このコンテンツは医療従事者向けの内容です。
愛媛県新居浜市を中心とする一帯の地域医療を担う住友別子病院では、年々増加する内視鏡検査をスタッフ一同が連携して遂行している。
その基礎になっているのが、内視鏡情報管理システム「NEXUS」・内視鏡部門管理支援サービス「ASSISTA Management ES(以下、AMES)」。新たに導入したシステムとサービス、そしてスタッフをつなげることで、検査業務の効率化・負担軽減を実現している。
住友別子病院
診療部 臨床工学室
高橋 祐樹 技師
内視鏡領域に特化したシステム・サービスで部門全体の効率化を図る
貴院の概要について。
愛媛県東予地方における拠点病院のひとつとして、周辺の医療施設・クリニックと連携しながら、患者さまとそのご家族に安心いただける医療に努めています。2016年には新病院棟を開設し、最新鋭の医療機器を導入するなど診療・検診サービスの高度化に取り組んでいます。
私が所属する診療部臨床工学室は、臨床工学技士18名が所属しており、うち2名が内視鏡専任で、内視鏡室には臨床工学技士2名のほか、消化器技師6名、看護師5名、洗浄員1名で、日々の業務にあたっています。
「NEXUS」の導入経緯は。
他社製のシステムを運用していましたが、更新時期を機にさまざまなメーカーのシステムを調査・試用したところ、「NEXUS」の使いやすさに魅力を感じました。内視鏡室では医師や看護師、臨床工学技士など異なる立場のスタッフがシステムを使うため、操作者を選ばないシンプルな仕様が導入の決め手になりました。
「AMES」の導入経緯は。
導入以前は、内視鏡検査関連のデータを基本的に手入力で記録していたため、労力と時間を要していました。「AMES」は、「NEXUS」ユーザーのみ使用できるサービスとして紹介いただき、検査の稼働率などのデータ分析を簡単にできる機能面が、当部の一層の効率化に寄与すると感じ、2019年より運用を開始しました。
「NEXUS」「ASSISTA Management ES」システム構成図
ボトルネックを発見・解消し、内視鏡検査全体の効率性を高める
「NEXUS」と「AMES」を運用した感想は。
「NEXUS」の「洗浄履歴管理機能」は、各スコープに添付したバーコードを読み取るだけで洗浄消毒時間を管理でき、手書きで入力していた導入前と比較して、管理の手間や時間が大幅に削減されました。また、スコープの修理履歴も入力できるため、臨床工学技士の立場からすると、内視鏡検査を支える機器の適切な保守保全に役立っています。
また、「NEXUS」に集積したデータは、「AMES」で詳細な課題発見に活用しています。時間帯毎のスコープ稼働率をはじめとした、今まで把握できなかったデータを可視化できるようになり、効率化につながる情報を得られています。特に、「クロス分析」は時間帯毎の検査項目割合や検査数を一覧で確認できる、有用性の高い機能です。その分析結果を基に、時間帯毎に変動する検査数に対応したシフト組みに活かしています。
「NEXUS」と「AMES」のデータ分析を基にした、具体的な改善事例は。
検査室毎の稼働状況について分析したところ、自動洗浄消毒装置の稼働率が低い一方で、スコープの洗浄消毒時間が延長していることが判明しました。自動洗浄消毒装置を適切に運用できていない点が、効率的な検査を妨げるボトルネックになっていたのです。加えて、スコープと洗浄員の不足状況の解消も必須でした。
そこで、自動洗浄消毒装置の入れ替えのタイミングで、1本用自動洗浄消毒装置を3台から4台、2本用自動洗浄消毒装置を2台から1台に変更するだけでなく、スコープも追加し、洗浄員の応援体制も整備しました。「検査時間が長い」「スコープ洗浄消毒の待ち時間がある」といった“漠然とした課題”が、「NEXUS」と「AMES」を運用することで“明確な課題”となり、ピンポイントで改善施策を実施できるようになりました。また、課題を先生方や管理者に説明する際にも、「AMES」の「トレンドレポート機能」は簡単にデータ資料を作成できるので重宝しています。
多角的かつ詳細なデータ分析を経て、より良い内視鏡医療を提供していく
「NEXUS」と「AMES」の今後の活用展望は。
データ分析に基づく改善施策により、現在は効率的な内視鏡検査を実現しています。ただし、内視鏡検査を取り巻く環境は刻一刻と変化します。検査数においても、今後さらに増加することが見込まれます。引き続き最善の内視鏡検査を施行していくためにも、「NEXUS」と「AMES」を駆使して、変化の兆候があればいち早く対応していきたいと思います。
「NEXUS」と「AMES」に今後期待することは。
「NEXUS」で患者さま毎の検査開始時間・終了時間を記録していますので、「AMES」を活用して対象期間の平均検査時間を算出できるようになると、繁忙検査帯をより詳細に把握できるのではないでしょうか。病院やクリニックのなかには、データ管理に表計算ソフトを使用しているところもあるかと思います。手作業でのデータ管理を行っている現場にこそ、内視鏡領域に特化した「NEXUS」と「AMES」は有用性を発揮するはずです。ひとつでも多くの施設で必要とされる存在になっていただくためにも、富士フイルムには医師や臨床工学技士などの内視鏡検査従事者に寄り添った改良・改善を、今後も期待するばかりです。
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