このコンテンツは医療従事者向けの内容です。
函館病院
院長
加藤 元嗣 先生
長年にわたり高度な内視鏡診断・治療および研究に注力し、LCIの臨床研究においても中心的な役割を担う国立病院機構 函館病院の加藤元嗣先生。
LASEREOとの出会いからLCI-FINDに対する所感、さらには今後のLCIの展望まで、幅広くお話をうかがった。
内視鏡を主体とした診断・治療に注力し、検診・人間ドックにおいても内視鏡検査を積極的に実施しています。その中で、特に初めて内視鏡を受ける方には、経鼻内視鏡を用いた負担の少ないスクリーニング検査を提供しています。
年間の検査数は、上部が約2,800件、下部が約1,200件、胆膵系が約150件で、治療については食道、胃、大腸を合わせて約90件、大腸のEMRやコールドポリペクトミーは350~400件程度、実施しています。
富士フイルムの開発の方々との意見交換会で、「当てる光を変えることで、今まで見えなかったものが見えるような内視鏡は作れないのですか?」と話していた時に、ちょうどレーザー光を用いた内視鏡の開発が進んでいたらしく、その後しばらくしてLASEREOの試作品を見せていただきました。その時、キセノンランプではなくレーザー光で、しかも波長の異なる2種類のレーザー光を当てるという、従来とはまったく発想の違うスコープだったため「これは面白い」と思い、工夫をすれば将来的にさまざまなことができるのではないかと思いました。
BLIについては、従来の狭帯域光観察との比較を多施設共同研究で行いました。その結果、BLIで観察すると、表面構造が見えやすくなる症例があり、血管についても少し深い部分まで見えるという結果が得られました。ただ、これによって内視鏡診断学が大きく変わったわけではなく、従来の狭帯域光観察に対する非劣性が証明されただけです。そういう意味では、BLIの有用性は確認できたものの、私が当初に抱いたLASEREOへの期待に見合うものではなかったと言えます。しかし、その後に登場したLCIには大きな衝撃を受けました。
LASEREOの研究会で、八木(信明)先生から開発中のLCI画像を見せてもらったのが最初です。その時、萎縮が見やすいだけでなく、ピロリ感染胃に特徴的なびまん性発赤が韓紅色を呈して非常に分かりやすくなっていたため、画像を見た全員が「これは何だ?」と驚いたことをよく覚えています。そして、すぐにその場で、LCIの特性や有用性をしっかりと研究していくことで話がまとまりました。
腸上皮化生については、白色扁平隆起といわれる特異型は白色光でも観察できますが、非特異型といわれる通常の腸上皮化生は白色光では認識できないか、鑑別できないとされています。従来、非特異型の観察・診断にはメチレンブルーによる染色が有効とされていましたが、メチレンブルーの色素法はテクニックが必要で、手間もかかるため、なかなか普及しませんでした。
その一方で、狭帯域光観察では、特異型はWhite opaque substance、非特異型はLight blue crestの所見が得られると報告され、腸上皮化生の診断には狭帯域光観察が有用だとされてきました。こうした中で、我々の研究では、特異型、非特異型のいずれもLCIで観察すると、特徴的なラベンダー色に観察されることに着目し、報告しました。
そして、LCIを用いると、萎縮が分かりやすく、びまん性発赤は韓紅色に、腸上皮化生はラベンダー色に見えるため、白色光よりも胃がんのリスク評価が行いやすくなることが分かってきた中で、次の段階として、日々の臨床の中で感じていたLCIの腫瘍性病変に対する有用性を検証すべきだと考えるようになりました。
研究会においてLCIで発見したがんの検討を続ける中で、LCIは白色光よりもがんの境界や色が明瞭に観察でき、病変部の視認性が高いと感じていたため、それを証明するための臨床試験として、北海道大学、朝日大学、東京医科歯科大学、川崎医科大学などが中心となってプロトコルを作成しました。
そして、研究では全国19施設において咽頭・食道・胃の上部消化管を対象としたLCIと白色光の比較を約1,500例で行い、LCIは白色光と比較して1.67倍の上部腫瘍性病変を有する患者の拾い上げが可能であることが明らかになりました。
これまでの経験からLCIの方が検出率が高いだろうとは思っていましたが、ここまで差が付くとは思っていませんでした。中でも、白色光からLCIに切り替えて40%のがんが見つかっていたことには非常に驚きましたし、白色光ではこれほど見落とされていたのかと思いました。
なお、LCI-FINDでは、LCIで見逃されて、その後の白色光で検出された症例が5例ありましたが、それらを検証したところ、いずれの症例も白色光よりLCIの方が明らかに見やすく、偶然に見落とされたことが分かっています。
すでに私を含めた一部の内視鏡医は、白色光を使用せず、LCIのみで観察していますが、今回、LCI-FINDで非常にインパクトのある結果が出ましたので、今後、食道はLCIか狭帯域光で、胃はLCIで観察を行うことがスタンダードになっていくと思います。
そして、私としては、今後、白色光を使用せずとも、LCIだけで十分な検出率が得られることを証明していきたいと考えています。
食道がんや胃がん、大腸がんは、早期に発見できれば内視鏡治療で済みますが、進行すれば外科的治療、集学的治療となり、発見が遅れれば遅れるほど、財源も医療資源も多く必要になっていきます。したがって、早期がんの発見に有効なLCIは、医療経済にも貢献する可能性があると思います。
LASEREOのさらなる改良を通じて、がんの発見や悪性度診断、好酸球の診断など、今よりもプラスアルファの診断ができる内視鏡を開発していただければと期待しています。
販売名:光源装置 LL-4450
認証番号:223AABZX00062000
販売名:光源装置 VP-4450HD
届出番号:14B1X10022A0V009
販売名:電子内視鏡 EG-L590WR
認証番号:224AABZX00080000
販売名:電子内視鏡 EG-L600ZW
認証番号:226AABZX00176000
販売名:電子内視鏡 EG-L600ZW7
認証番号:228AABZX00070000
販売名:電子内視鏡 EG-L580NW7
認証番号:228AABZX00072000
販売名:光源装置 LL-7000
認証番号:228AABZX00112000
販売名:光源装置 VP-7000
届出番号:14B1X10022A0V014
販売名:電子内視鏡 EG-L590ZW
認証番号:224AABZX00081000
販売名:電子内視鏡 EG-L600WR7
認証番号:228AABZX00068000
販売名:電子内視鏡 EG-L580NW
認証番号:226AABZX00070000