富士フイルムグループの健康経営®への取り組み
富士フイルムグループは、企業理念に「健康増進に貢献し、人々の生活の質のさらなる向上に寄与する」ことを掲げています。この理念を実現するための、2030年をターゲットとした中長期CSR計画(Sustainable Value Plan2030・グループが持続的に発展していくための経営の根幹をなす計画)では、重点課題の一つが「健康」であり、ヘルスケア事業を通じて「健康的な社会をつくる」ことに取り組んでいます。
そして、企業理念、目指す姿(ビジョン)を実践するための基盤となる、従業員の健康維持増進を重要な経営課題として捉え、2019年には「富士フイルムグループ健康経営宣言」を制定しました。グループ全体の従業員の健康増進に対する取り組みを加速させており、社会、会社、事業が共に成長していくことを目指して、健康長寿社会の実現に貢献していきます。
従業員の健康に関して、2022年度までの数値目標を設け、取り組みと評価のPDCAを回すことにより、健康レベルの向上に取り組み、成果を社会に発信していきます。さらに日本国内のみならず、グローバルに健康経営を推進し、グッドプラクティスを横展開することで、グループ全体の健康意識の底上げを図っていきます。
重点項目
生活習慣病・がん・メンタル不全・新型コロナウイルス感染などの予防や重症化を防ぐためには、健康的な生活習慣を身につけることが重要であることから、2020年に「富士フイルムグループ 7つの健康行動」を新設して、グループ従業員に実践を呼びかけています。そして「7つの健康行動」各項目の実践度を定期的に確認し、グループ全体の健康水準の向上を図っていきます。
富士フイルムグループ 7つの健康行動
週1回以上、体重をはかる
自分の健診結果を確認する
週1日以上、お酒を飲まない日をつくる
1日6時間以上の睡眠をとる
平均30分/日以上歩く
直近の歩活(あるかつ)にエントリーする
たばこは吸わない
「7つの健康目標行動」の実施状況(2023年11月実施)
主な取り組み
富士フイルムビジネスエキスパートは、「生活習慣病対策」「ガンの早期発見」「禁煙」「長時間労働対策」「メンタルヘルス対策」の5つを重点項目とし取り組んでいます。これらの重点項目は、経営執行会議および経営層も参加する全社安全衛生委員会を通じて決定し、毎月の各事業所で実施する安全衛生委員会、また社内イントラを通じてや安全衛生教育時に全従業員に周知し、一人ひとりがこれらの重点項目を『自分ごと』として捉えられるように、推進活動を行っています。
PDF: 68KB
生活活習慣病対策
ウォーキングイベント 「みんなで歩活」(あるかつ)
国内グループ全体で、チームを組んで平均歩数を競うゲーム感覚のウォーキングイベント「みんなで歩活」を2016年から年2回実施しています。普段あまり歩かない層の行動変容もみられ、参加者数も回を追って増加してきました。
会社として、社長が率先して取り組み、従業員に歩くことを楽しめるよう各自目標をたてて取り組んでいます。今年はコロナで密を避けて活動しようと呼び掛け多くの参加者に参加していただきました(当社参加率90%以上)。
参加していただいた方から大変好評で社内イントラにて、チームの歩数を競うなど盛り上げています。
ウォーキングイベント参加状況
また、密を避けた個人トレーニングとして5分エクササイズの推奨など安全衛生委員会を通じて開始しています。
特定保健指導
従業員の平均年齢の上昇やコロナによる在宅勤務などに伴い、BMI値25以上の割合が増加傾向にあるのが喫緊の課題です。
この課題解決に向け、特定保健指導に該当する対象者に産業医/保健師、外部委託業者が面談指導を行い生活習慣病の悪化を未然に食い止める活動を行っています。
今年度から特定保健指導を開始。健康診断2か月後から、専属外部保健師による食事と運動の指導を開始。また、対象者の方に社長レターおよびダイエットに成功した従業員の生の声を載せ“いきいきと美味しい食事ができるように”というTOPメッセージと共に推進しています。
重症化予防 高リスク者への受診勧奨
2019年度から統括産業医の定めた基準値以上の健康高リスクのグループ内従業員に対して、富士フイルムグループ健保との連携で、自宅に直接受診勧奨のレターを送付しています。さらにその後、確実に受診していただくよう会社および産業保健スタッフがフォローをしています(業務時間配慮、社長からのメッセージ)。
禁煙
2015年から全事業所で就業時間内禁煙を推進し、2020年には就業時間内禁煙を規則化、喫煙所を廃止、また2019年から毎月22日は、スワンズDAYとして終日禁煙をルール化しています。
健康経営責任者(代表取締役社長)から喫煙意思のある方に禁煙プログラムを推奨し禁煙を呼び掛ける等会社として禁煙対策に取り組んできました。
会社として役職者が率先垂範して、禁煙に取り組む活動を開始しています。健保と連携し、禁煙希望者には禁煙パッチ無料配布を実施しています。社長から直接、喫煙役職者にletterを送るなど積極的に推進しています。
健康経営を推進している会社として禁煙を会社として進めること、その補助として禁煙外来費用補助、禁煙補助薬費用補助、オンライン禁煙プログラムに関し健保の補助を利用し、禁煙イベント時や産業医/保健師面談時にこれらの概要を説明し喫煙率の低下に向けた活動を行っています。
禁煙プログラムでは、応援制度を設け、禁煙した人も、禁煙を応援した人もインセンティブを設けるなど会社としても推奨しています。
喫煙率(比率)
さらに、喫煙者の禁煙支援とともに、会社生活での受動喫煙防止を徹底するため、2020年10月には、就業時間内禁煙をグループ全社で就業規則化し、グループの会社敷地内喫煙所を全て閉鎖しました。会社を訪問するお客さまや構内協力会社にもご理解いただき、ご協力を得ています。
ガンの早期発見
日本で罹患率の高い「大腸がん」について、従業員の理解促進と大腸内視鏡検査の重要性を周知しています*1。
便潜血検査陽性者には全員、産業保健スタッフから大腸内視鏡検査の受診を勧めてフォローしています。また50歳になる従業員には富士フイルムグループ健保および当社の健康スタッフから個別メールを配信して、大腸内視鏡検査を勧めています。
がん検診受診率推移
がん検診受診率をあげていくため、よりニーズに合った検診機関の選択や定期健診への組み込み、啓発活動を進めてきました。
2018 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 | |
---|---|---|---|---|---|---|
実績 | 実績 | 実績 | 実績 | 実績 | 実績 | |
胸部X線 | 98.0 | 99.4 | 100.0 | 100.0 | 100.0 | 100.0 |
胃(内視鏡+X線検査) | 66.5 | 74.9 | 68.0 | 73.9 | 75.6 | 81.0 |
大腸 | 93.6 | 95.8 | 100.0 | 100.0 | 100.0 | 92.0 |
婦人科(乳房) | - | - | 92.2 | 93.0 | 93.1 | 79.0 |
婦人科(子宮) | - | - | 100.0 | 100.0 | 100.0 | 88.0 |
定期健康診断受診率
健康診断の受診率100%を達成するため、なかなか受診に至らない対象者には、マネジメントと連携し確実な健康診断の受診に向け業務調整を依頼しています。
その効果もあり、健康診断の受診率は100%を継続しています。
メンタルヘルス対策
2021年6月には、全役員・管理職を対象としたラインケア研修をeラーニング形式で実施しました。
冒頭、健康経営責任者である富士フイルムホールディングス人事部長が「メンタルヘルスは健康経営の重点課題」として、「部下への健康の配慮や指導の必要性、特にコロナ禍でのきめ細やかなマネジメントの重要性」などについて述べています。
そして、富士フイルムグループメンタルヘルス統括医(産業医)が、経験や知見もふまえて「職場におけるメンタルヘルス対策の意義」、「メンタルヘルス対策において管理職に求められること」を直接語り、管理職からは「上司として部下への対応の重要性が身に染みた」「部下が相談できる上司でありたい」と有意義な研修であったコメントが多く寄せられました。
新任役職者全員に対して、共通のメンタルヘルスマネジメントガイドを用いた教育を実施し、予防的な取り組みを推進しています。
また、職場風土改善として産業医と協力の上、ストレスチェックを利用した集団分析のフィードバック、業務目標面談/達成面談・自己成長計画面談などを通じ、業務に加え仕事のやりがい等内面的なことを上長・部下で対話することでエンゲージメントの向上を図っています。
長時間労働リスク対策、ワークライフバランス
長時間労働による健康障害の防止に向け、グループ全体でヘルスチェックの仕組みを活用しています。所定外労働時間が単月80時間以上、四半期平均45時間以上の場合は、ヘルスチェックアンケートの実施、上長面談、産業医面談を実施し、健康の確保や業務上の配慮を行ないます。
当社としては、更に所定外労働時間単月72時間に引き下げたきめ細かいフォローを実施しています。
労働時間管理については、2019年4月の法改正を見据え富士フイルムホールディングスグループ方針を策定し、その方針に基づきグループ全体で社内ルールの見直し、徹底を行いました。また全従業員に対し、法令遵守や労務管理の基礎知識を底上げするためのeラーニングを実施しました。特に新任役職者の研修の際、労働時間管理の重要性を改めて説明し、理解していただいています。
その他、客観時間を自動取得する仕組みを全従業員に取り入れ、勤怠の適正管理も強化しています。労働時間上限到達前や勤怠未登録者を対象に自動でアラームメールを配信するなど、ITを活用して、適切な健康管理や勤怠管理を行なう仕組みも強化しています。
その結果、単月の所定外労働80時間以上の人数は0を継続しています。
また、ワークライフバランスとして有休取得促進に向け、実態把握のため有休アンケートを実施、有休取得奨励日を設け、出勤する場合には上長承認の上人事に提出を求めるなどを実施し、休暇取得率も前年比で平均17%向上しています。