「新しい半導体検査装置を開発しているので、安心して使えるレンズを提案してほしい」。システムインテグレーターS社は、半導体検査装置メーカーから相談を受け、最適なレンズを検討していました。しかし、ミクロン単位の誤差も許されない、高精度な半導体検査に適したレンズの品質と性能をどう見極めたらいいか、S社では頭を悩ませていました。
- 品質・性能が均一であることを保証したレンズを納品したい。
- 万が一のトラブルのクレームに対応する時間と労力を軽減したい。
- 富士フイルムの自社工場で全数検査を行い、性能保証しているレンズを納品することでお客様からの信頼を得た。
- シリアルナンバー管理で工場出荷前の性能の確認が可能に。
半導体検査装置は、非常に高額で、さらに導入後、休むことなく使用されます。そこに組み込まれるマシンビジョンレンズは、品質・性能・耐久性で信頼がおけるものでなければなりません。しかし、同一メーカーの同一製品でも、人の手によって組み立てられるため、実際は1本ごとに解像性能にバラつきが出るレンズも多く、S社では納品する全てのレンズが均一な性能であることを求めていました。
レンズ玉の偏りがゼロの状態
4D High Resolution対応レンズ
レンズ玉に偏りが出ている状態
一般的なマシンビジョン用レンズ
マシンビジョンシステムで不具合があると、そのレンズを選定したS社に問い合わせが来る場合があります。レンズが原因ではないとしても、解明できるまで時間と労力を費やすことになり、他の仕事に影響が出てしまいます。S社では、品質保証の確かなレンズを選ぶことで、不具合の問い合わせをスピーディーに解決したいと考えていました。
課題解決のポイントは、
「確かな評価基準」と「自社製造・検査による品質保証」
S社では、複数のレンズをカタログスペックで比較しましたが、数字上はあまり差がありません。同一スペックでも実際には性能がばらついていたという経験があり、選択を悩んでいました。そこへ、ビジネスパートナーである画像処理ソフトウエアメーカーから、「FUJINONの『4D High Resolution』対応マシンビジョンレンズは全数検査をしている」という情報が入り、富士フイルムに相談することにしました。
マシンビジョンシステムは多くの企業で採用され、さまざまな検査に使われています。そのため、各レンズメーカーでは、ニーズに応えられるよう、焦点距離の異なるレンズを幅広くラインアップしています。必然的に種類が多くなるため、需要変動や特定モデルによっては製造をアウトソーシングし、同じシリーズのレンズを別の工場で造るというケースがあります。その場合、製造品質の安定性という点では懸念をぬぐえません。富士フイルムでは、品質保証の観点から、すべての「4D High Resolution」対応レンズを自社工場で製造する体制を構築し、1本ごとの品質・性能差を抑制するため、厳しい基準を設け、すべてのレンズを独自の検査測定器でチェック。これをクリアしたものしか出荷していません。さらに、1本ずつシリアルナンバーを付け、基準をクリアした全ての製品の性能の記録を取っており、個別の品質管理を徹底しています。このように確かな品質・性能のレンズのみを供給しているため、半導体製造装置のように、高価で連続的に使用され、高い精度が求められるビジョンシステムにも自信を持ってご提案いただけます。S社では、「FUJINONの『4D High Resolution』対応マシンビジョンレンズならお客様も安心できる」と胸をなでおろしていました。
時間と労力が掛かる不具合対応。システムインテグレーターにとって、自社で提供した製品でのトラブルは、起こらないに越したことはありません。しかし、まれに稼働後に問題が発生するケースもあります。FUJINON「4D High Resolution」対応マシンビジョンレンズは、先述したように全数検査を行い、1本ずつシリアルナンバーを付け、出荷前の性能を記録するという、他に類を見ない品質保証をしています。万一ビジョンシステムでトラブルが発生してもシリアルナンバーにより出荷時のデータが確認でき、レンズに問題がないことが速やかに解明できます。S社では、「以前、トラブルの切り分けで苦労したことがあったが、これならレンズを除外してすぐに原因を探せるので、無駄な時間と労力を掛けずに済む」と喜んでくださいました。