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日本

導入事例一般財団法人 鎌倉病院

APERTO Lucent Plusがもたらした患者快適性と画質向上 ~整形外科を中心に~

このコンテンツは医療従事者向けの内容です。

2021年3月より神奈川県鎌倉市にて、一般財団法人 鎌倉病院に0.4T オープンMRI装置「APERTO Lucent Plus」をご導入いただきました。ご使用いただいている放射線科の土田圭介技師、山口彰一技師にオープンMRI装置の活用や今後の展望について取材した内容をご紹介します。

  • * 本記事は掲載当時の記事であり、記載中の社名、施設名などに古い表現が含まれています。

一般財団法人 鎌倉病院の概要

図1 病院外観

一般財団法人 鎌倉病院は神奈川県鎌倉市にあり、大仏から徒歩5分ほどの観光地の中に位置しています。「笑顔と真心の奉仕、安心と信頼の医療」を基本理念に掲げ、地域にねざした医療を実践されています。

同院は1899年に開設されて地域医療の一翼を担っておられ、開設当初は結核患者を診療する病院でしたが、現在は整形外科を中心に内科、消化器内科、皮膚科の診療を行っておられます。土田技師は同院の特長について、「当院の特長は整形外科手術を得意としていることです」と話されます。「2016年からの6年間で2,500件を超える手術を実施しており、2020年度は整形外科の手術件数は759件で、神奈川県でも上位に入る手術件数を誇っています。特に多いのは脊椎脊髄手術で401件、そのほか関節鏡手術を62件、人工関節手術を180件行いました」。

放射線科では一般撮影装置、X線テレビ装置、骨塩定量装置、CT、MRIがあり、診療放射線技師5名で検査を行われています。MRI装置は整形外科を中心に手術適用の判断、術前、術中の確認、そして術後のフォローアップなどに使用されています。同院は2001年より0.2TオープンMRI装置「AIRIS*1 mate」を使用されていました。

MRI装置更新の経緯

MRI装置では整形外科を中心に検査を行っておられましたが、導入から20年ほど使用して装置故障によりMRI装置の更新を検討し始めたそうです。

山口技師は装置更新の検討時を振り返り、「検討開始当初は1.5TのMRI装置への更新を検討していました。1.5T MRI装置が必要だと考えた理由として、MRI検査時間を短縮することで患者さんへの負担を軽減させたい、そして医師に診断しやすい良い画質の画像を提供したいという思いがあったからでした。しかしながら、他施設のMRI装置では閉塞感に耐えられず検査できなかったとおっしゃっていた患者さんがオープンMRI装置では問題なく検査できたことを何度か経験しており、検査環境の快適性と高画質を両立する装置が理想的だと考えていました。快適な検査環境と高画質の両立を実現できた装置が0.4TオープンMRI装置『APERTO Lucent*1 Plus』でした」と話されます。APERTO Lucent Plus導入によって、開放的なオープンデザインによる検査環境の快適性と高速撮像技術により撮像時間短縮、高画質化を実現されています。

  • *1 APERTO、APERTO Lucent および AIRISは富士フイルムヘルスケア株式会社の登録商標です。

快適な検査環境を提供するオープンMRI装置という選択

APERTO Lucent Plusは1本柱構造で、左右が開けたオープンデザインと静かな検査環境を提供します(図2)。患者さんのMRI検査に対するイメージとして、「暗い」「狭い」「うるさい」という声を耳にします。特に高磁場MRI装置はボア型の形状であるため、暗く狭いボアの中で検査を行います。また検査音がボアの中で響くため、MRI検査を不快に感じたという患者さんも多く、特に閉所恐怖症の患者さんはMRI検査を断念してしまうケースも少なくありません。

オープンMRI装置は320°の開口径を有するため、左右が開放的になっています。

図2 0.4TオープンMRI装置「APERTO Lucent Plus」
(左が土田技師、左から2番目が山口技師)

土田技師は、「左右が開放的であることは患者に安心感を与えるという点で重要だと思います。閉所恐怖症患者からは、『狭くて暗いのが苦手だから以前はMRI検査ができなかったけれど、この装置であれば閉塞感もないし検査できそう』ということで検査を完遂できたこともあります」と話されます。さらにオープンMRIは検査音が小さく、同院ではすべての患者さんに対して耳栓なしで検査を行っているそうです。耳栓なしでの検査を終えた患者さんからは、「不快な音はしなかったから安心して検査できました」との意見を得られているそうです。土田技師は、「オープンMRI装置での検査により、閉所恐怖症だという理由でMRI検査できないということをこれまで1例も経験していません」と話されます。

図3 MRI検査の様子

また、オープンMRI装置で整形外科の検査を実施するにあたり、左右が開放的であることは患者さんに無理のないポジショニングを可能にします。山口技師は、「寝台の左右の開口が広く、肩関節や手関節などのオフセンターの部位であっても、寝台の左右移動によって患者さんに無理な姿勢を強いることなく、磁場中心での撮像を可能にしています(図4)」と話されます。

図4 オープンMRI装置での手関節コイルセッティングの様子

高速撮像技術「IP-RAPID」がもたらした効果

MRI検査は検査時間が長い、という固定概念は近年解消されつつあります。近年の技術進歩により、MRI画像を取得する撮像時間が短縮される高速撮像技術がMRI装置に搭載され始めています。IP-RAPIDは従来の画質を担保しつつ撮像時間を短縮することが可能な技術です。土田技師は、「IP-RAPIDを使用することにより、当院では従来装置と比較して約40%の撮像時間短縮を実現しました」と話されます。「これまでは検査時間の制限により撮像する画像種を限定していましたが、整形外科では多くの画像種・複数断面で病変を観察したいという要望がありました。IP-RAPIDを用いた検査により従来と同等の検査時間で画質向上、画像種の追加が可能になりました。膝関節の前十字靭帯断裂疑いでは、前十字靭帯をより細かく観察するための2.5mmの薄いスライス厚のスキャンを追加することで、手術適用かどうかの判断がしやすくなったと医師から評価されるようになりました」。

また、医師からは「以前よりも画像が見やすくなり診断に迷うことが少なくなった」「病変を見逃すリスクを減らすことができている」といった意見を得られているそうです。山口技師は、「撮像時間短縮により、検査件数は従来一日6件の検査が限界でしたが、8件まで増やすことができ当日の飛び入り検査の依頼にも対応できるようになりました」と話されます。

また、オープンMRI装置への更新がもたらした効果として、従来よりも多くの部位でMRI検査のオーダーが出るようになったそうです。土田技師は、「整形外科では従来ほとんど検査がなかった手関節の検査オーダーが一定の割合で出るようになりました。IP-RAPIDによる画質向上で診断に迷わないMRI画像を提供できるようになったことが、手関節のオーダーが増加した一因だと考えます」と話されます。

同院では整形外科以外で主に頭部検査を行っておられます。頭部検査について、土田技師は「当院では脳神経外科を標榜していませんが、近隣住民が頭部の症状を訴えて当院を受診する場合もあります。頭部はCT検査を行うことが多いですが、脳卒中などの急性期の疾患かを判断することは、患者さんの予後を左右するためMRI検査も重要な役割を担っています。過去の例として、筋力低下の主訴があり当院を受診された患者さんにて、頭部MRI検査にて脳梗塞疑いであることが判断でき、近隣の医療機関に紹介することになりました。そのほか、脳出血や未破裂動脈瘤の有無など、疾患を見逃さないためにオープンMRI装置を活用しています。また、当院では遠隔読影サービスを利用しており、画像診断のプロに読影依頼することで医療機関を紹介すべきか判断の参考にしています。地域にねざした医療機関として、重篤な疾患を見逃さないためにオープンMRI装置は必要不可欠な存在となっています」と話されます。

オープンMRI装置への更新がもたらした効果と整形外科中心に当院での活用事例についてご紹介しました。「整形外科の手術を行うにあたり、疾患の有無の判断から手術適用の判断材料としてMRI検査は重要な役割を担っています。地域にねざした医療機関として、患者さんが無理せず安心して受診できるMRI検査となることをめざし、快適な検査環境と診断しやすい画像を提供して地域医療に貢献していきたいです」と今後もオープンMRI装置を活用した患者さんにやさしい医療を提供されます。

販売名

MRイメージング装置 APERTO Lucent

医療機器認証番号

222ABBZX00151000

  • * APERTO Lucent Plus は APERTO Lucent の新しいシステムバージョンソフトウェアを搭載したモデルの呼称です。
    製品の改良により予告なく記載している仕様が変更になることがあります。