富士フイルム和光純薬株式会社及びその子会社は「研究者の方々のお役に立ちたい」という想いから創業し、長年に渡り、試薬化成品、臨床検査薬の提供を通じて科学の発展に寄与することを掲げています。多くの人々との信頼を大切にすること、より良いモノづくりにこだわること、学術研究や産業、医療といった科学に貢献すること、そしてそれらに誠実に取り組み続けることが、当社およびその子会社がこれからも大切にしていく価値観です。
この価値観を基に、策定した企業理念、ビジョンを実践する為の基盤となる、「従業員の健康維持増進」を重要な経営課題として捉え、健康経営宣言を公表しました。
当社およびその子会社が理念を遂行し、ビジョンを達成するためには、従業員一人ひとりが心身ともに健康でいきいきと働くことが必要不可欠となります。その力の集結が当社およびその子会社の持続的な成長を支え、発展していくことにつながります。当社およびその子会社は「健康は財産だ!」というスローガンを掲げ、従業員の健康維持増進に向けた活動を図っていきます。
富士フイルム和光純薬は健康経営®*の取り組みが評価され、「従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる企業」として、経済産業省と日本健康会議により、2020年度から5年連続で「健康経営優良法人(大規模法人部門)」に認定されています。また2024年度は特に優良とされる「ホワイト500」にも認定されました。
富士フイルム和光純薬 健康経営宣言
当社は富士フイルムグループの一員として健康経営に参画し、健康保険組合と協力して社員と家族の健康づくりを支援していきます。
社員一人ひとりが心身ともに健康でいきいきと働けるように、「ワーク・スタイル・イノベーション活動」の取り組みとも連携し、職場環境を整え、健康の維持・増進に努めていくことをここに宣言いたします。
富士フイルムグループ 労働安全衛生・健康推進方針
富士フイルムグループは、働く人々の安全確保と健康の推進が企業にとって最重要基盤であると考え、本方針に基づき企業活動を展開します。
- 事業活動において、派遣社員、請負事業者を含めた従業員の労働安全衛生を最優先し、安全で働きやすい環境を確保します。
- 労働災害や過重労働の防止など労働安全衛生に関して適用される法令やルールを順守します。
- 従業員の心身の健康維持・増進を積極的に支援し、健康経営を実践します。
- 労働安全衛生および健康推進に関する従業員と会社との円滑なコミュニケーションを図ります。
- 労働安全衛生および健康推進に関する教育を積極的かつ継続的に実施します。
2010年1月制定、2019年4月改定
活動方針
- 従業員が心身ともに明るくいきいきと働き続けることができるよう、生活習慣病、がん、喫煙、メンタルヘルス、長時間労働を重点課題とし、健康レベルの向上に取り組んでいきます。
- 従業員自身の健康に対する意識向上を図るための教育や、健康維持増進に向けた指導など、会社として積極的に関与していきます。
- 世界の各地域、国の実情に合った、適切な従業員の健康増進を後押ししていきます。
- ヘルスケアにおける「予防」「診断」「治療」に関わる製品・サービスにイノベーションを起こし、「100年を生きる時代」の世の中の人々、そして従業員の健康推進に、活かしていきます。
- 健康経営を実践した成果を社内外に発信し、社会全体の健康意識の向上に貢献していきます。
関連
健康経営を効果的に推進する体制を構築しています。健康経営責任者を代表取締役社長とし、役員の中から健康経営推進委員長を任命、委員長のもと産業保健スタッフ、総務人事部の担当、各事業所・各子会社の担当で構成する「健康経営推進委員会」を組織しています。健康経営推進委員会では、従業員の健康維持・増進に向けた施策の立案、展開を図ると共に富士フイルム株式会社、富士フイルムグループ健康保険組合、富士フイルム和光純薬労働組合とも連携を図り、それぞれの役割に応じて、効果的、効率的に従業員の健康維持・増進を推進しています。また2023年度より健康推進の舵取りを行う組織として「健康推進グループ」を設置し、より積極的に健康推進活動を展開しています。
健康経営の主な取り組み
当社およびその子会社では、従業員のパフォーマンス向上を経営上の課題と捉えています。健康経営を推進し従業員の健康維持・増進を図ることで、事業の発展につながるものと考えています。
具体的には、「生活習慣病対策」「喫煙対策」「がん対策」「メンタルヘルス対策」「長時間労働対策」を健康経営上の重点課題とし、それぞれに健康指標(KPI)を定め健康施策を展開しています。
<生活習慣病対策>
近年、日本では食生活の欧米化や運動不足から肥満の人が増えています。肥満は、糖尿病や脂質異常症・高血圧症・心血管疾患などの生活習慣病をはじめとして数多くの疾患のもととなるため、健康づくりにおいて肥満の予防・対策は重要な位置づけです。当社においても、生活習慣病の項目で正常値を逸脱する者が一定数おり、課題として認識しています。
<喫煙対策>
2018年7月に健康増進法が改正され、原則屋内禁煙が法制化、2020年4月からは飲食店も原則屋内禁煙となるなど受動喫煙対策が進んでいます。喫煙はほとんどの部位のがんの原因になると言われおり、がんの他にも脳卒中や虚血性心疾患などの循環器疾患、生活習慣病の糖尿病など、さまざまな病気の原因にもなります。
当社における喫煙者は40歳以上が多く、前述の生活習慣病項目と合わせて注力して取り組んだ結果、喫煙率は改善しています。
<がん対策>
日本人の2人に1人は一生のうちに何らかのがんにかかるといわれており、がんは身近な病気になっています。当社従業員からがん死亡者をださないためには、早期発見、早期治療が重要になります。がん検診の受診率90%以上を目指しています。
<メンタルヘルス対策>
近年日本においてメンタル疾患の社員が年々増加傾向にあるといわれています。2015年にはストレスチェック制度が義務付けられるなど、労働安全衛生の面でも精神面へのケアが重要視されてきています。
当社においても、メンタル起因の長期休職者の発生が一定数あり、対策が必要です。心身ともにいきいきと働くことができる環境構築を目指し、メンタルヘルス対策を進めています。
<長時間労働対策>
労働時間は従業員の心身の健康に密接に関連しているため、長時間労働者*1を発生させないこと、また長時間労働が発生した際には適切なフォローを行うことが必要と考えます。
WSI*2労使委員会を設置し、ワークライフバランスの見直しをはかり、働き方を変革していく対策を進めています。
また医療職による心身の状態確認や面談フォローを行い、体調変化の早期発見・早期対応を行える体制を整えています。
- *1 当社では月45時間以上の時間外労働者を長時間労働者と定めています。
- *2 WSI=Work Style Innovation
- 多様な社員一人ひとりが能力を発揮できる会社を目指し、自分の強みを持ち、効率的な働き方で成果を出す風土へ変革する活動です。
以上、5つを重点課題として取り組み、従業員一人ひとりが健康な状態で最高のパフォーマンスを発揮し、全社を挙げ生産性の向上を図ってまいります。
その他の取り組み
<従業員健康意識調査>
社員の健康リテラシーおよび健康に関するニーズ把握のため、全従業員を対象に、健康に対する関心度、生活習慣、運動、喫煙、不安・悩み等の意識調査を実施しています。
健康経営の推進にあたり、本調査結果を参考に、従業員が取り組み易く、興味をもって活動できる施策を展開しています。
下表は健康管理に関する中期目標で、単年度ごとに目標を設定し活動しています。
健康管理目標
健康経営戦略マップ
経営課題の解決につながる健康課題を抽出し、期待する効果・健康維持増進に関する具体的な取組みにより、健康経営を推進しています。
健康経営の主な活動
<生活習慣病対策>
健康診断の受診から事後措置に至るまで、従業員の健康状態の改善施策を、健康保険組合と協力して取り組んでいます。
従業員の肥満者(BMI値25以上)の改善にむけた様々な取り組みを実施しています。
ウォーキングイベント「みんなで歩活(あるかつ)」
チームを組んで平均歩数を競うゲーム感覚のウォーキングイベント「みんなで歩活」を健康保険組合とのコラボ活動として年2回実施しています。普段あまり歩かない層の行動変容や、チーム内で歩数実績などの情報交換が新たなコミュニケーション機会となり、参加者も増加しています。
内臓脂肪測定で「かくれた自分を知る。」
内臓脂肪測定会を実施し、表面に現れない「自身の内臓脂肪状態」を把握することで各人の意識改善と行動変容を促します。
毎年、子会社を含めオフィス部門と生産部門で実施しています。
健康的な食習慣へのアプローチ(スマートミール)
社内食堂がある事業所では、健康改善につながるスマートミールを導入しています。
さらに、食堂がない事業所では、スマートミール弁当を購入できる環境を整備しました。
定期健康診断後の精密検査受診率の向上に向けて
健康診断の結果より、再検査・精密検査が必要な対象者に受診勧奨し、受診完了するまで追跡してフォローしています。
<喫煙対策>
2018年8月に経営トップが禁煙宣言を行い、就業時間中の禁煙をルール化しました。2020年10月から、全事業所において喫煙スペースを撤去、敷地内禁煙を実施し、就業規則としても定めました。
「みんなで卒煙」イベントを通年で開催し、卒煙希望者をいつでもサポートできる体制を整えています。
また、「管理職喫煙率0%」を目指し、対象者へ卒煙を勧奨しています。
各種施策により、2018年の喫煙率20.1%から年々着実に低下し、2022年度の喫煙率は13.9%となりました。
「みんなで卒煙イベント」のプログラム
健康保険組合と連携し、無料のオンライン禁煙プログラム、禁煙パッチ、禁煙ガムの無料配布、禁煙外来、禁煙補助薬の費用補助し、当社独自に卒煙達成者への特典の用意や卒煙証明書の発行、
つらい時に参加者同士が励まし合えるコミュニケーションツールを提供しています。
<がん対策>
当社における従業員のがん検診受診率は、2019年度まで50%を下回る状況でしたが、「がん検診」を受診しやすいように定期健康診断に組み込み、胃がんについては早期発見のため内視鏡(経口、経鼻)検査を推奨しています。
また36歳~39歳までの従業員には、自己負担なしでがん検診を受けられるよう、健康保険組合や当社独自の補助を行うとともに、2021年度からは35歳および40歳以上の従業員は「がん検診」対象者には任意受診から原則受診へ強化し、2022年度までに従業員のがん検診受診率(胃がん・大腸がん・乳がん・子宮頸がん)90%以上を目指します。
また、「がん検診の重要性」の理解深耕のため、全従業員を対象に、胃・大腸内視鏡検査の重要性をテーマとしたe-ラーニングを実施しました。
<メンタルヘルス対策>
早期発見体制の強化
従業員への調査により、何らかの不安や悩みを抱えている方が一定数いることを把握しています。
- メンタル不調者の早期発見・早期治療につなげることを目標に、社内・外の相談窓口を設置・周知するとともに、毎月医療職スタッフより全管理職へ「ラインケアレター」を送信するなど、職場との連携を強化しました。
- 新卒社員、キャリア採用社員、海外赴任社員を対象に、定期的にフォローアップアンケートを実施し、必要時面談を実施しています。
メンタルヘルス教育の強化
全管理職に対し、メンタルヘルス対策の意義、メンタルヘルスにおける管理職の役割についてラインケア研修を実施しています。また、新任管理職に対しては上記に加え「メンタルヘルス・ラインケア基礎研修」の教育も実施しています。
<長時間労働対策>
長時間労働対策として、36協定締結内容の「特別延長時間」について、1年間を500~720時間、1カ月80時間を上限とし、長時間労働の抑制を図っています。
- 月75時間超の社員は産業医面談を必須としています。また、月45時間超の社員は疲労蓄積度チェックリストの提出および必要時医療職スタッフによる面談を実施しています。
- 有給休暇取得奨励の施策として「休暇取得奨励日・奨励月」を設定しています。
- 月45時間を超過する長時間労働者の多い部署をターゲットにWSI*1労使委員会メンバーによる実態調査や対策立案、管理職の意識改善を進めました。また、全部門におけるBPR*2 プロジェクトにより、業務効率化を図り、時間外労働の削減を実施しています。
*1 WSI=Work Style Innovation
多様な社員一人ひとりが能力を発揮できる会社を目指し、自分の強みを持ち、効率的な働き方で成果を出す風土へ変革する活動です
*2 BPR=Business Process Reengineering
業務本来の目的に向かって既存の組織や制度を抜本的に見直し、プロセスの視点で、職務、業務フロー、管理機構、情報システムをデザインしなおすこと