このウェブサイトはクッキーを使用しています。このサイトを使用することにより、プライバシーポリシーに同意したことになります。

日本

導入事例東京エコリサイクル株式会社

永久磁石MRIのリサイクルでSDGsへの期待
東京エコリサイクル株式会社訪問

このコンテンツは医療従事者向けの内容です。

富士フイルム株式会社は1986年にレンズ付きフイルム「写ルンです*1」を発売し、フイルムは現像作業が必要なことから、資源回収のリサイクルスキームを実現しました。 現在ではエコロジーやサステナブルの観点からリサイクルは企業が取り組むべき重要課題の一つとなっています。 当社においても、永久磁石オープンMRIに使用されているレアアースを含むネオジム磁石をリサイクルするスキームを以前から実践しています。 今回は、このリサイクルにおけるパートナー企業である東京都江東区にある東京エコリサイクル株式会社を訪ね、川上氏(取締役CSO)、伊藤氏(事業主管)、横山氏(事業主管)の三人にお話を聞きました。

  • *1 写ルンですは富士フイルム株式会社の登録商標です。
  • * 本記事は掲載当時の記事であり、記載中の社名、施設名などに古い表現が含まれています。

伊藤氏(事業主管)

横山氏(事業主管)

MRIのリサイクルスキームにおける御社の役割について教えてください。

伊藤氏 MRIに使用する永久磁石はネオジム磁石であり、当社の役割はレアメタルリサイクルのフロント部分である都市鉱山(病院などの施設)からの磁石回収になります。具体的には病院からのMRI装置の入替えや閉院での回収になりますが、MRIガントリーは7tから15tの重量物であり、特殊な解体搬出を請け負い、当社の工場に持ち込んでリサイクルするための前処理作業までを行います。この仕事ができるのは15tクレーン設置の工場を有していることと、解体作業や前処理作業の技術に精通していることです。
また、扱うのが磁石なので吸引事故や搬出時に病院建屋内に損傷を与えないように安全教育は徹底して行っているという自負があります。

磁石の再生 MRIのガントリー全体をネオジム磁石のキュリー温度である300℃以上に巨大な炉で加熱して、磁場を消失してから磁材の回収を行う。

永久磁石MRIでの協業実績はありますが今後の医療機器リサイクル事業の展開は?

伊藤氏 医療機器リサイクルは歴史のある家電リサイクルや建築リサイクルなどと比べ限られた市場ということもあり、中古医療機器のイメージ一辺倒になりがちですが、医療がなくならない限り貴重な資源の有効利用は幅広くとらえる必要があります。
当社は家電リサイクルで培ったノウハウと、医療ビジネスに長く携わったスタッフがいるので、今後は原料リサイクルからリユースへの展開とともに、病院の移転や廃院などでの残置物に関しても有効利用ができる資源はありますので、そこにもプロの目で選別してリサイクル事業の拡大を図りたいと考えています。

コラム <永久磁石MRIの構造>

1987年に製品化された永久磁石MRI装置は、80年代に開発された強力な永久磁石であるネオジム磁石の登場が大きく影響しています。それまでのフェライト磁石に対しておよそ10倍のパワーを有するネオジム磁石は、MRIガントリーの質量を10分の1に低減して実用化を加速しました。

永久磁石によるガントリーは図に示すように開口部の上下にネオジム磁石を配置し、その上下をつなぐ鉄製のヨークとコラムから形成される閉磁路構造となっています。基本的に磁場強度が小さいことに加え、この閉磁路構造により永久磁石型MRIガントリーの漏洩磁場範囲はおよそ2m以下と、とても小さくできます。さらに、電源ユニットの1ラック化を図り、機械室も不要としました。このコンパクト化は低消費電力にも寄与し、超電導磁石で必須となる冷凍機と水冷チラーユニットが不要な永久磁石方式とともに、画期的な省エネルギーMRIシステムとなっています。

永久磁石MRI構造図

永久磁石MRIガントリー

MRI以外の医療装置のリサイクルに関して教えてください。

本日はどうもありがとうございました。
これからもMRI磁石素材などのリサイクル活用を進めることで、地球環境維持の取り組みを協業して行ってまいりたいと思います。

東京エコリサイクル株式会社
東京都江東区若洲二丁目8番21号
TEL:03-3522-6696