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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行により、医療機関の患者数、特に外来患者数は一時的に大幅に減少しました。医療機関の受診によってCOVID-19に感染することを恐れた患者が、受診を控える傾向が強まったためです。
その影響は、病院に比べて重症度が低い患者を診るケースが多いクリニックで、より顕著に現れました。クリニックの中には、COVID-19の流行が始まった2020年に、2〜3割の外来患者の減少に見舞われたところも珍しくありません。
その後、予防接種の広がりや重症化例の減少によって、徐々にクリニックの患者は戻りつつあります。しかし、その度合いには施設によって差があるのが実情です。患者の不安に配慮して感染対策を充実させたクリニックの患者数がコロナ禍前の水準を回復する一方で、そうした取り組みに消極的なクリニックには、なかなか患者が戻ってこないからです。
では、患者の不安を払拭するために、どのような感染対策をとればいいのでしょうか。
これからクリニック開業を検討する場合におさえておきたいポイントと、既に開業しているクリニックでも今日から実施できる対策の2つを紹介します。
開業前◎感染を防止するレイアウトと換気に配慮
感染対策の基本は、COVID-19の感染が疑われる発熱患者と、その他の患者で、待合スペースや動線を別々にすることです。以前から小児科のクリニックには、インフルエンザなどの感染症が疑われる患児のために、専用の待合室を設ける例が見られました。COVID-19の流行が一般化して「ウィズコロナ」の生活様式が求められる今後は、患者の年齢を問わず、こうした配慮が不可欠になります。
発熱患者向けの独立した待合スペースの設置は、クリニックを開業してからでは追加工事が必要になるため、すぐに実施することはできません。発熱患者の受診が想定される内科系のクリニックでは、開業前から検討しておくことをおすすめします。
また、COVID-19の感染対策には、換気が有効であることが知られています。マスクをしていても、飛沫より細かい粒子が空中を漂うことによって感染する「エアロゾル感染」は、換気が不十分な状況で起こりやすいとされています。開業にあたっては、十分な換気能力を持つ空調設備の導入や、空気の流れを意識したレイアウトを検討しましょう。
開業後◎ウェブ問診やオンライン診療の検討も
既に開業しているクリニックでは、スペース上の制約から、発熱患者のために専用の待合室を設けることが困難な場合も多いと思われます。そういう場合には、通常の診療時間とは別に「発熱外来」の時間帯を設けて、発熱患者と一般の患者が交わらないようにするといいでしょう。発熱外来の開設を機に、予約システムの導入も検討したいところです。
また、発熱外来の患者には、インターネットを利用したウェブ問診や、オンライン診療を導入することも有効です。クリニック向けのシステムを提供している会社もあります。すでに取り組まれている施設がほとんどだと思いますが、ドアノブやスリッパなど共用部分のこまめな消毒や、受付窓口のアクリル板設置、クリニック入口の検温器やアルコール消毒器の設置は必須です。
一方、広い駐車場を有するクリニックの中には、発熱患者の問診や検査は自家用車に乗ったままで行い、一般患者との接触を避けるようにしているところもあります。都市部では難しいかもしれませんが、自家用車での移動が基本の地方では有効な手法といえるでしょう。
感染対策のPRで患者に安心を与える
こうした一連の感染防止の取り組みを、クリニックのホームページなどを通じてPRすることで、患者の不安解消につながります。発熱患者向けの専用待合室があることを写真や動画で紹介すれば、受診を控えていた患者も安心してクリニックを訪れるようになるはずですし、これらのPRをしていない施設と比べてアドバンテージにもなります。ぜひ検討してみてください。
クリニックが行うべき新型コロナウイルスの感染対策
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【企画・編集 日経メディカル開発】