新薬開発に加え、新規モダリティのCDMO事業および創薬支援事業に注力
富士フイルムグループのヘルスケアセグメントは、トータルヘルスケアカンパニーとして「予防」「診断」「治療」の3領域で幅広い事業を展開しています。富士フイルム富山化学は、このヘルスケアセグメントにおける中核企業の一社として、医薬品の事業を通じて、社会課題の解決に取り組んでいます。
40年以上にわたる抗感染症領域に対する知見を活かし、近年は、国内でペニシリン系抗生物質の合成および無菌製剤の製造を行う唯一のメーカーとして、製造受託にも注力しています。
また、新型コロナウイルス感染症のmRNAワクチンにも用いられている脂質ナノ粒子(Lipid Nanoparticle、LNP)やリポソームなどのドラッグ・デリバリー・システム(DDS)技術を用いた製剤のプロセス開発・製造受託事業(CDMO事業)を推進。2020年には、商業生産に対応した新製剤工場の稼働を開始しています。今後、LNPなどを用いる新規モダリティにも対応したCDMO事業に注力し、お客さまのご要望にお応えしていきます。
創薬支援事業(CRO)については、2023年度より、旧富山化学から継承してきた創薬研究(薬理・動態安全性・合成)アセットを活用したサービスを展開しています。CDMO事業部門と連携し、シームレスにお客さまの医薬品開発をサポートします。
主な事業領域
感染症治療薬
サイレントパンデミックと言われる薬剤耐性菌や、致死率の高い強毒性ウイルスにより引き起こされる疾患の治療薬などの開発を進めます。
また、ペニシリン系抗生物質の合成および無菌製剤の製造を行う唯一の国内メーカーとして、製造受託も行っています。
サービス紹介

低分子医薬品の製造受託サービス
CDMO事業
富士フイルムが写真フィルムを始めとする幅広い製品開発で培い進化させてきた、高度なナノ分散技術や解析技術、合成技術と、当社の生産ノウハウや製造設備などを活かして、DDS(ドラッグ・デリバリー・システム)技術であるLNP(脂質ナノ粒子)やリポソームを用いた製剤の設計からプロセス開発、GMP生産まで一貫したCDMO事業を2020年から展開してきました。
2023年度より新たにmRNAのCDMOサービスを開始し、さらにお客さまの幅広いニーズに対応するため、今後抗体*1やADC*2(Antibody-drug conjugate)のCDMOサービスも開始する準備を進めております。
富士フイルム富山化学は、製剤開発、処方最適化、製造において、探索研究段階から商用生産段階までワンストップでお客さまをサポートします。
- *1 抗体医薬品の開発・製造受託に関しては、グループ会社であるFUJIFILM Diosynth Biotechnologiesで行っております。
- *2 ADCのプロセス/分析法開発および試作サービスは2025年度上期、製造受託サービスは2027年度下期開始予定です。
富士フイルムのワンストップサービス

サービス紹介
リポソーム

低・中分子化合物を脂質二重膜に封入した製剤です
LNP

mRNAなどの核酸を脂質ナノ粒子に封入した製剤です
mRNA

がん、感染症、遺伝性疾患などの治療薬として活発な開発が進められています
創薬支援CRO事業
富士フイルム富山化学は開発候補化合物の創出から上市に至るまで、さまざまな薬剤、特に抗感染症薬の医薬品開発で実績を積み重ねてきました。この経験を通じ、各研究チームの医薬品開発の専門家は互いに連動することで創薬を加速する創薬研究カスケードの構築に至り、常にブラッシュアップを続けています。また、従来の低分子医薬品に加え、天然物、ペプチド、抗体薬物複合体、ワクチンなど、多様なモダリティに関する幅広い専門知識を有しています。
2023年度より、これら創薬研究アセットを活用した創薬支援事業(CRO)を開始しており、CDMO事業部門と連携し、シームレスにお客さまの医薬品開発をサポートします。
研究チームが連動する創薬研究カスケード

サービス紹介
創薬化学

富士フイルム富山化学は、幅広い疾患領域において探索研究から新薬上市に至るまで、経口剤や注射剤などさまざまな剤形の医薬品を創製した実績があります。創薬化学チームは豊富な経験を活かし、低分子化合物、ADC、ペプチドなどの各種創薬モダリティの合成のみならず、分子設計および化合物の最適化など、開発候補化合物の創製を支援いたします。
薬理/感染症

富士フイルム富山化学は抗感染症薬の創薬研究を通じて、さまざまな病原微生物を用いた研究プラットフォームを確立しました。長年の感染症研究の経験を有する専門性の高い研究チームが提供する評価サービスを、薬剤耐性菌を含む新興再興感染症に対する創薬、ワクチン開発、消毒薬開発など、公衆衛生課題の解決を目指す皆さまの研究にお役立てください。
安全性

創薬研究経験の豊富な安全性チームが化合物の特性や疾患領域、モダリティ、開発ステージに応じたミニマムかつ堅牢な評価デザインを提案・実施いたします。特に心毒性については、ヒトiPS細胞由来心筋細胞を用いた、従来のhERG試験にはない高精度な評価サービスを提供しています。コンソーシアムなどで本評価法の普及に貢献してきた経験と技術をぜひご活用ください。
薬物動態

化合物の体内動態試験とその適切な評価はリード最適化研究を通じた開発候補化合物の創製に極めて重要です。長年の創薬研究でノウハウを培った薬物動態チームが、従来より行われてきた手法に加え、iPS由来細胞などを用いた新規の手法も活用して皆さまの創薬研究を加速します。創薬のみならず、食品成分の研究などにもぜひご活用ください。