富士フイルム株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長・CEO:後藤 禎一)は、最先端の光学技術・画像処理技術・AIによってトンネル点検業務の効率化を実現する「トンネル点検 DXソリューション」の提供を本日より開始します。本ソリューションは、トンネル撮像システムの貸与から画像データの保管・活用までワンストップで提供し、トンネル点検業務を刷新します。画像データをもとに高精細なトンネルの画像展開図を生成できるため、従来トンネル内で行っていたひび割れの進行度合いなどの点検作業をオフィスにいながら実施可能とします。
当社は、まずは水力発電所などの水路トンネルを対象に本ソリューションを展開し、インフラ分野のDXに貢献していきます。なお、北陸電力株式会社は今年度のトンネル点検業務に本ソリューションを使用します。
当社は、独自の画像処理技術やAIを応用して橋梁やトンネルなどのひび割れを自動検出する社会インフラ画像診断サービス「ひびみっけ」を2018年に提供開始しました。「ひびみっけ」は、点検業務を効率化できるサービスとして注目され、多くのお客さまに採用いただいています。
今回提供を開始する「トンネル点検 DXソリューション」は、「ひびみっけ」で培った最先端の画像処理技術・AIと、当社デジタルカメラの高度な光学技術を組み合わせ、①トンネル撮像システムの貸与、②高精細な画像展開図を使った点検、③データ活用/保管をワンストップで提供するソリューションです。
①トンネル撮像システムの貸与
最新世代のイメージセンサーを搭載したデジタルカメラを使用し、暗いトンネル内でも解像度が高い画像を得られるシステムを貸与します。タブレット上で複数のカメラを同時に制御し、効率的にトンネル内を撮影することができます。
②高精細な画像展開図を使った点検
「ひびみっけ」で培った最先端の画像処理技術を用いて大量の画像データを高速で自動合成し、トンネルの高精細な画像展開図を作成。AIでひび割れを自動検出し、専用ビューア上に表示します。また、展開図をスムーズに拡大/縮小したり、位置情報やメモを追記することもできます。点検者はオフィスにいながら展開図を使って点検できるため、トンネルの健全度をストレス無く正確に把握可能です。
③画像データ保管/活用
点検に使用したデータはクラウド上に長期保管。専用ビューアに過去の点検結果も表示することで、経時による差分比較が容易です。
「トンネル点検 DXソリューション」の流れ
トンネル内を撮影
画像データ自動合成+AIひび割れ自動検出
画像データをクラウド上に保管
近年、重要なインフラの一つであるトンネルの老朽化が進行し、社会課題として顕在化しています。現在、国内では、鉄道や道路、水力発電所などに1万5千本以上のトンネルが設置されており、人手による点検業務と修繕計画作成が行われています。なかでも、水力発電所の水路トンネルは、水力発電所の動力源である水を運ぶ重要施設です。内部に照明設備が無い、数百m~数kmの長さのトンネルを5~6名の熟練者が主に目視で点検していることから、点検業務に大きな負担を伴っています。また、人手による点検では、ひび割れの進行などを確認することが困難であり、その結果「事後保全」になってしまうため補修コストが増大します。
本ソリューションを活用することで、現地での作業を3名(熟練技能者1名・撮影作業員2名)程度で実施可能。また、3kmのトンネルの画像展開図を作成するのに、手作業で行った場合は数か月を要しますが、自動合成により約1週間で完了できます。画像展開図をもとにオフィスでひび割れの確認といった点検が可能となり点検業務の負担が大幅に低減します。従来の「事後保全」から、トンネルの健全度を正確に把握して適切な修繕計画立案する「予防保全」へ転換し、設備の延命やライフサイクルコストの削減が実現できます。
当社は、引き続き「トンネル点検 DXソリューション」の機能強化を進め、本ソリューションの対象を、水力発電所などの水路トンネルから、鉄道や道路のトンネルまで広げていきます。今後も、先進・独自の技術を用いた製品・サービスの提供を通じて、インフラ分野のDXを推進し、社会課題の解決に貢献していきます。
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