フジノン放送用レンズに使われる大口径レンズは、卓越した光学技術の象徴ともいえるものです。 さらなる高画素・高画質化へ、富士フイルムが誇る最高峰の光学技術で応えていきます。
HT-EBCとは、何十枚ものレンズで構成されている放送用レンズの一枚一枚の性能を強化するために開発された多層膜コート技術です。HT-EBCは、高い透過率(99.8%)・低い反射率(0.2%)を広い波長域で実現しており、可視光線の端である帯域の光線においても均質な性能を発揮しています。 映像表現を左右する赤や青色の光線を高い透過率でセンサー面に届けることができます。加工性・耐久性に優れたHT-EBCは、全ての面にコートを施すことが可能なため、レンズ全体を通じて、高い透過率を実現できます。
非球面レンズは、歪曲収差や球面収差などの諸収差を効果的に除去・補正して高画質の実現に役立っています。光学性能を向上させながら小型・軽量化を実現するため、大口径非球面レンズ技術を確立。フジノン放送用レンズに効果的に利用されています。
通常の光学ガラスと異なる分散を持つED(Extra-Low Dispersion)ガラスで、各種の収差を良好に補正し、画像の隅々まで色にじみがなく、シャープでコントラストの高い描写性能を実現しています。
蛍石はガラスのような非晶質とは異なる結晶で、光学ガラスとは分散傾向がことなる光学要素を持っています。大口径レンズにも対応可能な加工技術によりフジノン放送用レンズに取り込むことに成功。ズームレンズにおける色収差を効果的に低減することが可能となりました。
富士フイルムは、人間工学に基づき、操作性・感触・使いやすさを追求し、更にカメラマンとの意見交換を行うことで、現場ニーズを反映したデザインを採用。撮影環境においてカメラマンの負担を軽減し、手なじみやすいメカ設計を実現しました。また、環境に悪影響を与える重金属などの物質を含まない「エコガラス」を積極的に採用し、環境に配慮した製品づくりを目指しています。
富士フイルムは、8K放送用レンズの開発にも取り組んでおります。 8Kとは、HDの16倍にあたる7680×4320ピクセル、3,300万画素からなる走査線4,320本の超高精細映像です。8K放送用レンズには、これまで培ってきた光学設計技術・製造技術に加え、最新の光学シミュレーション技術・ 光学材料を用いることで、ズーム全域で画面の隅から隅まで歪みや収差のない自然で高精細な映像を実現しました。富士フイルムは、8Kレンズとしては初の中継制作用11倍ズームレンズの開発に成功しました。さらに、実際の撮影環境に適したレンズ運用とするために小型・高倍率化した標準7.5倍ズームレンズも開発しました。レンズを電動で制御するための駆動部も搭載し、従来のHD放送用レンズと同等の機動性、操作性を確保しております。
1996 「CCD化に対応したテレビレンズの開発」に対して受賞。
2005 1979年以来、長年発展させてきた「ハイビジョン化に対応した高性能レンズの開発」に対して受賞。
2009 放送用レンズで世界初のオートフォーカスシステム「プレシジョン•フォーカス」の技術に対して受賞。
2017 「シネマ用ズームレンズの開発」に対して受賞。