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日本

なごむね開発インタビュー

テクノロジーでマンモグラフィーの痛みにアプローチ

このコンテンツは医療従事者向けの内容です。

  • * この記事は、2016年~2017年まで開発に従事した荒井毅久さんに2022.10月にインタビューを行った内容です。
なぜ検診率はあがらないのか?‒痛みになぜ注目したのでしょうか?

なぜ検診率が上がらないのか。マンモグラフィーメーカーとして、我々は何ができるのか。

2017年に一般女性約1500名を対象に行われたアンケート*2では、マンモグラフィー検査を受けない理由として、「撮影中に痛かった(痛いらしい)」、全回答の3位となっていました。この結果より、撮影時の痛みに対する抵抗が、乳がん検診の受診率が伸び悩んでいる原因であると考え、痛みを和らげる方法がないか、考え始めました。

なごむね開発‒ヒステリシス発見の瞬間

そこから開発への道のりは険しかったですね。「痛みはなぜ発生するのか?」を探るべく、痛みに関する論文を読み漁りました。私個人で百本、なごむね開発チームで数百本ぐらい読んだでしょうか。この時は、他のことをしていても頭の片隅で常に「痛み」について考えている状態だったと思います。

そんな中、ある日のこと、マンモグラフィーの勉強として技師さんを研究室にお呼びして私自身がマンモグラフィーのポジショニングを経験する機会がありました。マンモグラフィーの撮影では、良い画像を得るために乳房を圧迫して薄くすることが大切です。私は男性なので、今までポジショニングの方法を技師さんに聞いたり、ビデオを見たりして頭では理解はしていましたが、実際経験するのは初めて。そんなことはお構いなしに、技師さんはテキパキと体や顔の向きをガイドします。あっという間に乳房を可能な限り引き出し、ぎりぎりまで手で押さえ、最後に手を抜いて圧迫板で押さえます。今まで感じたことのない痛みでしたし、どれぐらい痛いのかわからない怖さや不安もありました。

と同時に、技師さんが手を抜くときに目が留まりました。なんとなくですが、手を抜いたら、手の抑えはなくなっていますが、それでもきちんと圧迫はできているように感じました。

これにヒントを得て論文を調べてみると、乳房には「ヒステリシス」という性質があることが分かりました。ヒステリシスとは、柔らかい物質が持つ性質で、現在加えられている力だけでなく、過去に加わった力に依存した状態が維持される履歴現状のことです。低反発まくらがイメージしやすいのですが、一度手で押しても表面はすぐに戻ってきません。圧迫は乳房を薄く固定するため…よって、この性質を利用すれば圧迫を緩めることが可能なのでは?と閃きました。こうして、ようやくなごむね開発への道が見えてきました。

リリース後

その後、待望のリリース。使用いただいた受診者の方から、「痛みが半減した!」「全然違う(従来のマンモグラフィーと比較して)」という痛み軽減に関する感想をいただきました。もちろん、痛みは個人差があるものですので、「いつもと変わらなかった」というご意見もありました。また、「マンモグラフィーメーカーであるFUJIFILMがマンモが痛いのを分かってくれていて、それを何とかしようとしてくれている、その心がうれしい、ありがとう。」や「痛いのが嫌で検診を受けない人もいるので、そのような方が検診を受けるきっかけとなると良いと思う。」というような意見もいただきました。*3

また、実際に使われる技師さんから、なごむねが事前のコミュニケーションのきっかけとなり、被験者をスムーズにマンモグラフィーに導くことができた、というお声もいただき、実際になごむねが臨床現場で役に立てた!と本当にうれしかったですね。

最後に

先生方が格闘されているマンモグラフィ画像への影響、マンモグラフィ撮影をサポートされる技師さんの撮影の流れ、そのどちらにもほとんど影響を与えることなく、受診される方の痛みや緊張・不快感を減らすことが期待できます。女性の健康を守るためにご活躍されている医療現場の皆さまとともに、世界中の女性の笑顔を守っていければうれしいです。

  • *1 OECD (2017), Health at a Glance 2017: OECD Indicators, OECD Publishing, Paris.
    資料:国立がん研究センターがん対策情報センター
    Source:Center for Cancer Control and Information Services, National Cancer Center, Japan
  • *2 認定NPO法人乳房健康研究会「乳がん検診に関する調査2013 調査報告書」
  • *3 あくまでも個人的なご意見および対象施設の結果であり、機能・性能等を保証するものではありません。