日用品大手のB社では、生活に欠かせないさまざまな製品を製造・販売しています。その種類はとても多く、容器の形もいろいろ。新製品も次々と登場します。そのため、容器のキズや印字ズレの検査システムを毎回検証して最適化する時間と手間が掛かっていました。また、検証している新型の検査システムでは、誤認識が減らず困っていました。
- 単一ワークを複数個同時に検査する際、検出の個体差が出てしまう。
- ビジョンシステム導入のための機器選定・評価・調整に多大な工数が掛かっている。
- 画面の中心と隅で均一な解像性能となり、個体の認識誤差を抑制。
- あらゆる撮影条件下で高解像を保持し、ビジョンシステムの選定・設置・調整時間が短縮。
B社では、シャンプーや洗剤などが入ったパック容器の検査を行っています。A4サイズほどの大型パックを検査ステーションに2個並べ、1台のカメラで撮影していました。しかし、いつも片方だけ画像がボケてしまっていました。照明やビジョンシステムの設置方法を工夫するなど、試行錯誤を繰り返しましたが、どうしてもうまくいきませんでした。
B社では数多くの製品を取り扱っており、それぞれに画像検査の項目・方法が異なります。製品の大きさや形状がまちまちであることから、検査項目ごとに最適と思われるカメラやレンズを選び、製品の置き方や照明の当て方を都度調整のうえ最適化していました。しかし、このアプローチでは、新製品が発売されるたびに検査条件に適した機器を選び直さなければなりません。B社のご担当者は、「本来の仕事は検査の精度アップ・生産の効率化なのに、ビジョンシステムの選定・調整の作業に時間が取られてしまっている」と、お困りのご様子でした。
課題解決のポイントは、
「片ボケしないレンズ」と「あらゆる条件下でも高い性能を出せること」
B社では、照明の当て方やビジョンシステムの取り付け方を工夫すれば、片側の画像ボケが解消できるのではと、考えていました。しかし、いろいろ試してもよい結果が得られません。解決策を模索してビジネスパートナーであるディーラーに相談したところ、「問題はレンズにあるのでは?」と助言され、富士フイルムの『4D High Resolution』対応レンズに替えて再検証することを提案されました。
B社の悩みを聞いたディーラー担当者は、「レンズが片ボケしているはず」と推測しました。片ボケとは、組み合わせたレンズ玉が偏りレンズ同士の中心部分(芯)がずれていることによって、本来の性能が発揮されず画像の片側が顕著に性能劣化する現象です。富士フイルムのマシンビジョンカメラ用レンズ『4D High Resolution』対応モデルは、独自の検査装置によってレンズ玉の芯の偏りを検出し、ミクロンレベルの精度で正確な組み立てを行っています。さらにすべてのレンズにシリアルナンバーをつけて個体の品質管理も徹底しています。画面内の解像性はほぼ均一で、1台のカメラで2つの製品を撮影しても、片方がボケることはなくなりました。
レンズ玉の偏りがゼロの状態
レンズ玉に偏りが出ている状態
一般にレンズには、性能を最大限に発揮できる撮影距離や絞り値があり、それ以外の撮影条件になると解像性能が低下してしまいます。『4D High Resolution』対応レンズは、レンズ総合メーカーの富士フイルムが豊富な製造ノウハウを生かし、撮影距離や絞りの変更で生じる解像性能の低下を極限まで抑えることに成功したレンズです。汎用性が高く、撮影条件を選ばないため、さまざまな形の容器があるB社でも、『4D High Resolution』対応レンズでほとんどの製品の画像検査が可能になりました。ご担当者は、「レンズ選びの時間が軽減され、他の仕事にも好影響を与えている。また、設置時の調整時間が従来の半分で済んだと、現場担当者も喜んでいた」と、おっしゃってくださいました。