このコンテンツは医療従事者向けの内容です。
岡藤 孝史 氏
群馬県のほぼ中央に位置する吉岡町においてクリニックを承継し、内科・放射線科としてリニューアル開業した関口医院の岡藤孝史氏に、承継開業の経緯や機器選定のポイント、今後の展望などについてお話をうかがった。
使用装置:SYNAPSE WZ、CALNEO Compact、CALNEO Smart、Supria Optica、ARIETTA 50、Hi-SEED Cloud
私は、これまで放射線診断専門医として、国立国際医療研究センター病院などで勤務し、がんを中心に呼吸器、乳腺、循環器、消化器など、さまざまな領域の画像診断やIVRに従事してきました。
先代の院長で、私の義理の父親である関口修五郎先生の他界に伴って、2021年8月にクリニックを承継しました。その後、当時の勤務先だった国立国際医療研究センター病院の診療と並行して、当院において土曜日限定で外来診療を行いながら、リニューアルの準備を進めました。そして、2022年3月末をもって前勤務先を退職し、4月から当院に専念して診療を行っています。
東京から当院のある群馬県吉岡町までは、最短でも2時間以上かかります。金曜日の最終、土曜日の始発で往復していたのですが、限られた時間の中で外来診療と開業準備を行うのは、なかなか大変でしたね。また、これまで機器選定をした経験がなかったので、そもそもどこから手をつければ良いのか分からず苦労しましたが、複数のメーカーから話を聞きながら着実に進めていきました。
先代は外科を専門としていましたが、私は自分自身の専門を活かしたいと考えていましたので、内科・放射線科を標榜することとし、放射線科の強みを活かすための機器選定を行いました。その中で、CTについては、先代とも「承継に際して導入する」という話をしており、私自身の強みを活かす上で必須の装置だと考えていました。そして導入にあたっては、価格や機能に加えて、もともとあるX線撮影室を活用する方法にも重きを置きました。さらに、これまで放射線診断専門医として読影を行ってきた中で、PACSを用いた読影環境が当たり前になっていましたので、そうした環境整備も重視しました。
これまで放射線科医として「読影をして、レポートを書く」という業務に従事してきましたので、撮影から読影、レポートの作成までの流れがしっかりと確立されているシステムを選ぼうと思い、トータル提案をしてもらいました。
医療機器のデジタル化が進む中で、一つのトラブルで全体のシステムが止まってしまうようなこともあり得ますので、トータルで対応してもらえるサポート体制の重要性は今後もますます高まっていくと考えています。
撮影スピードが速く、MPRなどの処理も迅速にでき、画質も良いため、満足しています。また、CT/一般撮影ともに私が撮影を行っているのですが、画像処理技術によって、多少のアーチファクトやポジショニングによる画像のズレを簡便に補正できる機能には、とても助けられています。
更新前はフィルムを使用していましたが、デジタル化されたことにより低線量で高画質の画像が得られるようになったと思います。また、撮影から画像確認や読影までの時間が短縮され、患者さんの待ち時間が大きく減少しました。
操作について最初は慣れない部分もありましたが、撮影する症例や部位はある程度決まっており、シンプルな操作で撮影できるので、比較的早い段階でスムーズに撮影できるようになった印象があります。
当院の周辺にはCTを導入しているクリニックがないので、近隣のクリニックとも連携しながら、地域の方々に高精度の画像診断を広く提供していくことを検討しています。そして、将来的には、MRIやマンモグラフィ、骨密度測定装置などを地域のニーズに合わせて導入し、地域の検査センターのような役割を担っていければと考えています。
放射線科医として勤務していた頃は、読影室で1日60~70枚のレポートを書いて、業務の相手となるのは他科の医師でした。そのため、開業した当初は患者さんと直接コミュニケーションをとることに少し戸惑いはありましたが、経験を重ねる中でそういった戸惑いは徐々になくなっていきました。そして、現在は一人ひとりの患者さんの話をしっかりと聞き、検査や治療をする際はその理由を分かりやすく説明するように心がけています。
放射線科医は大規模な医療施設の勤務医として働くのが一般的かと思いますが、放射線科クリニックを開業して地域の画像診断を担うこともできます。特に、画像診断については今後ますます需要が高まっていくと考えられるので、放射線科医も開業を一つの選択肢として意識してよいと思います。
私のように承継開業をする場合は、先代の施設を活用するケースも少なくないと思います。その中で、当院では以前の一般撮影室にCTを入れようと考えていたものの、スペース的に難しいのではないかと思っていました。しかし、実際にはわずかな拡張だけでCTと一般撮影装置を一室に入れることができました。スペースや電圧などの問題はさまざまな工夫で解消できる可能性があるので、最初から無理と思わず、メーカーや各種の業者に相談してみることを勧めます。
日立製作所の画像診断関連事業を承継した富士フイルムヘルスケアとのシナジーを発揮して、技術や機能、サービス面などをさらに向上させるとともに、今後もユーザー目線の使いやすい装置を開発・提供していただければと期待しています。
- 製品名
検査情報管理システム SYNAPSE Wz
- 販売名
富士画像診断ワークステーション用プログラム FS-V678型
- 医療機器認証番号
227ABBZX00104000
- 製造販売業者
富士フイルムメディカル株式会社
- 製品名
CALNEO Compact
- 販売名
X線診断装置 CALNEO XR
- 医療機器認証番号
第 302ABBZX00055000 号
- 製造販売業者
富士フイルム株式会社
- 製品名
FUJIFILM DR CALNEO Smart C47
- 販売名
デジタルラジオグラフィ DR-ID 1200
(FUJIFILM DR CALNEO Smart C47は、構成品 フラットパネルセンサ DR-ID 1211SE)- 医療機器認証番号
226ABBZX00085000
- 製造販売業者
富士フイルム株式会社
- 販売名
全身用X線CT診断装置 Supria
- 医療機器認証番号
225ABBZX00127000
- 製造販売業者
富士フイルムヘルスケア株式会社
- 販売名
超音波診断装置 ARIETTA 50
- 医療機器認証番号
230ABBZX00125000
- 製造販売業者
富士フイルムヘルスケア株式会社
- CALNEO Compactのカタログ
- 本記事のPDFデータ