富士フイルムヘルスケア株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:山本 章雄)と国立大学法人千葉大学(本部所在地:千葉県千葉市、学長:中山 俊憲)は、次世代CT装置「フォトンカウンティングCT(Photon Counting CT、以下PCCT)」の臨床有用性を評価する共同研究を本日より開始しました。本研究は、富士フイルムヘルスケアが開発したPCCTを用いて撮影した組織のデータを収集・検証し、組織内出血やがんの早期発見の可能性などを検討するものです。
PCCTは、X線のフォトン(光子)一つひとつを個別に計測し、電気信号に直接変換して画像を生成する次世代CT装置です。従来のCT装置は、まず格子状に区切られた蛍光体(シンチレータ)でX線を可視光に変換し、さらにその光をフォトダイオードで電気信号に変換することで画像を生成します。一方PCCTは、半導体素子でX線のフォトンを電気信号に直接変換し、各フォトンのエネルギーを検出することで画像を生成します。従来のCT装置が各フォトンのエネルギー値を積算して得るのに対して、PCCTは各フォトンのエネルギー値を個別に取得するため、そのエネルギー値の違いにより撮影した物質の性状の詳細な把握を可能とし、鑑別精度の向上などが期待できます。また、エネルギー変換効率の向上による線量低減や、画像の高精細化による検出能アップも見込めるため、精度の高い診断や治療効果の判定にも活用が可能。画像から定量化した物質の弁別情報*1を予防医療にも応用できることから、予防・診断・治療の幅広い領域でPCCTの利用が期待されています。
富士フイルムヘルスケアと千葉大学は、本日、富士フイルムヘルスケアが開発したPCCTを千葉大学の法医学教育研究センター内に設置し、PCCTの臨床有用性を評価する共同研究を開始しました。富士フイルムヘルスケアのPCCTと千葉大学が長年培ってきた画像診断・病理・歯科・薬物などに関する知見、研究設備を用いて、PCCTで撮影した画像から成分弁別や定量測定を実施。人体組成がどの程度、画像化および定量化できるかを検証し、組織内出血やがんの早期発見の可能性を検討していきます。
富士フイルムヘルスケアは、お客さまの潜在的ニーズに応える総合医療機器メーカーとして、画像診断システム(CT、MRI、X線診断装置、超音波診断装置など)や電子カルテなどの研究開発・製造・販売・保守サービスを手掛けています。1975年に国産初のCT装置を発売して以来、グローバルにCT装置を供給しています。今後も、「ヘルスケアに新たな価値を創出し、人々が笑顔で健康に暮らせる社会に貢献します」という企業理念のもと、健診から診断、治療まで幅広い領域で、新たな価値を生み出し、医療の発展と人々の健康の維持増進に貢献します。
千葉大学は、10学部17大学院を持つ総合大学として学部の枠を越えた幅広い教養と高度の専門性を修得できるアカデミア環境を整備しています。研究面では、2022年度から国際高等研究基幹を新たに発足させ、学問の多様性を尊重しつつ、新たな研究領域の開拓につながる学術研究や、社会に変革をもたらす先端的研究を戦略的に推進するとともに、次世代を担う若手や中堅の研究者支援を強化し、研究人材育成に力を注いでいます。さらに、学術研究・イノベーション推進機構(IMO)を中心に、産官学連携を強力に推進しています。
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