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ニュースリリース

2024年3月25日

ワイドフォーマットインクジェットプリンター向け新技術

「AQUAFUZE(アクアフューズ)技術」新開発

水性インクとUV硬化性インクの技術融合で、水性インク中に光硬化性樹脂を安定的に分散

富士フイルム株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長・CEO:後藤 禎一)は、ワイドフォーマットインクジェットプリンター向けに、水性顔料インクジェットインク中に光硬化性樹脂※1を安定的に分散させる独自技術「AQUAFUZE(アクアフューズ)技術」を新たに開発しました。「AQUAFUZE技術」は、当社が有する、水性インク技術とUV硬化性インク技術の融合により開発したものです。なお、「AQUAFUZE技術」を用いた新インクジェットインクとなるUV硬化性水性インクの提供開始は、2024年秋を予定しています。

産業用インクジェットインクは、一般的に、水性インク・溶剤インク・UV硬化性インクに分類され、各インクはインクの特性や印刷用途に応じて使用されます。サイングラフィックや販促用印刷(POSプリント)などで使用されるワイドフォーマットインクジェット印刷では、熱でインクを固める水性インクや、光の照射によるUV硬化性インクが主流です。現在、ワイドフォーマットインクジェット印刷市場の成長に伴って、印刷アプリケーションや基材が多様化する中、印刷物に付着するインクには、高い耐久性や、折り曲げなどの加工時に必要となるインク膜の延伸性、吐出安定性などが求められています。また、印刷時に生じる溶剤の揮発や臭気などを防ぎ、印刷作業者がより安全で快適に使用できるインクへのニーズも高まっています。

今回開発した「AQUAFUZE技術」は、当社が持つ、高機能素材の合成技術や粒子の分散技術を応用して、水性顔料インクジェットインク中に光硬化性樹脂を安定的に水分散させる独自の技術です。さらに「AQUAFUZE技術」をベースに、水性インクとUV硬化性インク双方の処方技術を組み合わせることで、新たに開発したのがUV硬化性水性インクです。本インクは、これまで水性インク・溶剤インク・UV硬化性インクといった単一インクでは難しかった、印刷時に生じるインクの臭気などを抑える安全性に加え、高い耐擦性や延伸性を実現する膜質を有するため、多彩な印刷基材に対応します。昨今、ワイドフォーマットインクジェット印刷で増加している室内サインや壁紙に使用されるインクとして利用できます。「AQUAFUZE技術」を活用したUV硬化性水性インクは、今後、お客さまのジョブの幅を広げる、ワイドフォーマットインクジェット印刷分野の新スタンダードインクとして期待されます。

UV硬化性水性インクは、光硬化性樹脂、顔料インク、水が成分です。

図1:UV硬化性水性インクの成分

インク定着のプロセスです。プリントヘッドからインクを吐出し、UV光を当て、乾燥/露光させることで、インクを定着させます。

図2:インクの定着プロセス

図3:AQUAFUZEロゴ

「AQUAFUZE技術」を活用したUV硬化性水性インクの主な特長

  • 光硬化性樹脂を使用しているため、乾燥による増粘の影響を抑制し、インクジェットヘッドの目詰まりを低減。安定的なインクの吐出を実現。
  • インクの密着性を補助するプレコートプライマーやオプティマイザーを用いずに、さまざまな印刷基材への接着性を実現。
  • インク表面の凹凸が少なくなり光の正反射が強くなるため、光沢感のある印刷が可能。
  • UV硬化により印刷基材へのトップコートが不要。耐擦性や延伸性のあるインク膜を発現。
  • インクの臭気性を低減し、高い安全性を実現。

なお、本技術は、5月28日(火)から6月7日(金)にドイツ・デュッセルドルフで開催される国際印刷・メディア産業展「drupa 2024」の富士フイルムブースにて出展予定です。

当社は、産業用インクジェット市場における多様な用途やお客さまのニーズに応じて、今後も画期的な製品を開発・提供し、さまざまな産業の発展に貢献していきます。

  • ※1 UV光の照射によって硬化反応が起こる樹脂。

お問い合わせ

報道関係

富士フイルムホールディングス株式会社
コーポレートコミュニケーション部 広報グループ

お客さま

富士フイルム株式会社 インクジェット事業部

  • * 記事の内容は発表時のものです。最新情報と異なる場合(生産・販売の終了、仕様・価格の変更、組織・連絡先変更等)がありますのでご了承ください。