このコンテンツは獣医療従事者向けの内容です。
動物医療の世界においても、病気になってから治療するというだけではなく、定期的な健康診断で病気やその兆候を早期に発見し、早期治療するということが浸透しつつあります。日常的に、健康診断や動物向けの「ドック」のようなものをメニューとして用意して、飼主様に提供されている動物病院も増えました。
しかしながら、今でも多くの飼主様にとって動物病院は、「病気(怪我)になったときに行くところ」であることに変わりはありません。だからこそ動物病院側から積極的に健康診断等に関する情報を発信し、予防の意義と重要性を飼主様に啓発していくことが大切です。
今回はその啓発の手法(媒体)について、代表的なものをご紹介します
既存の飼主様のご住所にハガキや手紙などをお送りするものです。顧客管理ソフトを用いて、例えば「2年以内に一度でも来院した犬の飼主様」といった感じで、対象者を絞って直接情報発信をできるのがメリットです。ワクチン、狂犬病予防、フィラリア予防などについては、既にダイレクトメールを活用されている動物病院も多いと思いますが、健康診断についても有効な啓発手法となります。昨今ではLINEやアプリ等を用いたオンラインのお知らせ手法も増えつつありますので、紙媒体とうまく併用することでより効果的に情報を発信することができます。
院内の掲示、配布物などで情報発信することも地道ながら非常に有効な手法です。既に病院に来院されている飼主様は、その時点で動物病院に対するニーズがあり、健康への関心もあるということが言えますので、積極的に啓発を行いたいところです。特に初診の方や動物を飼い始めた方には、健康診断について簡単にまとめた資料をお渡しすることで、健康診断の意義や病院としてのスタンスを効果的に伝えることができます。
動物病院にとっても、ホームページでの情報発信は必須のものとなりました。ホームページは、365日24時間情報を発信することができ、かつ情報の追加や修正も比較的容易であることがメリットです。また健康診断に関する情報をホームページに掲載しておくことで、飼主様が「動物病院 健康診断」といったキーワードで検索した際の検索順位の向上(SEO)にもつながります。自院の取り組みを積極的に発信することで、ニーズに合った飼主様の来院にもつながります。
動物病院業界には「獣医療広告ガイドライン」というものがあり、広告してはいけない事項等が定められていますが、実は健康診断は「広告しても差し支えない事項」として定められています。したがって、例えばネット広告、ポスティング、折込チラシ、マスコミへのプレスリリースなどの広告手法を用いて、健康診断について宣伝することも可能なのです。予算を踏まえ、広告やプレスリリースの利用を検討するのもよいでしょう。
【2024年3月/文責:動物病院経営パートナーEn-Jin 代表取締役 古屋敷 純】