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「メディカルサービス法人を活用したクリニックの資金調達」でも詳しく書いたように、多くの医療機関は関連法人としてメディカルサービス法人(以下MS)を設立し、不動産賃貸や売店の営業などの営利事業を行っています。
MS法人の中には、医療機器やコンピューターなどを購入し、クリニックに対してリースしているところも少なくありません。MS法人がリースで導入した機器を、医療機関に再リースするケースもあります。
MS法人がリース業務を行う場合のメリットや注意点について解説します。
MS法人がリース業務を行うことのメリットの一つは、クリニックへのリースによって得た利益をMS法人が吸収できる点です。
仮に3000万円の医療機器をMS法人が現金購入し、5年間のリース期間、リース料率2%でクリニックへリースした場合、総額で3600万円がクリニックからMS法人に支払われることになります(リース料率については、「医療機器リースの落とし穴」参照)。
リース業を営む場合、固定資産税や動産保険料などもかかりますが、MS法人を活用することで利益が生まれるのです。
また、MS法人が他社からリースしている医療機器をクリニックにリースする場合は、元のリース料の1〜2割を「代金の代理支払い」等を理由に割増請求することになりますが、この場合も割増分の利益をMS法人が吸収できることになります。
またMS法人を活用してリース業務を行えば、クリニックが動産(医療機器、車両等)の保持や維持、管理といった煩雑な作業を行わなくてもすみます。
ただ、MS法人が医療機器のリース業を行う場合、注意点もあります。
2005年に薬事法(現、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)が改正され、医療機器販売業、貸与業(リース含む)の制度が変わり、医療機器のリスクに応じたクラス分類制度が導入されました。
医療機器は、一般医療機器、管理医療機器、高度管理医療機器の3つに分類され、さらに各クラスのうち、販売後、保守管理を適正に行うことが必要な医療機器に対しては、特定保守管理医療機器という分類が行われました。
この中で管理医療機器を販売・貸与する場合は従来どおりの届け出が必要あり、高度管理医療機器、特殊保守管理医療機器を販売・貸与する場合には新たに許可を取得する必要があります。また、許可については6年の更新制となっています。具体的に取り扱う医療機器の分類など、詳細については都道府県の担当部局に確認するようにしてください。
この他、MS法人でリース業を営む場合の注意点としては、税務上の取り扱いがあります。
あまりにクリニックに対するリース料率を高く設定してしまうと、その取り引きが不適切だと税務署から指摘される可能性があります。
また、リース業務を行う際は必ずリース契約書、リース料計算書を作成し、適切な額でリースを行うことが大切です。
法人税や消費税などの取り扱いに関しても注意を払う必要があるため、MS法人の活用には税理士等、専門家への相談が不可欠と言えます。
(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律を基に作成)
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【企画・編集 日経メディカル開発】