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このコンテンツは医療従事者向けの内容です。

超音波診断コラム~装置原理から臨床・活用法~ 超音波診断装置の「画像の左右の向き」について

超音波診断装置の発展と共に歩んできた超音波工学フェローの山崎が、超音波に関連する、技術、臨床から雑学、うんちくに至るまで、様々な話題を提供します。
今回は超音波画像の左右の向きです。

人体を縦切りにした画像を表示するときのルール

次に、人体を縦切りにした画像を表示するときのルールです。縦断面を表示する場合、一般的には頭側を画面の「左」に、尾側を「右」に表示します。しかし、この法則に則っていない表示法もあって事を複雑にしています。それは血管の縦断面(長軸像)を表示する場合です。

血管も他の臓器と同様に、縦断面を表示する場合には「頭の方向が左」とする考え方と、全身の血管は心臓を中心にした循環システムととらえ、画面の表示は「心臓の方向が左」とする考え方で意見が二分されています。心臓より下に位置する血管、すなわち腹部や四肢の血管は、どちらのルールに従っても表示する方向は変わりませんが、問題は心臓よりも上に位置する血管、特に頸動脈を表示するときです。

施設によってどちらの方式を支持・採用しているかによって、同じ頸動脈でも血液が右から左に流れる(左が頭側)ように表示したり、逆に左から右に流れる(右が頭側)ように表示したりします。日本超音波医学会が発行する“超音波による頸動脈病変の標準的評価法 2017”では、「表示方法は、仰臥位の被検者を足側または右側から俯瞰する像を基本とするが、長軸断面は規定しない。」としています。

プローブの片方の側面にある丸い小さな突起(ぽっち)がそれです。さらに、握りの部分に線状の突起を付けて、プローブを手で握ったときの触感でもわかるようにしているプローブもあります。

一方、モニタに表示される超音波画像のてっぺんには、左右どちらかに丸いマーク(もしくは、各社が自社ブランドをアピールする目的でデザインしたマーク)が表示されています。このマークとプローブの片側面に付いているオリエンテーションマークとが一対一に対応します。

このマークによって、検査者は、プローブをどういう向きに握って操作すればどういう方向に画像が表示されるかを認識することができるのです。

最後に、心臓の検査をする場合には、人体に対しての横断面、縦断面という考え方は当てはまりませんので、心臓の基本断面の出し方および画像の向きが独自に決められていて、オリエンテーションマークは右に置くことが世界標準です。