな配管貫通作業が不要で設置作業性にも配慮
[画像]加湿・換気静音キット「うるさらX」への取り付けイメージ

お問い合わせ

報道関係のお問い合わせ先
富士フイルムホールディングス株式会社

コーポレートコミュニケーション部 広報グループ

ダイキン工業株式会社

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