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日本
ニュースリリース

2024年4月30日

半導体製造技術「ナノインプリントリソグラフィ」に適合する半導体材料

ナノインプリントレジスト新発売

最先端半導体製造時のコスト低減と省電力化に貢献

富士フイルム株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長・CEO:後藤 禎一)は、半導体製造技術「ナノインプリントリソグラフィ」に適合する半導体材料として、ナノインプリントレジストを5月下旬より、電子材料事業の中核会社である富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ株式会社(本社:神奈川県横浜市、代表取締役社長:小林 茂樹)を通じて販売します。

5G/6Gによる通信の高速・大容量化、自動運転の拡大、AIやメタバースの普及などを背景に、半導体の需要拡大と高性能化が見込まれています。昨年、高性能な先端半導体を低コスト・省電力で製造できる新しい製造技術として「ナノインプリントリソグラフィ」が実用化。「ナノインプリントリソグラフィ」は、半導体製造に用いるウエハー上のレジストに、回路パターンが刻み込まれたマスク(型)をハンコのように押し当てて回路パターンを転写・形成する技術で、半導体製造で広く使用されているフォトリソグラフィと異なって現像工程やリンス工程がなく、露光に用いる複雑な光学系も不要です。特に、高額な露光装置の導入など、投資がかさむ先端半導体分野では、フォトリソグラフィと比べてより低コスト、省電力で高性能な半導体を製造できるメリットを大きく享受できることから、「ナノインプリントリソグラフィ」の普及・拡大に期待が高まっています。

今回発売するナノインプリントレジストは、当社がフォトレジストなどの開発で培った知見と技術を活用して、製造工程におけるレジストの流動挙動や、レジストとウエハー表面・マスクそれぞれとの相互作用を詳細に解析し、「ナノインプリントリソグラフィ」に最適な分子構造を持つレジストを新規に設計したものです。当社のナノインプリントレジストは、マスクに刻み込まれた複雑な回路パターンに均一に素早く充填でき、ナノメートルレベルの回路パターンを忠実に短時間で転写・形成。さらに、UV照射により硬化させた後、マスクを高速で剥がしてもレジストに転写された回路パターンに欠損を生じさせない優れた離型性を発揮します。これにより、「ナノインプリントリソグラフィ」の実用化に向けた課題であった、スループット(時間当たりのパターニング処理能力)向上と低欠陥による歩留まり改善を可能にし、先端半導体製造時のコスト低減と省電力化に貢献します。
また、当社が産業用インクジェットプリンターの開発で培った技術を生かして、ウエハー表面に無駄なく最適な液滴量をインクジェット方式で塗布できる処方設計を実現。現在の製造プロセスで用いられるスピンコート法※1と比較して、レジストの使用量を約1/100に削減※2できます。今回発売するナノインプリントレジストは、環境や生態系への影響懸念から使用規制の動きが進む有機フッ素化合物群「PFAS」を含んでいません。
今後、当社はナノインプリントレジストの販売をとおして、最先端半導体製造時のコスト低減と省電力化に貢献する新しい半導体製造技術の普及・拡大を推進していきます。

当社は、フォトレジストやプロセスケミカル、ポリイミドなど半導体製造の前工程から後工程までのプロセス材料や、イメージセンサー用カラーフィルター材料をはじめとしたWave Control Mosaic(WCM)を展開し、最先端から非先端まで「ワンストップソリューションを提供する半導体材料メーカー」として、半導体顧客ニーズへの対応、課題解決に取り組んでいます。今回最先端の微細化に対応したナノインプリントレジストをラインアップに加え、これらの幅広い製品の提供と新しい製造技術に適合した製品開発により、半導体産業のさらなる発展に貢献していきます。

  • ※1 レジストをウエハー上に滴下し、ウエハー高速回転させることでレジスト薄膜を作製する方法。
  • ※2 当社による試算。

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