富士フイルム株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長・CEO:後藤 禎一)は、先端半導体の製造プロセスに用いられるネガ型の極端紫外線(EUV)*1向けフォトレジスト(以下、EUVレジスト)および現像液(以下、EUV現像液)の販売をこのたび開始しました。
当社は、現在広く普及しているネガ型レジストの現像工程であるNTIプロセス*2を世界で初めて開発・実用化し、ArF露光*3を用いた半導体の微細化をリードしてきました。今回、EUV向けに進化させたNTIプロセスに対応するEUVレジストとEUV現像液を組み合わせて提供することで、回路パターンの形成プロセスを最適化し、さらなる微細化に貢献します。
EUVレジストとEUV現像液の販売開始に伴って、静岡と韓国平澤拠点に新たにEUVレジストおよびEUV現像液の生産・品質評価の設備を増強します。
5G/6Gによる通信の高速・大容量化、自動運転の拡大、AIやメタバースの普及などを背景に、半導体のさらなる需要拡大と高性能化が見込まれています。半導体の高性能化に必要な半導体回路の微細化を実現する技術として、光源に非常に短い波長の光を用いてウエハーに微細な回路パターンの描写が可能なEUV露光技術への注目が高まっています。今後、EUV露光技術を用いた製造プロセスの普及に伴い、同製造プロセスで使用される基幹材料であるEUVレジストの市場は、年率約2割で成長*4すると予測されています。また、EUV現像液の市場も同様に拡大が見込まれています。
当社は、有機溶剤を用いて従来よりもシャープで微細な回路パターンの形成が可能なNTI現像液*5をArF露光のほか、EUV向けにも提供しています。NTI現像液は、従来のアルカリ現像液にかえて高純度有機溶剤を用いることで現像時のレジストの膨潤を抑え、高いパターニング精度を実現。当社が他社に先駆けて独自に開発し、現在広く普及しているNTIプロセスで標準的に使用され、回路パターンの微細化に貢献しています。
今回当社は、EUV露光技術を用いた製造プロセスに求められる回路パターンの微細化を実現するネガ型のEUVレジストの販売を開始しました。当社が従来のフォトレジストなどの開発で培った機能性分子技術を活用して、レジストの反応制御機能を持つ光分解性クエンチャー連結型光酸発生剤(以下、PCP)*6を導入。EUV露光時のレジスト膜中の酸濃度を均一に保つことで、従来の化学増幅型レジストの課題であった回路パターンのばらつきを約17%低減*7させることに成功しました。
さらに、独自のEUV現像液の販売も開始。有機溶剤の処方を工夫することで、独自のNTI現像液をEUV向けに進化させました。現像時のレジストの膨潤を極限まで抑え、回路パターンのさらなる微細化に貢献します。
EUVレジストおよびEUV現像液の販売開始に伴い、設備投資を実施します。静岡拠点では、EUVレジストの生産・品質評価機能を強化するために、最新鋭の生産設備・検査装置を導入します。韓国の平澤拠点では、EUVレジストおよびEUV現像液の生産・品質評価機能を強化するために、クリーンルームを設置するとともに、最新鋭の生産設備・検査装置を導入します。両拠点に導入する設備の稼働開始時期は、2025年10月を予定しています。
当社は、フォトレジスト*8やフォトリソ周辺材料*9、CMPスラリー*10、ポストCMPクリーナー*11、薄膜形成材*12、ポリイミド*13、高純度プロセスケミカル*14の半導体製造の前工程から後工程までのプロセス材料や、イメージセンサー用カラーフィルター材料をはじめとしたWave Control Mosaic(ウエイブ コントロール モザイク)™*15をグローバルに展開。最先端から非先端まで半導体製造プロセスのほぼ全域をカバーする豊富な製品ラインアップに加え、日米欧アジアの主要国に製造拠点を有する安定供給体制や高い研究開発力を生かしたワンストップソリューションの提供により、顧客の課題解決に取り組み、半導体産業の発展に貢献していきます。
- 1. 場所
静岡県榛原郡吉田町川尻
- 2. 投資内容
EUVレジストの生産・品質評価機能強化のための生産設備・検査装置の導入
- 3. 稼働開始時期
2025年10月
- 1. 場所
大韓民国京畿道平澤市(梧城(オソン)工業団地)
- 2. 投資内容
EUVレジストおよびEUV現像液の生産・品質評価機能強化のためのクリーンルーム設置、生産設備・検査装置の導入
- 3. 稼働開始時期
2025年10月
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