2024年6月27日
富士フイルム和光純薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:吉田 光一)は、動物実験の代替法としてin vitro1で発熱性物質を検出するMAT法2用試薬キット「LumiMAT™(ルミマット) Pyrogen(パイロジェン) Detection(ディテクション)Kit(キット)(以下、LumiMAT™)」および、動物由来成分を含まない遺伝子組換えエンドトキシン測定用試薬「PYROSTAR™(パイロスター) Neo+(ネオプラス)」を2024年7月1日より発売します。
医薬品や医療機器の開発・製造現場では、人体への安全性や有効性を確かめるため、動物を用いた実験が必要となる場合があります。発熱性物質試験は人間の血中に侵入すると発熱やショックなどの生体反応を引き起こし、最悪の場合死に至る発熱性物質を検出する試験で、非経口医薬品や、注射器・カテーテルなどの血液に接触する医療機器の安全性を確認するために必須とされています。発熱性物質は、エンドトキシンと非エンドトキシン発熱性物質に分けられ、エンドトキシンの検出には、カブトガニ血液を原料とするLAL試薬3が使用され、非エンドトキシン発熱性物質の混入が懸念される場合には、ウサギ発熱性物質試験4を行うのが主流となっています。こうした試験方法は日本、欧州、米国などの各国薬局方に収載されていますが、近年、実験動物の使用に関する倫理的懸念や生物多様性保全への関心の高まりを受け、動物に依存しない代替法への切替え推進の動きが活発化しています。
今回発売する「LumiMAT™」は、ウサギ発熱性物質試験の代替試験法として開発された、in vitroで発熱性物質を検出するMAT法用の試薬キットです。欧州では、ウサギ発熱性物質試験が2026年までに欧州薬局方から削除されることが決まっており、今後他地域でも同様の動きが想定されることから、MAT法への切替え検討が活発化しています。
現在販売されているMAT法用試薬の多くは、血液由来のPBMC5(末梢血単核球細胞)を用い、発熱性物質の暴露により単球系細胞が放出するサイトカインをELISA(イライザ)法6で測定し、検体中の発熱性物質を検出する手法が用いられています。この手法には、PBMCのロット間の差異やアッセイ所要時間の長さという課題が存在します。さらに、ヒトの血液が原料として必要なため、入手安定性に対する懸念があります。それに対し、当社が開発した「LumiMAT™」では、複数種類の細胞株7からスクリーニングし、発熱性物質に対する感受性に優れたヒトNOMO-1細胞8を採用。細胞株を培養し増殖させて製造するため、試薬のロット間差が小さくなり、より信頼性の高い試験結果を得ることができるとともに、原料の入手安定性が増し、安定供給も可能となります。また測定法に、転写因子NF-κB9の活性化を検出するルシフェラーゼレポーターアッセイ法10を採用することにより、迅速且つ簡便に結果が得られます。従来のMAT法用試薬では結果が得られるまでに約1.5日かかりますが、「LumiMAT™」は約5時間で測定することが可能です。
また、同時に発売する遺伝子組換えエンドトキシン測定試薬「PYROSTAR™ Neo+」は、カブトガニのエンドトキシン反応機構11を構成する3因子(C因子、B因子、凝固酵素前駆体)を、遺伝子組換えタンパク質として人工的に作製したもので、エンドトキシン含有量を高精度に測定できる発色合成基質法12に対応しています。2021年12月に発売した「PYROSTAR™ Neo」の高感度や優れた溶解後の安定性はそのままに、一部の薬剤による干渉反応を低減、天然エンドトキシンに対する反応性を改良し、より幅広い検体への適用を可能にしました。汎用のエンドトキシン測定装置に対応し、医薬品や医療機器の承認申請における安全性評価のみならず、医薬品の原材料検査や医薬品製造用水の水質管理など、幅広い品質管理の用途でご使用いただけます。
当社は、これらの製品の開発・販売を通じて、動物に依存しない発熱性物質の試験ニーズにも対応して参ります。また今後も、「次の科学のチカラとなり、人々の幸せの源を創造する」というミッションのもと、社会や顧客のニーズに応える高機能・高品質な製品を開発・提供し、医療をはじめとする幅広い分野の産業や学術研究の発展に貢献していきます。
製品名 | 希望納入価格(税別) | 発売日 | |
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LumiMAT™ Pyrogen Detection Kit |
Cells | 80,000円 | 2024年7月1日 |
Reagent Set | 80,000円 | ||
PYROSTAR™ Neo+ | 30,000円 |
<報道関係> 富士フイルムホールディングス コーポレートコミュニケーション部 広報グループ | TEL:03-6271-2000 |
<製品、サービスに関するお問い合わせ> 富士フイルム和光純薬株式会社 営業推進課 | TEL:0120-052-099 |