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徳島大学病院やその関連病院において消化管内視鏡の診断・治療を中心とした診療に注力し、2023年10月に「ふじの内科クリニック」を開業した藤野泰輝氏。富士フイルムの内視鏡システムや、AI技術を活用して開発した内視鏡画像診断支援システムの使用感などについてお話をうかがった。
藤野 泰輝 氏
ご経歴と開業の経緯は。
私は徳島大学を卒業後、徳島大学病院の消化器内科医局に所属し、上下部の内視鏡診断・治療、胆膵領域のEUS・ERCP関連手技などに注力するとともに、IBDの診療や消化器領域全般の化学療法、がんゲノム医療に取り組んできました。その中で、祖父の代から地元でクリニックを開業しており、両親もそれぞれ開業しているという環境もあり、以前から開業を検討していたところ、機会に恵まれて2023年10月に「ふじの内科クリニック」を新規開業しました。
クリニックの特長は。
これまでに大学の関連病院などで一般内科の診療を行ってきた経験や、祖父・両親の影響もあって、消化器内科領域のみならず内科全般について質の高い医療を提供することで、地域医療を支えていきたいと考えています。そして、私の専門領域である内視鏡診療について、上部では患者さんの苦痛を減らすために経鼻内視鏡を導入しており、下部では日帰りの大腸ポリープ切除も積極的に行っています。同時に、下部内視鏡の前処置においては専用トイレを完備した完全個室を設けて、プライバシーに配慮したかたちでリラックスして検査に臨んでいただける体制を整えています。
開業にあたっての機器選定で重視したポイントは。
機器の選定において特に悩んだのは、内視鏡、X線撮影装置、エコーの3つでしたが、徳島大学病院で富士フイルムの内視鏡やエコーに慣れていたこと、私の父親のクリニックでも富士フイルムの装置を多く使用していたことから、富士フイルムの装置を中心に検討を進めていきました。そして、単一のメーカーでまとめることで情報管理などがシームレスに行えることに加え、コスト面やサポート面でのメリットも後押しとなって、富士フイルムの装置・システムで統一することに決めました。
内視鏡の選定で重視したポイントは。
上部スコープは経鼻内視鏡の導入を考えていたため、病変の検出率向上につながる画質の良さと、検査時間の短縮につながる吸引性能を重視し、下部スコープは画質とAIによる診断支援をポイントにしました。
導入した装置・システムは。
内視鏡システムは「ELUXEO 7000システム」、上部スコープは経鼻用の「EG-840N」を2本、下部スコープは細径拡大の「EC-760ZP」、X線撮影装置は「FCR PRIMA」、画像診断ワークステーションは「C@RNACORE」、そのほかに富士フイルムのエコーも導入しました。また、AI技術を活用した診断支援として、内視鏡画像診断支援システム「CAD EYE」と胸部X線画像病変検出ソフトウェア「CXR-AID」および小型拡張ユニット「EX-Mobile」を導入しました。
富士フイルムの内視鏡との出会いは。
初期研修が終わった卒後3年目から、富士フイルム製を含めて複数のメーカーの内視鏡を使い始めましたが、富士フイルムの内視鏡は当時と比較するとかなり進歩してきていますよね。具体的には、硬度調整機能などによって挿入性が向上し、アングル操作の追従性が向上したことで操作性も高まってきていると思います。
経鼻用スコープ「EG-840N」の使用感は。
前職でもEG-840Nを使用していて、画質については経口内視鏡と遜色ないレベルまで来ている感触があります。また、経鼻スコープはどうしても吸引力が足りずに、検査時間が長引いてしまうという懸念がありますが、EG-840Nはほぼストレスなく吸引ができるので、吸引力不足で検査時間が長引くこともほとんどありません。さらに、スコープにコシがあり、アングルもしっかりと効くので、部位によって観察しづらいと感じることもないですね。
上部の画像強調観察については。
私は徳島大学でLCIの研究を行っていましたが、その当時からLCIを用いると色調のコントラストが向上すると感じていました。特に上部領域においては、LCIを用いることで萎縮の有無が分かりやすくなり、早期の胃がんなどの腫瘍性病変と周辺粘膜とのコントラストもつきやすくなるので、私は通常観察においてもLCIを積極的に使用しています。実際に、早期のバレット腺癌について、LCIで微細な色調差を検出することができ、早期発見につながった症例を経験しました。BLIについては、主に抜去時の食道の観察で使用しています。
下部スコープ「EC-760ZP」の使用感は。
拡大時・非拡大時ともに高画質で、操作性・挿入性も良いと思います。また、純正のフードを使用すると、拡大時に適切な距離を保てるだけでなく、ひだをひっかけたり、押したりしやすくなるので死角が減ると感じています。硬度調整機能については、通常の硬度で問題ない場合が多いのですが、硬度調整を行うことでスムーズに挿入できる症例も経験しているので、重要な機能の一つだと認識しています。
下部の画像強調観察については。
下部のスクリーニングでは主に白色光を用いていますが、疑わしい病変があった際はLCI・BLI観察と拡大観察を行って、質的な診断を行います。特に、鋸歯状病変は、LCIを使用すると微細なコントラストの差が強調されて検出しやすくなると感じていて、こうしたLCIの鋸歯状病変の検出感度については、徳島大学において研究テーマの一つとして取り組んでいました。
内視鏡画像診断支援システム「CAD EYE」の使用感は。
今後、医療AIの活用が重要になっていくことは間違いないと常々認識していた中で、「CAD EYE」については前職の徳島大学病院で検出の感度や精度を確認していたこともあって導入を決めました。
具体的な使用感として、下部では微小なポリープの検出力が高く、安心して検査・治療が行えると実感しています。鑑別モードについては、これまでの経験から自分の目による鑑別で問題ないと思っていますが、「CAD EYE」と同じ判断になった場合はより確信できると感じています。上部に関しては、開業後に早期の食道がんなどを経験し、「CAD EYE」はそれらについてもしっかりと反応していましたので、十分な性能を備えていると評価しています。
なお、診断支援システムの検出率について、私は「見逃しがあるよりは拾いすぎるくらいの方が良い」と考えています。「CAD EYE」は比較的多くの病変疑い領域を拾い上げますが、検出時の画面表示や報知音がストレスを感じないようにデザインされているので、現状において検出率の高さによるデメリットを感じたことはありません。
胸部X線画像病変検出ソフトウェア「CXR-AID」の使用感は。
当院では胸部単純写真の全例で「CXR-AID」を使用していますが、撮影後は自動で解析まで進んでくれるので手間がかからないことに加えて、解析時間も短いので診療がスムーズに進められます。また、ヒートマップ表示は患者さんにも分かりやすく、納得してCTなどの精査を受けていただけるように感じています。
今後、富士フイルムに期待していることは。
これからも内視鏡、X線撮影装置、エコー、AI技術を活用した診断支援システムなど、それぞれの領域での技術開発に注力して、トップクラスを維持していただければと期待しています。
- 製造販売業者
富士フイルム株式会社
ELUXEO 7000システム
- 販売名
光源装置 BL-7000
- 認証番号
227AABZX00041000
- 販売名
プロセッサー VP-7000
- 届出番号
14B1X10022A0V014
EG-840N
- 販売名
電子内視鏡 EG-840N
- 認証番号
304AABZX00011000
EC-760ZP
- 販売名
電子内視鏡 EC-760ZP-V/M
- 認証番号
227AABZX00039000
CAD EYE
- 販売名
内視鏡検査支援プログラム EW10-EG01
- 承認番号
30400BZX0021700
- 販売名
内視鏡検査支援プログラム EW10-EC02
- 承認番号
30200BZX0028800
C@RNACORE
- 販売名
富士画像診断ワークステーション CC-WS674型
- 認証番号
22200BZX00909000
FCR PRIMA
- 販売名
富士コンピューテッドラジオグラフィ CR-IR391型
- 認証番号
221ABBZX00076000
CXR-AID
- 販売名
胸部X線画像病変検出(CAD)プログラム LU-AI689型
- 承認番号
30300BZX00188000
EX-Mobileは、下記オプションです。
- 販売名
富士画像診断ワークステーション CC-WS674型の付属品EX-M1
- 認証番号
22200BZX00909000